はじめに
ダイアライザは中空糸型と積層型の2種類があります。
市場に出回っている99%が中空糸型で、積層型はバクスター社が販売しているホスパルのみです。
ホスパルは近年生体適合性の観点から注目されていたり、炎症が強い患者さんに適応されていたりと、注目されています。
今回は積層型の構造や、ホスパルの特徴について解説します。
積層型ダイアライザってなに?

積層型ダイアライザとは、平たくて薄い板状のものを数十層に重ねたダイアライザです(上図)
血液側、透析液側と交互に板が重なっています。
例えるならミルフィーユです。
ミルフィーユは生地、クリーム、生地、クリームという風に重なっていますよね。
それと同じです。
透析膜がプラスチック板に挟まれていて、血液は透析膜の中を流れています。
透析液はプラスチック板と透析膜の間を流れるといった構造です(上図)。
中空糸みたいにストロー状ではありません。
積層型は薄い膜(透析膜)の間を交互に血液と透析液が、反対方向に流れています。
積層型にも孔が空いており、老廃物の除去や電解質の補給などがされています。
AN69膜の特徴

積層型のダイアライザは現在(2022/12/1時点)販売されているものは、バクスター社のホスパル(H12)です。
積層型といえばホスパルですよね。
ホスパルはAN69膜と言います(PAN膜ではありません)
アクリロニトリルをベースとする膜には旭化成が以前製造していたPAN膜があります。
しかし、PAN膜はメタリルスルホン酸ナトリウムは含有していません。
なので、構造や性質もAN69膜とは大きく異なります。
このホスパルの特徴は以下にまとめています。
- 一過性の白血球減少、補体活性化が少なく、生体適合性に優れている
- 炎症性サイトカインの吸着
- ACE阻害薬使用で血圧低下低下を招く → 使用禁忌
- ナファモスタット(フサンやナオタミン)は吸着されるので使用はNG
- 下肢の血行状態改善効果
などが挙げられます。
ホスパルは陰性荷電を有していて、炎症性サイトカインを吸着するので、生体適合性向上に寄与します。
陰性荷電を有していることからナファモスタットを吸着します。
なので、抗凝固剤でナファモスタットの使用はNGです。
また、ACE阻害薬使用患者では血圧低下(ショック症状)を招くので、使用は禁忌です(下図)

PAN膜は陰性荷電が強く、プラジキニンの産生を刺激します。
ACE阻害薬はプラジキニンの産生を阻害するキニナーゼⅡを阻害します。
結果的にプラジキニンがキニナーゼⅡによって阻害されないので、血中にプラジキニン濃度が増大します。
プラジキニンは一酸化窒素(NO)を介した血管拡張・透過性亢進が生じるので、血圧が低下し、アナフィラキシーの症状が出ます。
AN69膜の特徴8選はコチラで解説しています↓↓
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