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透析とALP(アルカリフォスファターゼ)《骨代謝も見る》

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検査値
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はじめに

ALPは肝臓の検査値の指標として考えられることが多いですが、透析患者にとっては一概にそうではありません。

透析患者では、肝臓もそうですが、骨代謝も視野に入れる必要があります。

なので、ALPは「P」「Ca」「PTH」と、一緒に総合的に見ることが大事です。

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5分の動画で重要ポイントを解説

ALPってなに?

  • 肝臓や腎臓・腸粘膜などで作られる酵素
  • 肝臓で処理されて胆汁中に流れ出る
  • 基準値:50~350IU/ml(透析患者においては400くらいまでは、大目に見て大丈夫です)

ALPは肝臓で作られ、胆汁の成分として胆管を通ります。

そして胆のうに貯蔵された後、十二指腸に排出されます。

高値:肝内胆汁うっ血・閉塞性黄疸・転移性肝がんなど、主に肝臓のマーカーだと考えられています。

しかし、ALP値は、著しい肝胆道障害の合併がない条件で、骨代謝マーカーとして機能します。

とガイドラインにも記載があります。

ALPアイソザイムってなに?

ALPが著しく高くなった場合、ALPアイソザイムを測定します。

アイソザイム(Isozyme)とは、酵素としての活性がほぼ同じでありながら、タンパク質分子としては別種である(アミノ酸配列が異なる)ような酵素をいいます。

ALPアイソザイムに以下のような1~6の型があります。

  • ALP1:閉塞性黄疸・限局性肝障害
  • ALP2:各種肝疾患・胆道系疾患
  • ALP3:骨の病気副甲状腺機能亢進症(二次性)
  • ALP4:悪性腫瘍の一部
  • ALP5:肝硬変・慢性肝炎
  • ALP6:潰瘍性大腸炎

透析患者では、ALP3の「骨の病気・副甲状腺機能亢進症」に該当して高値を示すことが多いです。

GOT・GPT・γGTPなどの酵素が肝臓のマーカーに使用されていますが、これらに異常がなく、ALPが高値の場合は骨由来を考えます。

骨代謝が亢進(骨粗鬆症が進行)している場合はALPは高値になります。

透析患者は、活性型ビタミンDの欠乏による、低カルシウム血症のため骨代謝が亢進します。

また、ALPが高値の場合はPTHも高値の場合が多いです。

ALPとCKD-MBDの関係性

ALPとCKD-MBD(慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常)には深い関係性があります。

ALPとCKD-MBDに関してわかっていることを下記にまとめました。
(参考:JRDRハイライト(4)血液透析患者における血清ALP値と全死亡、心血管系疾患による死亡、大腿骨頸部骨折新規発症の関連)

  1. ALP値はP値・Ca値・PTH値と同様に、「慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)」の管理目標として、そのモニタリングが推奨されています。
  2. さらにALPは、血管壁にある石灰化抑制因子であるピロリン酸を、加水分解することによって、血管石灰化を進行させます。
  3. ALP値高値で、全死亡や心血管系疾患による死亡リスクが高いことが証明された。
  4. ALP高値での大腿骨頸部骨折新規発症が高い透析患者は、QOLを著しく障害し、生命予後に大きく影響します。

1. の背景として、ALP値がCKD-MBD管理の“surrogate marker”であり、骨・ミネラル代謝異常が骨折血管石灰化のリスクを高めるからです。

※surrogate marker(サロゲートマーカー)とは、医学、薬学研究において診断・治療行為、薬効等の最終評価との関連を科学的に証明できるマーカーのことを指します。

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