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糖尿病透析患者の血糖管理《なぜ透析患者にHbA1cを用いないのか?》

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はじめに

透析患者さんの4割以上が糖尿病性腎症が原疾患で、血糖管理は大事です。

血糖コントロール不良が続けば、最小血管症の発症につながったり、生命予後を悪くするといった報告があります。

またタイトルにもある、超重要な「なぜ透析患者にHbA1cを用いないのか?」も解説しています。

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血糖コントロールの基礎知識

透析患者の血糖コントロールには随時血糖値GAの2つを用います。

血液透析患者の糖尿病治療ガイドライン2012記載の基準値は以下の通りです。

  • 随時血糖値(透析前血糖値=食後約2時間後血糖値):180200mg/dl
  • グリコアルブミン(GA):20.0%未満。しかし心血管イベントに既往を有し、低血糖傾向のある患者には24.0%未満が目標

一般の患者さんでは血糖値180~200は数値が高いかもしれませんが。透析患者では低血糖のリスクを回避するために高めに設定されています。

透析患者の血糖値には随時血糖値とGA値を用いて、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は用いません。(後で解説)

低血糖のリスクを回避しつつ随時血糖値、GA値を総合的に判断しながら、血糖をコントロールをします。

なぜ血糖コントロールが重要なのか?

  • 生命予後の改善
  • 細小血管症の抑制
  • 神経症や網膜症の予防
  • 心血管イベントの回避

この中でも一番重要なのが「生命予後の改善」です。

血糖コントロールを目標値内におさめることで生命予後の改善が確認できました。

また「心血管イベントの回避」も非常に重要な項目です。

透析患者の死因第一位が心臓の血管障害であるように、心筋梗塞などの心血管イベントを回避することは非常に重要です。

糖尿病発症初期に厳格な血糖管理を行うことによって、10年後の心血管イベントの発症抑制につながったという報告があります。

なぜ透析患者にHbA1cを用いないのか?

透析患者は以下の理由からHbA1cを用いません。

  1. 赤血球寿命の短縮(60日)通常は120日
  2. 透析による失血や出血(回路内残血など)
  3. 赤血球造血刺激因子製剤(ESA製剤)による幼若赤血球の増加

これらの理由からHbA1cが低値に出て、過小評価につながるからです。

HbA1cは糖尿病患者においても最も一般的に使用される血糖コントロール指標ですが、透析患者には使用されません。

HbA1cとGAの基礎知識

HbA1cの基礎知識は以下の通りです。

  • 過去1~3ヵ月間の平均血糖値を反映
  • HbA0の安定糖化産物
  • 赤血球寿命が120日あり、HbA1cに対する血糖の付与率は1ヶ月前までが50%、1~2ヶ月前が25%、2~4ヶ月前が25%

GAの基礎知識は以下の通りです。

  • 血清アルブミンの糖化産物
  • 半減期約17
  • 過去2~4週間の血糖状態を反映
  • GA値に対する血糖の付与率は、採血直前17日間の血糖が50%、その前の17日間の血糖が25%、更にその前の血糖が25%

血糖とGAの測定頻度

  • インスリン製剤を使用中:透析前血糖値と透析後の随時血糖値を毎回測定することを推奨
  • 経口血糖降下薬を使用中:透析前血糖値を週1回測定が望ましい
  • インスリン製剤と経口血糖降下薬を使用していない:透析前血糖値を最低1ヶ月に1回測定が望ましい
  • GA:1ヶ月に1回が望ましい
  • 非糖尿病患者の血糖値とGA:最低1年に1回透析前血糖値およびGAを測定することが望ましい

透析患者さんの血糖とGAの測定頻度は、インスリンの有無など場合によって違ってきます。(上図)

インスリン使用患者では、透析後で低血糖症状が出ることがあります。

血糖コントロールが良好であれば透析中の血糖値は比較的安定します。

しかし、透析前が500mg/dlを超えるような場合(極端な例ですが)、透析によってブドウ糖が除去され、血糖値が急速に低下します。
(ブドウ糖は分子180のため容易に透析されます)

そのため、透析後半に低血糖症状が出ます。

さらにインスリンを使用している場合、インスリンによる血糖低下作用が働き、より低血糖が起こりやすくなります。

高血糖にも低血糖にもなりやすい

透析患者は、高血糖にも低血糖にもなりやすいという状態です。

腎機能が低下した糖尿病患者の糖代謝には、相反する二面性があります。

それは、インスリン抵抗性(高血糖)とインスリンの蔓延(低血糖)です。

インスリン抵抗性とは、腎臓が悪くなると尿毒症物質が蓄積してインスリンの効きが悪くなります。

これにより高血糖になります。

その逆がインスリンの蔓延です。

インスリンの蔓延とは、インスリンが分解されず取り込みが増え、効果が持続することがあります。

これにより低血糖になります。

腎臓が悪くなると、それまでより少ないインスリンの注射量で血糖を管理できる場合があります。

腎臓は糖も産生している臓器(糖新生:肝臓85%、腎臓15%)なので、腎臓が悪くなると糖が作れなくなります。

※糖新生:血糖を上げる生体反応のこと

インスリン使用者は透析後の低血糖に注意!

透析液に含まれるブドウ糖濃度は100mg/dlです。

昼間の時間帯の透析患者では、食後1~2時間の時点で透析を開始することが多いです。

よって、食後高血糖がある場合は、血液と透析液にブドウ糖濃度格差が生じるため、血漿中のグルコースが透析液中に拡散して、透析中に血糖が低下します。

特にインスリン治療中で透析前血糖が高い例ほど、透析後の血糖値が低下します。

また、その場合透析終了後は血糖が上がることがあります。

なぜかというと、低血糖が起こると、それに反応して血糖を上げるホルモン(グルカゴン)が出てきます。

さらに、透析によりインスリンがある程度除去されています。(透析による拡散除去と透析膜への吸着)

そのため、透析後には高血糖になる可能性もあります。

このように血糖コントロールが不良な場合、著しく血糖値が変動してしまいます!

大事なのは、一日の血糖値の変動を少なくして安定化させてあげることです。

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