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ダイアライザのドライ・ウェット・モイスト特徴まとめ

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ダイアライザ
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はじめに

ダイアライザにはウェットタイプドライタイプモイストタイプがあります。

これはダイアライザ内が補充液で満たされているか、それとも満たされておらず空気なのか。

という違いです。

それぞれの特徴を解説します。

ドライ・ウェット・モイストってなに?

  • ドライタイプ:透析膜内外ともに補充液が存在しない
  • ウェットタイプ:透析膜内外ともに補充液が存在する
  • モイストタイプ:透析膜のみに補充液が存在する

ドライの特徴

ドライタイプは中空糸内外ともに補充液がが満たされていません。

なので乾燥した中空糸が入っています。

その代わりに、グリセリンPVP(ポリビニルピロリドン)という添加剤が中空糸に塗布されています。

このグリセリンは品質保持や乾燥防止(保湿剤)のために入っています

ドライの膜は以下のもの等々です。

  • ニプロFB(CTA膜)
  • ニプロPES(PES膜)
  • フレゼニウスPN(PS膜)などなど

ドライタイプの特徴は以下の通りです。

  • 運搬、管理、保存に優れている
  • プライミング時ダイアライザ内を満たす時間が必要

これらを解説していきます。

運搬、管理、保存に優れている
ドライの膜は補充液が入っていないので凍結の恐れが無いです。

寒冷地だと水が凍ってしまい、透析膜の破損につながってしまいます。

またウェットタイプに比べ、軽量なので運搬しやすいです。

補充液が入っていない分軽いです。

また持ち運びが楽なので搬送で一度に大量に運べることが可能です。(業者さんいつもありがとうございます)

プライミング時にダイアライザ内を満たす時間が必要
ダイアライザ内全体が空気なので水分を満たすのに時間が必要です。

まぁいうてもウェットよりも少し時間がかかる程度です。

またプライミング不十分だと、血液が通る際にエアーが邪魔してエアブロックを起こしてしまいます。

エアブロックとは、中空糸内に気泡が入り、水が流れにくくなる現象のことです。

エアブロック

現在の透析膜はドライでもエアブロックを起こすことはほとんどないけども…

もしエアブロックを起こすと、凝血して交換の必要があったり、エアーが多くなることで拡散効率が下がり、透析効率が落ちてしまいます。

なのでプライミング時の気泡除去は必須です。

また、プライミングに関連してですが、ドライタイプにはグリセリンが塗布されています。

プライミングが不十分な場合、血中に入ると溶血を起こす可能性があるので注意

ドライタイプは現在販売されてるいる中で一番多いタイプになります。

シェア率は以下の通りです。

ドライ:ウェット:モイスト=6:3:1

くらいの割合です。

ウェットの特徴

ウェットタイプというのはダイアライザ内(中空糸の中も外も)が補充液で充填されているもののことです。

補充液の成分は以下の通りです。

  • ピロ亜硫酸ナトリウム
  • 炭酸ナトリウム
  • PVP(ポリビニルピロリドン)

PVPはドライタイプにも含まれています(PS・PES・PEPAの一部)

ウェットタイプは乾くと、生体不適合性や溶質透過性、透水性に影響が出ます。

なので膜材質を維持するためにも、補充液が必要です。

ドライの膜は以下のもの等々です。

  • 東レNF(PMMA膜)
  • 旭化成APS(PS膜)
  • 日機装(PEPA膜)などなど

ウェットタイプの特徴はこのような感じです。

  • プライミング時のエアー除去が容易
  • 破損が一目でわかる
  • 十分な洗浄を行わないと溶血が起こる
  • 運搬において寒い地域には向いていない
  • 輸送コストがかかる

一つずつ解説していきます。

プライミング時のエアー除去が容易
プライミングの際に中空糸内がもう既に水分で満たされているので、エアー除去が容易になります。

破損が一目でわかる
中が水分で満たされているので、破損していると水漏れがあるのですぐに気付くことができます。

破損している物で誤って透析してしまうというトラブルを回避することができます。

一度亀裂の入ったダイアライザを見たことがあります。

亀裂が入ったタイミングはわからないけど…

運搬時かプライミング時か…

十分な洗浄を行わないと溶血が起こる
滅菌蒸留水は浸透圧が低いので、十分なプライミング行っていないと、溶血を起こします。

「プライミング時のエアー除去が容易」と書きましたが、エアーを取り除いたらそこでプライミング終了ではありません。

必ず1000ml以上はプライミングしましょう。

ダイアライザの添付文書には1000ml以上は流しましょうと明記されています。(下記画像)

運搬において寒い地域には向いていない
寒い地域(氷点下いくような)では保管場所によっては、中空糸内が凍結してしまう場合があります。

凍結した場合、体積が増えるのでひび割れ、破損の原因になります。

水が氷になると体積は11%増えるので、透析膜の破損の原因になる

実際の事例として、北海道でコンテナに積まれていたウェットタイプのダイアライザの充填液が凍結して、容器が破損したというのがあったらしいです(2019年)

輸送コストがかかる
ドライタイプと比べて滅菌蒸留水が満たされているので、その分重くなります。

なのでドライよりも輸送コストがかかります。

と言われていますが、どのくらいのコストとか存じ上げないです。

モイストの特徴

モイストタイプは中空糸膜のみに水分が満たされているダイアライザのことです。

モイストは東レだけが販売しています。

  • トレライトNVシリーズ
  • トレスルホンTSシリーズ
  • トレライトNVFシリーズ

この東レが販売しているモイストタイプでは生体適合性の向上膜表面の血栓付着の低減などが報告されています。

東レ株式会社HPより画像引用

なぜモイストタイプがあるかというと、PVPの架橋構造を形成するためです。

これにより透析中のPVP溶出量を低減することができます。

架橋というのは橋掛けのことです

なのでイメージ的には以下のような感じです。

以下は富山県臨床工学技士会のHPに記載があり、メーカーさんが回答したものとなります。

現在はこのページは削除されています。

PVPの架橋構造は、γ線を照射した際にPVP分子構造内に生じるラジカルによって形成されるのですが、この時、反応の場として水環境が必要になります。

また、空気すなわち酸素が同時に存在しますと、大量に発生した酸素ラジカルがPVP架橋を通り越して分解反応を促進してしまいます。

当初ドライ製品を標榜しておりましたが、ドライ品では反応の場としての水分がなく、しかも分解反応を促進する酸素が豊富な環境下ですから、PVPは架橋構造を取らずに分解してしまいました。

そこでモイストタイプ中空糸では、反応の場として中空糸に水分を残し、周辺の酸素(空気)を窒素に置き換えて分解反応を防いで、架橋構造を作らせることに成功しました。

まとめ(表)

最後に

現在はドライタイプが販売数では一番多いです。

昔はウェットタイプが75%、ドライタイプが25%で、ウェットの方が使用されてたんですよ。

その理由としては以下のようなことが挙げられます。

  • ドライタイプはエアー抜けが悪い
  • 保湿剤としてグリセリンの塗布をしなければならない
  • ウェットは充填する際に膜内の洗浄も行ってくれる

などの理由です。

しかし今では製造性や材質、全てが進歩しドライ膜が多いという結果になっています。

時代は進歩していくんですね。

ウェット→ドライ→モイスト→?次はどういった膜が誕生するのか楽しみですね。

新たな膜開けになりそうですね~

【ダイアライザの種類や特徴・構造などはコチラです】

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