はじめに
白血球は、異物に対する体を防御するシステムとして、補体や抗体とともに重要な役割を果たしています。
そして透析中では開始直後に減少し、終わりでは増加するといった特徴があります。
それはなぜか理由も含めて解説していきます。
白血球の基準値
白血球の基準値は、日本人間ドック学会基準値を参考にしています。(単位:個/μL)
- 基準値:3,100~8,400
- 高値:8,500~9,900
- 異常値:10,000以上
- 低値:3,000以下
だいたい3,000~8,500でOKかなぁとみています。
白血球は主に、感染症があるかどうかの鑑別にみます。
高値
▶ 症状
発熱・悪寒
▶ 原因
- 感染症
- 悪性腫瘍
- 心筋梗塞
- シャント感染
- 白血病
- 骨髄増殖性疾患 など
透析患者は免疫力が低く、易感染の状態にあります。
なので、感染症にかかりやすく、重症化しやすくなります。
低値
▶ 症状
易感染性(感染しやすい状態)
▶ 原因
- 薬剤投与時の無顆粒球症
- 血液疾患(再生不良貧血・骨髄異形成症候群)
- 重症感染症
- 肝硬変
- 敗血症 など
500/μL以下では、重篤な感染症をきたす可能性があるので、感染予防策を徹底することが大事です。
なぜ透析開始直後に低下するのか?
透析では開始直後に白血球は低下します。
それは、「肺の毛細血管に一時的に白血球が停滞するから」です。
ダイアライザに血液が接触すると補体が活性化し、白血球は肺の毛細血管に停留します。
その結果、末梢血の白血球が減少します。
白血球は透析開始30分頃をピークに減少し、終了時にかけて増加します。
なんなら、終了時では開始時より高く示すこともあります。
なぜ透析終了時に増加するのか?
白血球は透析開始直後に減少して、透析終了時には増加します。
それはなぜかというと、2つの理由があります。
- 肺の毛細血管に停滞していた白血球が、血中に再び流出されるため
- 活性化された補体の作用で、骨髄から白血球が動員されるため
この2つが理由で、透析終了時に増加します。
なんなら透析開始時よりも増加します。
白血球の種類
白血球は上図のように種類があります。
白血球の異常がみられた場合は、白血球の中のどの分画に異常があるのか詳しく見ていく必要があります。
役割
好中球が一番多いです。
割合:好中球>リンパ球>単球>好酸球>好塩基球
白血球の増加はほぼ好中球のことが多いです。
なので好中球の働きを知っておきましょう。
好中球(neutro)の働き
好中球の働きは3つです。
- 食作用:マクロファージ(大食細胞)と共に細菌を攻撃し、貪食する
- 血管外遊走:変形しながら血管壁を自由に通過し、必要な感染源まで到達する
- 化学走性:感染源に近寄ったり逃げたりして、様々な距離感で対処する
ちなみに好中球はノイトロ(neutro)って呼ばれたりしますよ。
白血球の高値と低値 一覧
基本は感染症で増加します。
赤字のとこは大事なので覚えておきましょう。
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