はじめに
透析患者では腎性貧血によって血圧が下がったり上がったり、どっちにもなりやすい状況にあります。
今回は透析患者の貧血と血圧がどうかかわるか?ここを解説していきます。
貧血と低血圧
透析患者では一般の方に比べると出血しやすい傾向があります。
これは透析治療では抗凝固薬を使用するからです。
消化管出血や多めの出血によって心拍出量が低下し、血圧低下に陥ります。
貧血と高血圧
透析患者のような慢性的な貧血は代償反応が起こり、低血圧にも高血圧にもなりやすいです。
貧血 → 末梢血管拡張 → 心拍出量増大
貧血になると、末梢組織への酸素供給が減少するので(代償反応)末梢血管が拡張します。
そして心拍出量が増大します。(ここで低心機能だと、血圧が下がる場合もある)
なので貧血になると心拍出量を増大させて酸素を送ろうとします。
また心拍出量が増大するだけでなく、末梢血管が拡張すると血圧が下がってしまうので、その予防としてRA系が働きます。
ここで末梢血管を収縮させ、末梢血管抵抗を増強させます(血圧を維持しようとする)
この反応が強いと、かえって血圧が高くなってしまいます。
RAA系は以下のような効果があります。
- 体液を血管内に貯留させる効果
- 末梢血管を収縮させ、血管抵抗を増大させる効果
これらによって血圧が上がってしまいます。
なので「透析患者が既にもっている体液過剰や動脈硬化」+「貧血管理が不十分な場合の交感神経やRA系の亢進」によって難治性高血圧になる可能性があります。
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