11/26,12/10「シャントステップアップセミナー」開催!

透析中に使う昇圧薬6種類を解説

スポンサーリンク
透析患者の血圧を徹底解明
この記事は約4分で読めます。
スポンサーリンク

はじめに

透析中では血圧低下予防のために昇圧薬を使うことがあります。

昇圧薬はいろいろ種類や特徴もあるので、解説していきます。

昇圧作用

まずは2つの昇圧作用について抑えておきましょう

α1受容体刺激作用
血管平滑筋に分布するα1受容体を刺激することで血管が収縮します。

末梢血管抵抗が上昇し、血圧が上昇。

β1受容体刺激作用
心筋に分布するβ1受容体を刺激することで、心機能が亢進する(心拍数増加、心収縮力増強)。

昇圧薬6種類

薬剤名(商品名)

  1. ドロキシドパ(ドプス)
  2. アメジニウムメチル硫酸塩(リズミック)
  3. ミドドリン塩酸塩(メトリジン)
  4. エチレフリン塩酸塩(エホチール)
  5. フェニレフリン塩酸塩(ネオシネジンコーワ)
  6. ノルエピネフリン(ノルアドレナリン)

この6つがあります。

そして「1,2,3」は経口薬、「4,5,6」は静注薬です。

作用機序

  • ドプス:交感神経線維末梢でノルアドレナリンの補充・分泌を促進して、末梢の交感神経機能を活発にさせる
  • リズミック:ノルアドレナリンの神経終末への再取り込みを抑制し、また、神経終末でのノルアドレナリンの不活性化を抑制して、交感神経を亢進させる
  • メトリジン:選択的α1受容体刺激作用で末梢血管を収縮させる。β受容体刺激作用が無いので、動機や心臓系の副作用が少ない
  • エホチール:α1とβ1の両方の受容体刺激作用があり、特にβ1への作用が強く、心筋収縮力を増加させる
  • ネオシネジンコーワ:選択的α1受容体刺激作用で末梢血管を収縮させる。β受容体刺激作用が無いので、動機や心臓系の副作用が少ない
  • ノルアドレナリン:α+β(α>β)刺激薬で強力なα1、α2血管収縮作用がある

特徴

6種類の特徴を解説します

ドプス

  • 6時間で血中濃度最高(効果発現は遅い)
  • 透析中~透析後の血圧低下予防が目的
  • 効果は24時間前後続くため、非透析時にも低血圧の方に適する

リズミック

  • 2~4時間で血中濃度最高
  • 透析性あり → 透析膜通過後2分の1に
  • 透析中の血圧低下予防が目的

メトリジン

  • 1.5時間で血中濃度最高
  • 透析中の血圧低下予防が目的
  • 効果が緩やか
  • 服用して効果が出るまで1~2週間かかることがある(効果が出ないからとすぐに止めない)

エホチール

  • 2分程度で効果が出る?(資料なし)
  • 透析除去される可能性大(7割くらい?) → タンパク結合率28%(資料なし)
  • 1~10mg/hrで投与(基本は1.5mg/hrで適宜調整)
  • 希釈して使用「エホ10mg(1cc)+生食9cc」か「エホ10mg(1cc)+生食19cc」

ネオシネジンコーワ

  • 0.15mg/hrで開始し、適宜調整をする
  • 希釈して使用「1mg(1cc)+生食9cc」か「1mg(1cc)+生食19cc」
  • 透析性は不明

ノルアドレナリン

  • 0.1~0.3mg/hr開始し、適宜調整をする
  • 希釈して使用「1mg(1cc)+生食9cc」か「1mg(1cc)+生食19cc」
  • 透析性あり

禁忌

  • ドプス:閉塞性隅角緑内障では眼圧上昇の危険性がある。糖尿病性壊疽などの重篤な末梢血管病変は症状が悪化する可能性がある
  • リズミック:「高血圧」「甲状腺機能亢進症」「褐色細胞腫」「閉塞性隅角緑内障」「残尿を伴う前立腺肥大」は症状が悪化する可能性がある
  • メトリジン:「甲状腺機能亢進症」「褐色細胞腫」または「パラガングリオーマ」は症状が悪化する可能性がある
  • エホチール、ネオシネジンコーワ、ノルアドレナリン:心室性頻拍のある患者は症状を悪化させる可能性がある

【関連記事】

コメント

タイトルとURLをコピーしました