毎週月曜更新!次回のブログ更新は9/16(月)内容:なぜ透析中に低血圧が起こる?

ダイアライザの機能分類《新区分と旧区分を比較》2016年改定

スポンサーリンク
ダイアライザ
この記事は約5分で読めます。
スポンサーリンク

はじめに

ダイアライザの機能分類が2016年から改定されました。

2016年までを「旧区分」、2016年から「新区分」と言うようになりました。

新区分、旧区分とは何なのか解説していきます。

  • 「機能分類」を透析学習塾で動画で学習することができますよ
6分の動画で解説

新区分

新区分は以下の3つに分けられます。

  • 通常型(Ⅰa型・Ⅰb型・Ⅱa型・Ⅱb型 )
  • S型(PMMA膜・EVAL膜)
  • 特定積層型(AN69膜)

1つずつ解説していきます。

通常型

通常型の4種では、Ⅰa型・Ⅰb型・Ⅱa型・Ⅱb型に分けられます。

  • Ⅰ型とⅡ型の境界線:β2-MGのクリアランスが70ml/min
  • a型とb型の境界線:アルブミンふるい係数0.03

つまりザックリいうと、

小分子物質やβ2-MGがあまり抜けない~普通程度抜けるのはⅠ型。

かなり抜けるのがⅡ型。

アルブミンがあまり抜けない~普通程度抜けるのはa型。

かなり抜けるのがb型。

簡単に言うとこんな感じですかね。

※ ふるい係数とは、0~1の値を取って溶液の透過性を表す値です。
係数が1に近ければ通りやすく、0は全く通らないという意味です。

4種類をザックリ言うと…

  • Ⅰa型 → 小分子物質が抜けずらく、Albも抜けずらい → 栄養状態の悪い人にも使用できる
  • Ⅰb型 → 小分子物質は抜けずらいが、Albは抜けやすい → 正直適応が難しい。
  • Ⅱa型 → 小分子物質は抜けやすいが、Albは抜けずらい → しっかり老廃物を除去したいけど、Albは残したい
  • Ⅱb型 → 小分子物質が抜けやすく、Albも抜けやすい → 大きい物質の除去も積極的にしていきたい方

よく臨床で使用されるのは、Ⅰa型とⅡa型です。

Albの除去はなるべく控えたいですね。

Ⅰb型は、大きい分子を抜きたい!という時は小分子も抜きたいことがほとんどなので、あまり使用はされないですね。

現在販売されている(2022/12/17時点)透析膜でⅠb型はニプロのFB-Fα eco1種類のみです。

ということから、臨床で使用する場面も少ないと思います。

Ⅱb型に関しては、そもそもⅡb型を使うくらいならオンラインHDFしていると思います。

なので何らかの理由でオンラインHDFができなくて、がっつり老廃物除去したいという人はⅡb型を使うかなと思います。

S型

新たに設けられたS型の定義は以下の通りです。

生体適合性に優れる、吸着によって溶質除去ができる、抗炎症性抗酸化性を有すること

つまり、生体適合性が良くて、炎症や酸化反応というものを促進させない、

そして、吸着で物質が除去できますよという機能がある膜をS型といいます。

簡単に言うと特殊な膜ってことですね。

PMMAとEVAL膜が該当しています。(EVAL膜はもう販売されていませんが)

PMMA膜は吸着によってβ2-MG炎症性サイトカインを除去します。

特定積層型

特定積層型はAN69膜のことで、中空糸型ではなく、積層型です。

バクスター社のホスパルが該当しています。

積層型についてはコチラで解説しています。

積層型は陰性荷電を有しているため、様々な特徴があります。

  • 炎症性サイトカインの吸着
  • 優れた生体適合性
  • 下肢循環の改善
  • アルブミンやアミノ酸の損失が少ない

このような特徴があります。

なので、「炎症が強い人」「残血が多い人」「栄養状態の悪い人」などに使用されます。

AN69膜の特徴8つはコチラの記事で解説しています

旧区分

旧区分

2016年までは血液透析(HD)に使用されるダイアライザは上図のように、β2-MGのクリアランスによって、Ⅰ型~Ⅴ型に分類されていました。

新区分はβ2-MGとアルブミンふるい係数がありますが、旧区分はβ2-MGだけでダイアライザの性能を決めていました。

新区分の方がより細かくダイアライザの区分がされるようになりました。

なぜ改定された?【背景】

血液浄化器(中空糸型)の機能分類2013(透析会誌)」ではS型ダイアライザが新設され、これを受けて2016年度診療報酬改定に反映されました。

「学会が策定した血液透析器の機能分類を反映した機能区分」に見直し、合理化され大きな改定となりました。

これまではハイパフォーマンス膜を使用する傾向にありました(β2-が良く抜けるもの)

しかし新たな区分が設けられ、小分子やβ2-MGの除去だけでなく、生体適合性やα1-MG・炎症物質などの患者個々に合わせたダイアライザの選択が必要になっていきます。

【関連記事】

コメント

タイトルとURLをコピーしました