毎週月曜更新!次回のブログ更新は9/16(月)内容:なぜ透析中に低血圧が起こる?

透析とNa《摂取基準・口渇閾値》

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はじめに

透析患者のNaについて説明していきます。

Naの基礎知識から摂取基準まで「1日6gの食塩摂取基準は正しいのか?」これも解説していこうと思います。

また口渇閾値も説明していますよ。

  • 「透析とNa」を透析学習塾で動画で学習することができますよ
pdfで誰でも端末保存できる

Naの基礎知識

基準値:136~145mEq/L

Naは体液が濃いか薄いかも反映しています。

  • 高値:脱水が起きているか評価
  • 低値:体内の水分が多いか評価

Naとはいわゆる食塩のことで、Na1,000mg=食塩1gということです。

塩分を多く摂ると、体の濃度が濃くなるので、水分をとって濃度を均一に保とうとします。

塩分を多くとる

体の濃度が濃くなる

喉が渇く

体を薄めようと水を飲むように脳が指令を出す

体重が増える(透析患者の場合尿が出ない)

というような流れになります。

なので食塩を摂ることは体重増加つながってしまいます。

食塩を多く摂ると、「浮腫み」「体重増加」「血圧上昇」にもなるので注意が必要です。

Na摂取と体重増加

先述したように「塩分摂取=水分摂取=体重増加」につながってしまいます。

体内の浸透圧は一定に保たれているので、塩分を多く摂ると、その分水を飲んでしまいます。

7~8gの塩分摂取で水分1L飲んでしまいます

DWを守るために塩分制限が重要になってきます。

体重増加に目安は以下の通りです。

  • 中1日:3%未満
  • 中2日:4~6%未満

この体重増加を守ることで心不全のリスクを減らします。

Naの摂取基準は正しい?

透析患者では一般的に、食塩摂取6g/日未満と言われています。

これなんかおかしいよな…?

体重に関係なく摂取量の基準が設定されています。

例えば…

  • エネルギー:30~35kcal/kg/日
  • タンパク質0.9~1.2g/kg/日

というように、kg当たりの計算が適応されていますよね。

皆さんは患者さんに塩分いくつまでと指導していますか?

私は6gではなくできるだけ少なくという指導をしています。

今は、6g/日ではなく、患者の状態によって調整するとなっています。

透析患者は特殊な病態であるため、食塩摂取6g/日未満を原則とするが、尿量、身体活動度、体格、栄養状態、透析間体重増加を考慮して適宜調整する必要がある

慢性維持透析患者に対する静脈栄養ならびに 経腸栄養に関する提言 透析会誌 53(7):373~391,2020

つまり患者の状態を見て、摂ってもよさそうなら摂るということです。

6gは原則頭に入れておく。

けど、それにこだわりすぎないのが大切です。

なぜ食塩6g/日未満となった?

1997年には0.15g/kg/日であったが、2007年の基準では一律6g/日未満となった。

これは人工透析患者には高血圧の合併が多いことから、日本高血圧学会のガイドラインの数値と齟齬が生じないように決められたと思われる

透析患者の食事療法基準 透析会誌 50(2):133~138,2017

というように、各ガイドラインや報告書で一律6g未満という絶対的な数値から適宜調整することが可能になりました。

体重が違えば摂取基準も違うということです。

水分摂取量は透析間の体重増加とほぼ等しいことがわかっています

栄養関連因子などを補正して有意に生命予後が悪化するのは、透析間の体重増加が3%未満の群です。

つまり塩分の過剰制限もよくない、というわけですね。

【ちょっと面白い】口渇閾値

口渇閾値とは、喉が渇いて飲水行動が刺激される境界ラインのことです。

透析前Na濃度は患者により違いがあり、その変動は約2%以内であることが報告されています(※1

これは、口渇刺激の閾値となる浸透圧レベルは、個々の例で違っていることを示しています。

例を出すと、口渇閾値に相当する血漿Na濃度が136(mmol/L)とします。

透析前血漿Na濃度が136で透析終了後の血漿Na濃度が140だとします。

すると、透析後はNa濃度が136に希釈されるまで、飲水行動が促進されます。

こういうように濃度が落ち着くところまで、水分を摂ります。

つまり、「透析前血漿Na濃度」が「透析液Na濃度」より低い例では(口渇閾値が透析液濃度より低い)、透析液からのNa負荷量が増加します。

そのため透析液濃度との較差が大きいほど、 透析間の体重増加は大きくなる(※2というわけです。

※1 Flanigan MJ : Role of sodium in hemodialysis. Kidney Int, 76 (Suppl.); S 72-78, 2000

※2 de Paula FM, Peixoto AJ, Pinto LV, et al. : Clinical conseqences of an individualized dialysate sodium prescription in hemodialysis patients. Kidney Int, 66(3); 1232-1238, 2004

Naと血漿浸透圧

血漿浸透圧とは電解質により生じる、細胞内から細胞外液(間質液+血漿)に水を引き込もうとする浸透圧のことです。

Naはこの血漿浸透圧に関わってきます。

血漿浸透圧(mOs)=2Na(mEq/L)+血糖値(mg/dl)/18+血中尿素窒素(mg/dl)/2.8

血糖値と尿素窒素は値が小さいため、血漿浸透圧はNaの約2倍で求めることができます。

つまりNaや血糖値、BUNが高いと、血漿浸透圧は高くなるということです。

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