はじめに
この筒(ダイアライザのこと)みたいなんはなんかのう?
えっと、これはダイアライザって言って、、、中に透析液と、、えっと流れてて、、、老廃物を、、、
何を言っとるんかさっぱりわからんのう・・・。
患者さんにダイアライザのことを聞かれて、つまづいたりしたことはありませんか?
私は1年目の時患者さんに聞かれて、あいまいな返答をして恥ずかしい思いをしました。
そんなことがないようにダイアライザの基礎の部分、構造・役割についてまとめました。
ぜひ参考にしてください。
ダイアライザってなに?
ダイアライザとは、血液中の老廃物や余分な水分・電解質を透析液に移すための濾過装置です。
つまり、腎臓の糸球体と同じ働きをしているということです。
糸球体は血液をろ過して尿を作り、体外に排出し、体内環境を調節する役目があります。
また、体に必要な成分は再吸収して血液に取り入れます。
この役割をダイアライザが担っています。
糸球体の働き → ダイアライザの働きとすると、以下のようになります。
- 血液を濾過して尿を作る → 除水
- 体内環境を調節する → 重炭酸によるpHの調節
- 必要な成分は再吸収して血液へ補充 → 拡散による補充
- 不必要な物質は体外に捨てる → 拡散・濾過による排出
ダイアライザの構造
ダイアライザの中には、半透膜※1でできた細いストロー状の透析膜(中空糸)が約1万本束ねられて入っていています。
※1半透膜:一定の大きさ以下の分子やイオンのみを通過する膜のこと。
ストロー1本の単体の構造は、外側に透析液が流れて、ストローの中(内側)には血液が流れています。
このストローには無数の小さな穴(孔)「ポア」が空いていて、血液中に含まれる老廃物や電解質(リンやカリウムなど)などは、水分が通り抜け、透析液側へと移動します。
逆にカルシウムや、重炭酸イオンなどは補充されます。
これによって血液がきれいになります。
つまり必要な物質は血液の中に入っていき、不必要な物質は血液の中から透析液へと流れていきます。
これを半透膜でできたストローを介して行われています。
- 透析液 → 血液:Na・Ca・重炭酸 など
- 血液 → 透析液:BUN・K・P・Cr など
透析液→血液によって、必要な物質が体に補充される。
そして、血液→透析液によって、体から不必要な物質が排出される。
こういったイメージです。
ダイアライザの内部を見てみよう
ダイアライザの中にあるストロー状の糸を中空糸と呼びます。
ダイアライザ内にはこの中空糸がおよそ1万本入っています。(下画像)
中空糸の直径は約200μm(0.2mm)、厚みは15~45μm、(0.015~0.045mm)です。
ダイアライザをバッサリ切ってみるとこんな感じになります。
ダイアライザの役割
ダイアライザを介して以下のようなことが行われています。
- 老廃物を取り除く
- 電解質を調節する
- 余分な水分を取り除く(除水)
- 血液のpH調節(弱アルカリ性になるように)
ダイアライザの物質移動はこんな感じになっています!
ダイアライザの性能を決める2つのポイント
①ポア(孔)サイズ
ダイアライザの性能を決めるうえで、中空糸表面のポア(孔)の大きさや密度は非常に大事です。
患者さんの状態によって、標的とする老廃物が異なるのでポアの大きさを変えた中空糸が必要です。
- ポアが大きい → 短時間で老廃物を取り除くことができる
- ポアが小さい → 老廃物の排出は緩やかになる(現場ではよくマイルド膜とかって呼ばれたりします)
②血液凝固
ダイアライザの性能を決めるうえでもう一つ重要なのが、血液凝固の抑制です。
血液には大気に出て空気に触れたり、異物と接触すると固まる性質があります。
血管壁の損傷によって血液が凝固するのと同じように、ダイアライザ内に血流を防ぐような凹凸があると、そこで凝固ができてしまいます。
凝固を防ぐための抗凝固剤を投与しながら透析はしますが、それだけでは完全に防ぐことはできません。
そのため約1万本の中空糸を支えている、ウレタン樹脂でできた中空糸支持体を形成する際は、血流を防ぐことがないように、中空糸の穴をつぶさずかつ均等に配置することが大事です。
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