はじめに
- カルシウムのmg/dlからmEq/Lの単位変換ができるようになる
- 透析液のカルシウム組成を見る時に困らない
Twitterでこんな質問を頂きました。
「透析患者さんのカルシウム値は透析液によって数値が上がるようになっているのでしょうか?それとも下がるようになっているのでしょうか?」
という質問です。
結果から言うと、血液中のカルシウム濃度によって異なります。
透析患者さんでは基本低カルシウムなので、ほぼほぼの方が透析から血液中に補充されています。
なので、数値は上がるようになっています。
ここで気になったのが、多分質問をしてくれた方は単位換算ができていないんだろう、、、と。
患者さんの検査データの単位は「mg/dl」で表されます。
それに対し透析液濃度の単位は「mEq/L」なので、これらの単位換算をする必要があります。
そしてプラス、検査データは「総カルシウム」で、透析液は「イオン化カルシウム」です。
ここの換算も必要です。
計算方法を説明します。
まずは基礎知識
血清カルシウム(いわゆる総カルシウムのことで、採血データに表示されてるやつ)は3つのものが合わさって血清カルシウムとなっています。
【血清カルシウムの内訳】
- イオン化カルシウム:50%
- アルブミン結合カルシウム:40%
- その他:10%
今回は1.のイオン化カルシウム:50%を覚えてください!
血清カルシウムの半分がイオン化カルシウムということは、、、
透析患者さんの採血データが9.0(mg/dl)だった場合、割る2すればいいので4.5(mg/dl)はイオン化カルシウムということです。
なんでイオン化カルシウムに換算するんだよ!と思った方いますよね😱
透析液のカルシウム濃度はイオン化カルシウムでできているからです!
とりあえず、血清カルシウム(総カルシウム)の2分の1はイオン化カルシウムというのを覚えてください。
mg/dL→mEq/Lへの計算
じゃあ大事なのは、患者さんの(例えば)カルシウム値9.0(mg/dl)が透析液のmEq/Lに直すとどのくらいなのか?ということです。
「mg/dl」を「mEq/L」に直接直すことはできず、「mmol/L」にいったん直さないといけません。
つまり順番は「mg/dl」→「mmol/L」→「mEq/L」 と直します。
ここから計算に入ります。
私がいやな計算です。正直この記事書いて3日で忘れると思います。
まずは「mg/dl」→「mmol/L」に直します。
「mg/dl」→「mmol/L」
総カルシウム濃度が「8.4mg/dl」とします。
① 8.4(mg/dl)÷2=4.2(mg/dl)(イオン化カルシウム濃度に直す)
② 4.2(mg/dl)=A42(mg/L)(単位を「dl」→「L」に直す)
③ カルシウムのモル質量40.1(g/mol)(カルシウムのモル量を出す)これ暗記で覚えてください
④ 40.1(g/mol)=B40.1(mg/mmol)(単位を「g/mol」→「mg/mmol」に直す)mを付け加えただけ
⑤ A42(mg/L)÷ B40.1(mg/mmol)= 1.05(mmol/L)
イオン化カルシウムが4.2(mg/dl)のとき、モル濃度は1.05(mmol/L)です。
なんかいろいろと段階を踏みましたが、カルシウムの単位を「mg/dl」→「mmol/L」に直すには、イオン化カルシウムに10かけて、40.1で割るだけです。
次は「mmol/L」→「mEq/L」に直します!
「mmol/L」→「mEq/L」
先ほどの1.05(mmol/L)から2をかけるだけです!
1.05(mmol/L)× 2= 2.1(mEq/L)
ということで、求めることができました!
透析患者さんのカルシウム検査値データ8.4(mg/dl)は透析液濃度にあらわすと2.1(mEq/L)です。
つまり、今の透析液は2.75(mEq/L)が多いので、患者さんの検査値が8.4(mg/dl)だった場合、透析液よりも血液中の濃度が低いことになります。
なので、透析液から血液中にカルシウムは補充されている形となります。
簡単に暗算でするには
計算方法をつらつらと説明しましたが、暗算で簡単にできます。
お気づきかもしれませんが、総カルシウム濃度から4で割るとmEq/Lにできます。
逆にmEq/Lから4をかけると総カルシウム濃度(mg/dl)にできます。
今までの計算なんだったんだよ!って感じですよね!
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