はじめに
透析患者では透析中に低血圧が生じてしまう方がいます。
なぜ透析中に低血圧になるのか?
原因等を説明していきます!
なぜ透析中に低血圧が起こる?
【結論】循環血液量が減少するから
この理由が一番多いです。
透析中の低血圧に影響を与える最大の要因は、循環血液量の減少です。
透析間の体重増加を抑えて、除水量を多くさせないことが重要です。
除水による循環血液量の減少
↓
静脈還流量低下
↓
心拍出量低下
↓
血圧低下
除水量が多いと、プラズマリフィリングが追い付かなくなります。
透析中の血圧低下は他にも多くあるので見ていきましょう!
その他の原因は?
透析中の血圧低下の原因は多岐にわたります。
「血圧=心拍出量 × 末梢血管抵抗」なので、「心拍出量」と「末梢血管抵抗」に分けて原因を見ていきましょう。
まずは心拍出量です
- 透析中の除水過多
- 不適切なDW
- 貧血
- 低栄養(低アルブミン血症)
- 心機能低下、不整脈
- 透析中の食事
このような原因があります。
次に末梢血管抵抗です。
- 自律神経機能障害
- 動脈硬化
- 透析液温度(高い)
- 降圧薬の服用
- 透析膜のアレルギー
- 酢酸不耐症
それぞれ順番に見ていきましょう。
透析中の除水過多
透析低血圧の原因として、透析中の除水過多が最も高頻度
予防としては、透析間の体重増加を抑えることです。
透析間の体重増加を抑えることによって、除水量を抑えることができます。
じゃあどうすれば透析間の体重増加を抑えることができのか?
それは「塩分」と「水分」の制限です(特に塩分)
透析患者の体重増加率は以下の数字を目安にします。
- 中1日:DWの3%未満
- 中2日:DWの5~6%未満
この体重増加率を守ることが大事です。
不適切なDW
DWがきつい状態、つまり引きすぎでは体内の水分が少なくなり、低血圧を起こしてしまいます。
心機能低下、不整脈
透析患者では「心機能障害」「心臓弁膜症」「不整脈」
これらを合併している頻度が高いです。
こうなってくると、血圧低下する時に代償反応として心臓が頑張ろうとしても拍出できなくなり、血圧低下につながります。
「心電図で不整脈の有無を確認」したり「心エコーによる評価」が必要です。
必要に応じて循環器への紹介を検討します。
透析中の食事
透析中の食事は循環血液量が低下し、血圧が低下しやすい
仰臥位から座位やファウラー位になると重力の影響によって、約500~800mLの血液が胸腔内から下肢や腹部内臓系へ移動し、心臓への還流血液量が約30%減少します。
また、食事をすると、消化・吸収のために大量の血液が腸管に集まり、循環血液量が減ります。
食事をすると腸管ペプチドという消化管ホルモンの一種が分泌され、血管を活性化させることで腸への血流が増加します。
他にも低アルブミン血症で血圧が下がったり、自律神経機能障害などが原因にあります。
詳しくはこちらで解説しています。
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