はじめに
炭酸Caスケール洗浄剤はいわゆる酢酸のことです。
透析では炭酸Caが蓄積してしまうので、それを除去するための洗浄剤です。
どういった役割や特徴があるのか解説していきます。
透析配管洗浄はシリーズで解説しています。
#1から順にみていくことで、もっと理解が深まりますよ!
各洗浄剤の発揮特性
まずはじめに、炭酸Caスケール洗浄剤の特徴を知る前に、透析の配管洗浄でめちゃめちゃ大事な各洗浄剤の発揮特性を知っておく必要があります。(上図を覚えて!)
透析で除去しなければいけない汚れに対して発揮する力3種類と、その汚れを落とす洗浄剤3つを覚えてください
ココがめちゃくちゃ重要なところです!
↓透析の汚れに対して発揮する力3種類
- 除菌力 → 菌を殺す
- 洗浄力 → 有機物の除去
- 炭カル溶解力 → 炭酸Caの除去
↓洗浄剤3つ
- 塩素系(次亜系)洗浄剤 → 除菌力と洗浄力
- 過酢酸系洗浄剤 → 除菌力と炭カル溶解力
- 炭酸Caスケール洗浄剤 → 炭カル溶解力
炭酸Caスケール洗浄剤と上図の炭カル溶解剤は同じ意味です。
スケールってなに?
炭酸Caスケール洗浄剤の「スケール」とは何かというと、無機物のことです。
スケールとは、一般的に水道水に含まれる無機物(Na,Ca,Mgなど)が乾燥し、残った成分が結晶化したもの
なので、無機物汚れとはスケール汚れのことを指します。
洗浄の分野では無機物汚れは、スケール汚れといいます。
自動車に水がかかって、乾燥すると白く斑点になるよね。
あれをスケール汚れっていうよ。
透析でのスケール汚れとは炭酸Caのことです。
透析液のA剤のCa(カルシウムイオン)とB剤のHCO3-(重炭酸イオン)が化学反応を起こし、炭酸Ca(CaCO3)が析出されます。(下図)
炭酸Caのことを現場では炭カルって言いますよね。
炭酸Caスケール洗浄剤は、透析ラインに蓄積する炭カルを除去します。
炭カルは水に溶けずらい不溶性という性質を持っています。
なので透析ラインに蓄積して、バイオフィルム(菌の塊)の生成につながったり、コンソールの故障につながります。
炭酸Caスケール洗浄剤
上図のように炭酸Caスケール洗浄剤は「酢酸」と「炭酸Caスケール溶解剤」の2つに分かれます。
炭酸Caを除去するのに変わりはないです。
現場では炭酸Caスケール洗浄剤とは呼ばずに、酢酸とみんな呼ぶよね
では2つの特徴を解説していきます。
酢酸
酢酸は30%,70%,99%とありますが、感覚的には30%が多いかなぁと思います。
酢酸のメリット、デメリットを見ていきましょう。
↓メリット
- 優れた炭酸Ca溶解力がある
メリットというか、特徴ですよね。
↓デメリット
- 刺激臭がある
- 高分子部材(ゴム部材)への影響が大きい
- 高環境負荷(甲殻類生物に悪影響)
- 有機物を凝固させる
まとめると、炭カルは良く落ちるけど、臭いヤツって感じです。
次に炭酸Caスケール溶解剤をみていきましょう。
炭酸Caスケール溶解剤(酢酸代替品)
2つめは炭酸カルシウムスケール溶解剤で、これは酢酸の代替品です。
結論から言うと、酢酸よりも優れています。
↓メリット
- 刺激臭なしで優れた炭酸カルシウム溶解力を発揮
- 酢酸と比べて高分子部材への影響が少ない
- 酢酸と比べて環境負荷が低い
- 酢酸と比べて高希釈で使用できるので安価
いわゆる、酢酸のデメリットを補っているということですね。
↓デメリット
- 酢酸臭がしない(入れ間違いがある)
酢酸では刺激臭があることがデメリットなのに、酢酸代替品では刺激臭がないことがデメリットになってる…
刺激臭がしないことは、メリットなんじゃないのか?
酢酸を使い続けていた施設では臭いが無くなることで、入れ間違いが起きないか不安みたいです。
そのため酢酸代替品に踏み切れないのですね。
つまり、刺激臭は一長一短。メリットにもデメリットにもなるということですね。
もし次亜のタンクに酢酸を入れてしまうと、ガスが発生して、大変なことに!
私の先輩は救急車で運ばれたとか…
炭酸Caスケール溶解剤(酢酸代替品)は、高希釈で使用可能なので、コスト面が良くて経済的という長所もあります。
酢酸と酢酸代替品まとめ
では酢酸と炭酸Caスケール溶解剤(酢酸代替品)の特徴を以下にまとめました。
↓酢酸
- 優れた炭酸Ca溶解力
- 環境負荷が大きい
- 刺激臭
↓炭酸Caスケール溶解剤(酢酸代替品)
- 酢酸と同等以上の炭酸Ca溶解力
- 酢酸より環境負荷が小さい
- 刺激臭がない
- 排水基準に対応した製品も
- 除錆機能の付加可能
酢酸代替品のほうが、優れた特性を多く備えた洗浄剤といえます。
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