はじめに
【学習項目】
✅ETってなに?
✅なぜ測定が必要なの?
✅なぜ生菌を測定するのか?
透析治療において、透析液清浄化は非常に重要で、on-lineHDFをしている施設ならより高い清浄度が求められます。
その中の検査項目としてエンドトキシン(ET)と生菌があります。
この2つが基準値をクリアする必要があります。
【透析液水質基準の記事はコチラ!】
エンドトキシン(ET)ってなに?なぜ測定が必要?
エンドトキシン(ET)とは、グラム陰性菌(細菌)の死骸から出る毒素のことで、透析液の清浄化において一番重要視されます。
【もしETが血管内に入るとどうなるの?】
もし、透析液の中にETが基準値以上あり、血管内に入った場合次のようなことが起こります。
✅ショック
✅発熱
✅血圧低下
✅血液凝固
などを引き起こします。
透析液を生成する過程では、ETが混入しています。
グラム陰性菌は、まったく栄養養のない蒸留水でも繁殖できる細菌のため、川の水や水道水には当然存在しています。
水道水が塩素消毒により細菌を死滅させていても、ETはグラム陰性菌の死骸なので水道水中に残っています。
私たちは普段水道水を飲んでおり、その中にETは含まれます。
それなのに体に問題がないのは、腸管がETを血液の中に吸収させないからです。
しかし、透析治療の場合はダイアライザーを通過して血液中に入ります。
すると、上記でも示したようにショック・発熱・血圧低下・血液凝固などの急性反応が出ます。
コンソールにET補足フィルター(ETRF)を装着しているので大量のETが流れ込むリスクはほぼありません。
しかし、低濃度のETが持続的に流入した場合生体反応が起こります。
よって、ETは基準値内で限りなく低く抑えることが重要です。
ETの単位「EU」ってなに?
EUとは「エンドトキシンユニット」のことで、エンドトキシンを表す単位です。
透析液中のETを定量した単位を「EU」で表します。
超純水透析液ならETは0.001EU/ml未満が基準値です。
生菌ってなに?なぜ測定が必要?
生菌は一般細菌・従属栄養細菌※1の総称です。
【※1 従属栄養細菌ってなに?】
自然の水環境は栄養源が非常に乏しいので、水中を生息場所としている細菌類は、その環境に適応して微量の有機物を利用できる能力があります(=体内に取り入れる的な意味合いです)。
有機物を低濃度に含む培地を用いて低温(25℃)で長時間(5日間以上)培養したときに、培地上に集落を形成する菌全てを「従属栄養細菌」と言います。
ETは低値であっても、生菌が多数存在していることがわかりました。
ET測定キットで生菌を全て測定するのが不十分で、ET値のみでは十分な清浄度を担保することができません。
なのでETと生菌の同時検査が必要です。
透析用水には一般細菌に比べて従属栄養細菌が多く存在するため、透析液管理において検査が非常に重要となります。
生菌の単位「CFU」ってなに?
CFU(colony foming unit)とは、「コロニー形成単位」といいます。
100CFUは100個の集落(コロニー)を形成するだけの菌量ということです。
超純粋透析液なら生菌は0.1CFU/ml未満が基準値です。
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