はじめに
透析患者は慢性微炎症とも言われるくらい、炎症とは切っても切り離せない仲です。
炎症にはCRPが用いられます。
透析とCRPには、どういった関りがあるのか解説していきます。
CRPの基礎知識
CRP(C-reactive protein)は急性反応性蛋白であり、体内で炎症が起きたり、組織細胞に障害が起こるとこのたんぱく質が増えていきます。
炎症反応をみています。
CRPとは、肺炎球菌のC多糖体と反応する蛋白で、急性期蛋白の一つです。
基準値:0.3mg/dl以下
CRP上昇で疑われる病気は以下の通りです。
- 細菌、ウイルス感染症
- リウマチ熱
- 関節リウマチ
- 心筋梗塞 等
CRPをみてもどこの臓器に異常が起こっているかは分かりませんが、炎症状態の経過をみるのに重要です。
CRPは白血球と一緒に検査値を見ます。
【白血球についてはコチラの記事で解説しています】
CRP生成の流れ
CRPは肺炎球菌などの細菌によって、炎症や組織の破壊を起こします。
すると、サイトカインが肝臓を刺激します。
そしてその肝臓から血液中にCRPが出現する。
という流れになってきます。
CRP上昇の原因3つ
- 感染
- 炎症
- 組織障害
CRP上昇は以上の3つの原因からなります。
そして、CRP高値で疑われる疾患は以下の通りです。
- 細菌感染※1:髄膜炎・副鼻腔炎・脳炎 など
- 悪性腫瘍:ガン・リンパ腫・肉腫 など
- 自己免疫疾患:膠原病(リウマチ・血管炎 など)
- 組織壊死※2:心筋梗塞・急性膵炎 など
※1 ウイルスや真菌の感染は軽度上昇
※2 狭心症はCRP陰性
透析とCRPの関係性
透析治療によってCRPが上昇する原因は以下のようなことがあります。
- シャント感染やカテーテル感染:上昇
- 透析膜との生体適合性が合っていない:軽度上昇
- 透析液中のエンドトキシンや微量酢酸:軽度上昇
また、大事なことは他にもあります
CRPの他の検査値への影響
CRPの上昇が起こると、他の検査値にも影響を与えます。
- アルブミン:↓↓
- Hb:↓↓
- Fe:↓↓
- フェリチン:↑↑
- β2-MG:↑↑
- 血糖:↑↑
このように、体に重要な検査値にも影響が出るので、他の検査値との相互評価も大切です。
また、慢性炎症が起こると栄養障害と動脈硬化を引き起こすMIA症候群という考え方もあるくらい、炎症は本当に大事な分野です。
「慢性炎症」「低アルブミン」「低Hb」
この3つはセットで考える。
CRPが常に中等度(3~5)くらいあって、アルブミンが3.0以下、エリスロポエチン抵抗性貧血があれば、何らかの感染症や炎症、悪性腫瘍を疑います。
そして、エリスロポエチンを投与しても、なかなか貧血が改善しない患者さんは、まずCRPが正常か確認してみてください。
【他の検査値一覧はコチラ!】
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