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【透析】鉄関連について解説《Fe・TIBC・UIBC・TSAT・フェリチン》鉄がわかる!

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はじめに

透析患者では腎性貧血の影響から、Feも低下します。

鉄といっても一概にFeだけのことではなく、TSATやフェリチンなども関与してきます。

今回は鉄の考え方や基礎知識を解説します。

  • 血清鉄(Fe)
  • 総鉄結合能(TIBC)
  • 不飽和鉄結合能(UIBC)
  • 鉄飽和率(TSAT)
  • フェリチン(貯蔵鉄)

聞き慣れない用語もあるかと思いますが、これらを理解しておけば、鉄のことがわかります!

  • 「鉄関連」を透析学習塾で動画で学習することができますよ
13分で解説

血清鉄(Fe)

鉄は、ヘモグロビンを構成する因子の一つです。

血液の中では、トランスフェリンというたんぱく質に結合して運ばれています。

基準値:60~210μg/dl

体内総鉄量は3~5g存在しています。

体内総鉄量の内訳は以下の通りです。

  • ヘモグロビン鉄:70%
  • 貯蔵鉄(フェリチン):25%
  • 組織鉄(筋肉や皮膚):5%

透析患者では基本Feは基準値よりも下になっていることが多いです。

腎臓でのクリアランスも低下していることから、血中ヘプシジン※1濃度が上昇します。

ヘプシジンとは、細胞内から血液中への鉄放出を抑制するペプチドホルモンのことです。

つまりヘプシジンが多く合成されると、血液中に鉄が入って来ず、貧血が進行してしまいます。

【鉄と炎症についてはコチラを参考にしください】

鉄は基準値に入っていても、入っていなくても、単体で評価せずにTSATなどで一緒に評価をします。

その説明をしていきます。

TIBC・UIBC・TSATってなに?

鉄欠乏や鉄代謝の評価には「Fe」「TIBC」「UIBC」「TSAT」 などを総合的に見ることが大事です。

  • TIBC(総鉄結合能):「血清中の全てのトランスフェリンと結合できる(結合できる能力のある)鉄の総量」のこと
  • UIBC(不飽和鉄結合能):「未結合のトランスフェリン(不飽和トランスフェリン)と結合できる鉄量」のこと

上図を見るとわかりやすいです。

よって、TIBC=UIBC+Fe の関係が成り立ちます。

TIBCは、全てのトランスフェリンと結合したときの(結合したと仮定)鉄の総量です。

なので総鉄結合能(鉄の結合能力がどれがけるか)と言います。

そして、TIBCのうち鉄が結合している割合を、TSAT(鉄飽和率)と呼びます。

このTSATが非常に重要となってきます。

  • TSAT基準値:20%以上
  • TSAT=Fe ÷ TIBC × 100(%)
  • 読みかた:ティーサット

TSATとフェリチンから、鉄が足りているかどうかが評価できます。

もっと噛み砕いて説明すると…

鉄(鉄とトランスフェリンが結合しているもの)と、鉄と結合していないトランスフェリンの数=TIBC(総鉄結合能)ということです。

トランスフェリンは鉄と結合して運ばれます。

しかし、鉄と結合していないトランスフェリンもいます。

これら2つ合わせてTIBCです。

トランスフェリンはすべての鉄と結合しているわけではありません。

なので、TIBC=UIBC + Fe となります。

TSATはTIBCのうちどれだけ鉄が存在するか割合を出しています

なので、Fe単体で見るのではなく、鉄の評価はTSATでみます。

TIBCのうち鉄がどのくらい占めるかという割合がTSAT(鉄飽和率)です。

この鉄は、トランスフェリンと鉄が結合しているものです。

なので、TSAT=Fe ÷ TIBC × 100(%) の式になります。

TSATの評価

TIBCのうち鉄がどれだけ占めているかという割合がTSATです。

鉄が大量にあっても、その鉄がトランスフェリンと結合していなければ、鉄の輸送能は低いということです。

車両(トランスフェリン)はいっぱいあるけど、人(鉄)が乗っていなければ、意味ないですよね。(下図)

なので、TSATは鉄が足りているかどうかの評価ができます。

フェリチンってなに?

フェリチン=貯蔵鉄でOKです!

遊離されている鉄は毒性が強いので、無毒化するために、タンパク質にくるまれています。

血液中の鉄は、トランスフェリンと結合することによって無毒化されています。

これと同じように、フェリチンはアポフェリチンと結合している状態で存在します。

アポフェリチン + 鉄=フェリチン

となります。

  • フェリチンは肝臓脾臓に存在する
  • 基準値:60100ng/dL
  • 300以上は高フェリチンとなり、透析患者は生命予後が悪くなる

鉄剤(フェジン)の投与基準

フェジン投与開始の推奨は、ESA投与下で目標Hb値が維持できない患者において、血清フェリチン値が100ng/mL未満かつTSATが20%未満の場合

しかしこればかりではありません。

フェジン投与開始の提案は、ESA製剤も鉄剤も投与されておらず目標Hb値が維持できない患者において、血清フェリチン値が50ng/mL未満の場合

推奨、提案とあり、推奨が一番強いです。

一概にフェジンの適応基準はこれ!というのは難しいです。

また、ドクターによってはフェジンの投与をあまり好まない方もいるので、難しいところです…。

高フェリチン(300以上)の透析患者は生命予後が悪いので、鉄剤補充は控えることですね。

参考:2015年版 日本透析医学会 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン

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