次回は10/24(日)更新! 内容:透析と心不全《透析患者の死亡原因第1位》

on-lineHDFってなに? 《前希釈と後希釈・臨床効果・デメリット・原理・適応・ドナン効果・なぜ日本は前希釈が主流?》めちゃめちゃわかりやすく説明します

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治療

☝OHDFとIHDFについてまとめたPowerPointデータはコチラです☝

こんなことが学べる!
✅on-lineHDFってなに?
✅前希釈と後希釈って何がどう違うの?
✅巷で噂の「ドナン効果」ってなに?

on-lineHDFは現在透析治療において主流になっている治療方法で、どこの施設も導入していると思います。
on-lineについて調べると様々なサイトや病院のホームページが出てきますが、それをギュッと凝縮してみました。

また、実際に臨床の現場に立って、よくサイトで載っている理論上の部分(後希釈の方が前希釈よりも効率がいいとか)も、解説します。
ぜひ参考にしてください。

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on-lineHDFってなに?

on-lineHDFは「血液透析濾過」といいます。
HDFでは濾過を行った分補充液を必要としますが、off-lineではバックに入った補充液を使用するため、補充液が少なく濾過をかける量が少なくなってしまします。

一方、on-lineの場合は、透析液がそのまま補充液として使用されるので、補充液量(置換量といいます)を多く使用することができます。
なので、on-lineHDFはより多くの濾過をすることができ、老廃物の除去を行うことができます。

on-lineをするにあたっては、透析液を補充液として使用するので、透析液がそのまま血管内に入ります。
そのため、透析液の水質管理を徹底する必要があります。
透析液に含まれるET(エンドトキシン)や生菌が基準値以下になるように厳重な透析液清浄化が必要となります。


HDをするときの透析膜を「ダイアライザー」、HDFをするときの透析膜を「ヘモダイアフィルター」と言います。
on-lineHDFには前希釈(pre)と後希釈(post)があります。

それぞれの特徴などを紹介します。

on-lineHDFの臨床効果6つ

on-lineHDFは前希釈も後希釈も臨床効果は同じです。

(1)血圧の安定
on-lineHDFは透析中の血圧が下がりにくいといった報告があり、透析中の血圧維持を目的に行うことができます。
これにはドナン効果という力が働いています。(後で説明します)
普段の血圧も安定して、血圧の薬の減量に繋がります。

(2)貧血の改善
透析をすると貧血傾向になりますが、改善することがあります。

(3)かゆみ、イライラ感の減少
老廃物の除去α1-MGにより症状が減少するといった結果が報告されています。

(4)食欲の改善
老廃物の除去が優れているため、体調がよくなり食欲が改善することがあります。

(5)合併症の予防
合併症の原因とされるβ2-MGα1-MGなどの比較的大きい分子を取り除き、合併症を予防します。

(6)尿毒性心膜炎の予防

これらの臨床効果で、透析患者の症状改善や、生命予後の改善につながります。

on-lineHDFのデメリット

デメリットはほぼほぼないんじゃないでしょうか。

一つ気を付けることは、大きい分子を取り除くので、体に必要なAlb(アルブミン)も抜けてしまいます。

体内で合成されるAlb量よりも、HDFによって除去されるアルブミンの方が多ければ栄養障害になりますので、そこが唯一の注意点です。


【☟Twitterのフォロワーさんからデメリットについて貴重なご意見いただきました!☟】

前希釈(pre)の特徴

前希釈というのはヘモダイアフィルターを基準として、ヘモダイアフィルターよりも前で希釈(補液)を行うので前希釈と言います。
Aチャンバから投与されます。

日本のon-lineHDFで90~95%が前希釈です。

【前希釈の特徴】

・濾過速度に制限がなく、大量置換が可能

前希釈はヘモダイアフィルターの前で希釈するので、膜に対する負担が後希釈よりも少なく、QBの制限もありません。
なので大量置換が可能です。
大体6~15L/hの置換量です。
多いとこだと15L以上/hしている施設もあります。


・前希釈は後希釈よりも小分子物質の除去が劣る

と大体の記事で書いていますが、私の病院が実施した研究(系列病院の研究)では、前希釈も後希釈も小分子物質の除去に有意差はほぼ見られませんでした。

なぜ、前希釈は後希釈よりも小分子物質の除去が劣るのかというと、「①ヘモダイアフィルタに入る血液が薄まる」+「②ヘモダイアフィルタを流れる透析液流量が低くなるのが原因です。

まず①の「ヘモダイアフィルタに入る血液が薄まる」というのを説明します。
前希釈はヘモダイアフィルタの前で補液しているので、中空糸を通る血液が薄まり、拡散能が低下します。
それによって小分子物質の除去が劣ります。

次に②の「ヘモダイアフィルタを流れる透析液流量が低くなる」というのを説明します。
透析液流量:500ml/min、補液流量:200mi/min の設定で前希釈を実施すると、ヘモダイアフィルタを流れる透析液流量は300ml/minになります。
透析液流量(ダイアライザーを流れる流量)は基本500ml/minであり、多い方が拡散能が向上します。(600ml/min以上は頭打ちになりますが)

前希釈では補液流量が多いためヘモダイアフィルタを流れる透析液流量は少なくなります。
透析液流量300mi/minと500mi/minでは500のほうが拡散能はいいです。

これら2つが前希釈の拡散能の低下につながっているので、小分子物質の除去が劣っているとよく言われます。(理論上の話)

しかし、前述したとおり、私たちの系列病院の研究では、前希釈と後希釈の小分子物質の除去に有意差はほぼないです。

①はどうしようもないとしても、②に関しては、透析液流量を700に設定すれば、補液流量が200mi/minであったとしても、ヘモダイアフィルタの中は500流れています。
よって②は透析流量を増やすことによって対策できます。

前希釈は大量の透析液を使用するので、供給量が追いつくかちゃんと確認してくださいね!



・濾過量に比例して、低分子量タンパク領域の尿毒素の除去効率は高くなる

後希釈(post)の特徴

後希釈というのはヘモダイアフィルターを基準として、ヘモダイアフィルターよりも後で希釈(補液)を行うので後希釈と言います。
Vチャンバから投与されます。
日本のon-lineHDFで5~10%が後希釈です。

【後希釈の特徴】

・拡散による小分子量物質除去効率は前希釈よりも優れる。

とありますが、さきほどの前希釈の小分子量物質の除去の説明のように、透析液流量の調節で対策できます。

後希釈は前希釈よりも補液量が少ないので、透析流量は600ml/min程度の設定が良いと思います。
後希釈も前希釈も同じ透析液流量の設定なら、補液量が多い前希釈の方が拡散による物質除去は劣ります(透析液流量が後希釈よりも少なくなるので)。

しかし、補液量の設定値にもよりますが、前希釈は透析液流量を700ml/min、後希釈は透析液流量を600ml/minくらいにしておけば、拡散効率は変わりません。



・ヘモダイアフィルター内で血液濃縮、膜面でのタンパク分画が生じるので、濾過量に限界があります。濾過量は血流量の25%程度が上限です。

と調べれば書いてありますが、なんのこっちゃろ?って感じですよね。

詳しく説明します!
「濾過量は血流量の25%程度が上限」を言い換えると、後希釈の場合の血液流量は、総濾過量(補液量+除水量)の4倍はないとヘモダイアフィルター内の血液が固まってしまいますよってことです。

例を上げると、補液量:50ml/min、除水量:10ml/minだとすると、総濾過量は60ml/minになります。
血流量はこの60ml/minの4倍なので、240は必要です。

血流量が240を下回ると血液が固まるおそれや、アルブミンリークに繋がります。
臨床で働いていると、3.5~4倍あれば、血液が固まったりアルブミンリークが起こるようなTMP上昇も起きません(その日の患者の状態にもよりますが)。

前希釈には後希釈みたいに総濾過量と血液流量の関係に制限はありません。

なぜかというと前希釈はヘモダイアフィルターの前で希釈してから除水するのに対し、後希釈は除水してからヘモダイアフィルターの後のVチャンバで希釈するからです。
希釈する前に除水をすると、ヘモダイアフィルター内の血液が濃くなりドロドロになり固まってしまいます。

なので血流量を早く回して血液凝固を防ぎます。
一方前希釈はヘモダイアフィルターの前で希釈するので、希釈された(薄まった)血液がヘモダイアフィルター内を通るので、固まる心配は前希釈ほどはありません。

・前希釈よりも少ない置換量で低分子量タンパク領域の除去が可能

前希釈と後希釈の原理(水の流れ)

前希釈と後希釈の流れの説明です。
これがわかれば、フローは完璧ですね!

on-lineHDFの適応

・透析アミロイド症の予防
・透析低血圧症(透析困難症)
・皮膚掻痒症(かゆみ)
・合併症予防


だいたいこの4つが、on-lineHDFにする際の導入理由です。

その他は
・透析アミロイド症以外の骨関節症状 ・睡眠障害 ・イライラ感 ・低栄養 などがあります。

除去される分子量の分布図

分子量の分布図

on-lineHDFでは赤く囲んだ範囲の積極的な除去が目標とされます。

on-lineHDFはアルブミンが十分にある患者さんに向いています。

β2-MGは透析アミロイド症の原因物質、α1-MGは掻痒感(かゆみ)、イライラの原因物質があると言われています。

なぜon-lineHDFは血圧低下の予防になるのか?「ドナン効果」

on-lineHDFは中分子領域のβ2-MGやα1-MGなどの老廃物を取り除くことで、合併症や透析アミロイドの予防になることはわかりました。

しかし、なぜ血圧低下の予防になるのか?
on-lineHDFは補液した分も除水するので、当然体液のinとoutのバランスがプラスになるわけではありません。

なのになぜ透析中の血圧低下予防になるのでしょうか?

on-lineHDFが血圧低下予防になる説明を記載しているブログは、おそらく僕だけだと思います。(たぶん、、、ガクブル、豪語お許しを)
では説明します!

【なぜon-lineHDFは血圧低下の予防になるのか?】
on-lineHDFは、大量の等張性置換液が直接血液中に補充されるので、血漿浸透圧の維持効果が大きいです。
除水を0と考えると、HDFでは補充される置換液と同量の除水がされるので、体内へのナトリウム負荷(ナトリウムによる細胞外液の増加)は一見ないように思われます。

しかし、実際には除水されるナトリウム濃度(血漿水)は、アルブミンの影響により血液中のナトリウム濃度よりも低くなります(これをドナン効果といいます)。

なぜかというと、アルブミンはマイナスに荷電していて、ナトリウムはプラスに荷電しています。
血液中ではこれら2つはひきつけあうからです。

それなのに、血液中のナトリウム上昇がみられないのは間質や細胞内から血管へ水分が自由移動(プラズマリフィリング)するからです。
これは浸透圧によるプラズマリフィリング促進です。

したがってon-lineHDFでは除水量を増加しても、プラズマリフィリングの促進により循環血漿量が維持されやすくなります。
ドナン効果は前希釈でも後希釈でも同じように行われます。


なんか最近ちらっと見た文献では、後希釈の方が血圧維持に有用とか書いてました。
詳しくは見てませんけど。

なぜ日本は前希釈が主流なのか?

海外では後希釈が多く用いられていますが、日本では前希釈が主流です。
その理由を説明します。

・日本は比較的、タンパク透過性の高いHDFフィルタの使用が多いこと
⇒タンパク透過性の高いHDFフィルタで後希釈をした場合、タンパク漏出量のコントロールが難しいです。
前希釈よりも後希釈のほうがタンパクの漏出が多いので、体に必要なAlbも多く抜けてしまう可能性があります。

・日本人は自己血管内シャントが多く、シャント血流量が少ない
⇒後希釈は前希釈よりも多くの血流量を必要とします。
日本人は海外の人と比べてシャント血流量が少ないので、後希釈には向いていません。


と、以上でon-lineHDFの説明は終わります!
間違っているところがあれば、ブログでも、Twitterでも教えてください!!

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