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#3 透析配管の洗浄剤に求められる効果3つ《除菌・洗浄・炭酸Ca除去》

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配管洗浄
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はじめに

透析配管には有機物や菌の塊(バイオフィルム)や、炭酸Caなどの汚れが付着してしまいます。

こういった汚れを除去するために、洗浄剤にはどういった効果が求められるか解説します。

透析分野の洗浄でめちゃくちゃ大事なところです。

  • 「透析配管洗浄はなぜ必要?」をコチラでもっとわかりやすく解説してますよ。
5分の動画で解説

透析配管洗浄はシリーズで解説しています。

#1から順にみていくことで、もっと理解が深まりますよ!

洗浄剤に求められる効果3つ

この3つが透析分野の洗浄で非常に大事です。
効果のことを要件と言ったりもします。

  1. 除菌:生菌やETの除去
  2. 洗浄:有機物汚れの除去
  3. 炭酸Caスケール除去:無機物汚れ(炭酸Ca)の除去

1つずつ解説します。

1.除菌

まず、洗浄剤には除菌が必要です。
生菌やETの除去のことです。

  • ET:グラム陰性菌の死骸
  • 生菌:緑膿菌や大腸菌など

患者を命の危機のさらさない為に除菌が必要です。

これらが体内に流入すると合併症(β2-MGの増加やAlbの低下、低Hbなど)を引き起こします。

また、生体は急性反応、慢性反応を引き起こし、大量流出は命の危機にさらされます。

急性反応
慢性反応
  • 発熱
  • 血圧低下
  • 呼吸苦
  • 血液凝固 など
  • 貧血
  • アミロイドーシス
  • 栄養障害
  • 動脈硬化 など

【ET、生菌の記事はコチラです】

2.洗浄

洗浄とは有機物汚れの除去をすることです。

有機物汚れの例では、

  • 透析治療の際に排出された老廃物(タンパク質や脂質)
  • バイオフィルム(菌の温床源)

有機物汚れが残っていると、その汚れを栄養として生菌が繁殖します。

この有機物汚れによって菌が繁殖し、ネバネバして白い物体をバイオフィルムと言います。(下図)

バイオフィルムってなに?

バイオフィルムとは、微生物が共同体として存在する構造体のことです。つまり細菌が高密度に集合し、構成されます。物体には必ず表面があり、表面があれば必ず微生物が付着します。付着した微生物は単独で存在するのではなく、他の微生物と共同体を形成するようになります。この微生物共同体がバイオフィルムと呼ばれ、水と接する物体表面で形成されます。

ネバネバして白い気持ち悪いヤツ

バイオフィルムは増殖繁殖を繰り返します。

3.炭酸Caスケール除去

炭酸Caスケール除去というのは、つまり炭酸Caの除去のことです。

スケール除去というのは洗浄分野でよく用いられる用語で、無機物汚れのことをスケール除去と言います。

この炭酸Caは透析剤の化学反応によって析出されます。

A剤の塩化Ca(CaCl2)+ B剤の炭酸水素Na(NaHCO3) = 炭酸Ca(CaCO3)

また、炭カルは配管内での物理的なデッドスペースの原因になり、除菌剤の浸透を妨げてしまいます。

なので、菌繁殖の原因にもなってしまいます。

スケールとは、一般的に水道水に含まれる無機物(Na,Ca,Mgなど)が乾燥し、残った成分が結晶化したもののこと

自動車に水がかかって、次の日に乾燥して白く斑点になってることありますよね。
それがスケール汚れというやつです。

なので、透析分野のスケール汚れというのは、炭酸Caの蓄積物のことです。

炭酸Caは不溶性(水に溶けずらい)

透析ラインに蓄積

バイオフィルムの形成やコンソールの故障に

という感じです。

まとめ

洗浄剤に求められる効果は以下の3つです。
めちゃくちゃ重要なので覚えておきましょう!

  1. 除菌:生菌やETの除去
  2. 洗浄:有機物汚れの除去
  3. 炭酸Caスケール除去:無機物汚れ(炭酸Ca)の除去

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