はじめに
透析液生成には様々な装置やフィルタを通り、ETや生菌を基準値未満にします。
この過程や測定結果においてバリデーションの概念、考え方が重要となってきます。
ではバリデーションとはなにか?解説していきます。
バリデーションってなに?
透析液の水質に関してバリデーションといった言葉が出てきます。
またガイドラインにもこういった記載があります。
超純粋透析液:透析装置製造業者によってバリデーションされた機器を使用する場合には,その使用基準に従う.
2016 年版 透析液水質基準
といった記載があるように、バリデーションってなに?って感じになりますよね。
バリデーションとは「適切な日常管理、保守管理が行われ、適切な性能が発揮されていること」を示します。
バリデーションは確認や保証、批准、承認と訳されます。
システムの適格性の保証と、それによって得られる製品の品質保証を意味します。
つまりシステムが保証されていれば、おのずと保証された製品が完成しますよね、っていうことですね。
透析液について言えば「透析液供給システムが保証されていれば、透析液清浄化が担保される」ということになります。
つまり、無菌、無ETとなるように(基準値未満になるように)、システムを構築して、検査で実証すること、これをバリデーションといいます。
例えば透析液を生成する過程では、RO装置で水道水をRO水にします。
そして溶解装置に運ばれ、透析液が出来上がり、セントラルで各コンソールに運ばれます。
RO装置ではETや有機物を除去したり、軟水化したり、塩素を除去したり。
そしてETをカットするために、UFモジュールや各コンソールにETRFを設置したりなどなど。
こうしたシステムが予定通りの機能を発揮すれば、問題なく透析液がきれいになりますよね。
そして最後に、ガイドラインで定められた各部位のET値や生菌数をチェックします(検証の実施)。
こういった流れのシステムの構築、検証をバリデーションと言います。
現在の透析液清浄化基準にはこのバリデーションの概念を取り入れています。
そのため透析液作製システムの確実性を要求して、生菌やETの測定はその清浄度の結果を確認するものとの認識を示しています。
日本においても医療の分野でこの考え方は各所で取り入れられています。
日本透析医学会基準もこの概念に基づいて策定されています。
特に、日本で主に用いられているCDDS(多人数用透析液供給装置)では、この概念を取り入れることが必須です。
CDDSではROシステムに代表される透析用水作製装置、透析液供給装置、透析監視装置それらを繋ぐ配管系などがあります。
しかしそれぞれ別の機器メーカによって製造されたものを施設で組み合わせていることが多々あります。
また医療器具としての規制に含まれないものも存在します。
そのため機器メーカによりすべてのシステムの保証を行うことは困難です。
自ずとシステムの管理は個々の施設の責任となります。
個々の施設では透析用水から末端透析液までを一工程として管理する必要があります。
そのため個々の箇所の汚染の程度を確実に把握し、その汚染の下流への影響を極力排除し、末端透析液を基準値に維持することが求められます。
つまり全システムのバリデーションを行うことが必要となります。
以前は、透析液供給システムの上流から末端まで完全な清浄化が必要であるとの考えが強調されたこともありました。
しかしバリデーションの概念では汚染が存在することを前提として、その汚染の程度を把握し、常に下流へ汚染が影響しないシステムを構築することが重要です。
個々のエリアの汚染度を把握し末端エリアへ汚染が伝播することを防止することです。
そのためにもに、各施設の透析器機安全管理委員会によるシステム管理が重要となります。
【関連記事はコチラ】
コメント