はじめに
hANPとBNPは透析において体液量を反映したり、心負荷を反映したりします。
そして、DWの評価にも用いられます。
今回はhANPとは何か、BNPとは何かを解説します。
hANP
hANP(human atrial natriuretic peptide):ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド☜長いけど5回口に出していったら覚える
- 心房から出されるホルモン
- 呼び方:ハンプ
- 透析後に採血
- 透析患者の基準値:25~100(pg/dl)
ハンプは、心房から分泌されるホルモンで、体液量の増加によって分泌されます。
心房圧による心房筋の伸展によって分泌が刺激されます。
なので、値が高値の場合は心房負荷や循環血漿量の増加を起こしている可能性があります。
つまり、体液量が多くなる → 体液量多いよーと心房からハンプが分泌されます。
あくまで目安ですが、以下のようにDWの時考えます。
- 100以上:DWを下げる(体液量が多いから)
- 25以下:DWを上げる(体液量が少ないから)
25~60が適正範囲と考える文献もありますが、個人的には上限は100でいいと思います。
注意点としては、心房細動や、弁膜症がある場合は増加します。
なので、hANPを測定した場合は心疾患もみて評価する必要があります。
hANPは除水で素早く低下するので、透析後に測定します。
正確に測定するためには
hANPを最も正確に測定するためには、除水を終了してから30分後に採血をします。
この方法が最も正確にハンプを反映すると言われています。
なぜかというと、hANPホルモンは心房が伸展してから30分でピークを迎えるからです。
なので、除水終了してからすぐの採血では数値が低く出てしまい、過小評価してしまいます。
BNP
BNP(brain natriuretic peptide ):脳性ナトリウム利尿ペプチド
- 呼び方:ビーエヌピー
- 透析後に採血
- 透析患者の基準値:150~200(pg/dl)これに関しては後で解説
BNPの基準値はかなり評価しずらいというのが本音です。
BNPは脳性と書いてありますが、心室から分泌されるホルモンで、心室の筋肉が伸展した場合に値が高くなります。
左室拡張末期圧を反映することから、心不全の診断補助として使用されています。
最初はこのホルモンが脳で見つかったので、脳性という名前になりました。
心不全の重症度マーカーに使用されます。
- BNPが高い:DWを下げる
- BNPが低い:DWを上げる
簡単に言えばこんな感じです。
値が150~200であれば透析患者として心機能(左心機能)コントロール良好と言われます。
BNPはhANPと比較して、変化率が大きいのが特徴です。
重症の心不全ではhANPよりはるかに上昇するので、心不全の指標としてはhANPより優れています。
hANPが適正にもかかわらず、BNPが基準値よりも上昇している場合は、新たな心疾患がないか精査し、循環器で診てもらいます。
BNPの基準値の考え方
BNPの基準値は、適正なDWで、かつ心不全を認めない時点で測定した数値が各個人の基準値である
という考えに基づき、DWの指標にした方が良いのかなと私は思います。
BNPの基準値は150~200と先述しましたが、このようにうまくはいきません。
BNPの代謝経路として腎臓があります。
なので、心不全じゃなくても腎不全の影響で数値が上がってしまいます。
一般の方のBNP基準値は18.4以下で、透析患者さんは150~200なのでおよそ10倍くらいという風に基準値が考えられています。
しかし、DWが正確にはまっている人でも、BNPがかなり上昇したりもします。
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