はじめに
透析において、血圧低下を起こすことなく透析治療を終えることが理想です。
BV計は血圧低下予測になったり、DW、除水量を決定する大事な指標として活用されています。
今回はBV計について解説していきます。
BV計ってなに?
BV:Blood Volume
BV計は、除水によって起こる血管内容量(ブラッドボリューム)の変化を、経時的に評価しています。
Ht(ヘマトクリット)の差を見て、どれだけ濃縮しているか(減っているか)を表しています。
BV計はコンソールに入る「in側」と「out側」のHtの差を見ています。
なので以下のような式になります。
〔(Ht in / Ht out)-1〕×100(%)
例えば、以下のような条件だとすると、
・ Ht in:35%
・ Ht out:40%
答えは「-12.5%」になります。
基準値は-15%以内なので、この場合は除水量は適切かなといった1つの指標にはなります。
BV計の見方、基準値
BV計の見方と数値を以下に示します。
- 基準:一般的には-15%以内が基準値。-15%程度で終了が良いと言われる
- 除水がきつい:-15%以上は血圧が下がる危険エリア。除水がきつい、DWが合っていないかもしれない
- 除水がゆるい(あまい):プラズマリフィリングが速い。つまりDWが緩く、体液過剰になっている可能性がある
このような見方をします。
なのでBV計は、血圧が下がるかもしれない危険エリアを知らせてくれます。
循環血液量が少なくなってるよ~!
血圧低下するよ~!
という風に、血圧低下を知らせてくれます。
短時間(15分くらい)に6%以上の低下は、血圧低下のサインです。
また日機装社のコンソールでは、以下のようなリファレンスライン(エリア)があります。
リファレンスエリアは、この範囲でBV波形が推移すると血圧低下がなく、透析できますよといった予測になります。
絶対ではないですが、参考になります。
ただDWは、何かの指標で一発で決まるわけではありません。
いろんな指標と合わせて見て、BV計もその参考指標の一部になります。
BV計が-15%付近だからといって、「DWオッケー」ではありません。
BV波形の例
BV波形が下がる時は、以下のようなことが考えられます。
- 血圧低下や再循環:開始直後の低下
- 血圧低下:透析中~後半
- 体位変換:透析中や透析中の食事
開始直後の低下では、再循環を疑います。
なので回路を逆につないでいないか、などをチェックします。
透析開始直後でも血圧低下が起きることはあるので、患者さんの状態も合わせてチェックします。
また、体位変換でもBV波形は下がります。
特に臥位→座位(または半座位)に変わった時です。
昼食のため坐位になると、重力の影響によって約500~800mLの血液が、胸腔内から下肢や腹部内臓系へ移動し、心臓への還流血液量が約30%減少する
と言われています。
一方で波形が上昇する時は、補液した場合や下肢挙上、座位→臥位になった場合などです。
つまり循環血液量が増えた場合に、波形は上がります。
この他の「BV計はなぜHtを見ているのか?」や「プラズマリフィリングの速さ」などは、コチラの動画で分かりやすく解説しています。
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