はじめに
透析の配管洗浄では洗浄方式(いわゆる流し方のこと)にも違いがあります。
シングルパス方式と滞留方式というのがあります。
今回はこの2つの特徴について解説します。
透析配管洗浄はシリーズで解説しています。
#1から順にみていくことで、もっと理解が深まりますよ!
洗浄方式の違い
洗浄方式にはシングルパス方式と滞留方式があります。
- シングルパス:夜間にRO水で滞留する
- 滞留方式:夜間に薬剤で滞留する
夜間にRO水で滞留させるか、薬剤で滞留させるかの違いです。
では、2つの特徴を解説していきます。
シングルパス方式
シングルパス方式は、夜間にRO水で滞留します。
↓特徴
- 薬液残留の可能性が低い
- 急患への対応が速やか
- 滞留方式に比べて細菌繁殖の可能性がある
薬液洗浄した後と、翌朝に水洗が2回入るので、薬液が残留する可能性が低いです。
薬液洗浄後すぐに水洗が入るので、薬液が配管内にある時間が短いです。
なので、急患が来た場合は対応が速やかになります。
急患が来た場合に薬液を封入するタイプだと、そこから水洗いれて、機械動かしてってなると、1時間くらいはかかっちゃう💦
また、薬液を封入する方式ではないので、細菌繁殖の可能性はあります。
滞留方式
滞留方式は、薬液封入方式と言った方が分かりやすいですかね。
薬液洗浄終了後に、薬液を翌朝まで封入する方式です。
メリット、デメリットは以下のような感じです。
↓メリット
- バイオフィルム形成の予防
- デッドスペースの恒常的薬液接触による汚染抑制
- 長時間の接触なので薬液薄めて使用可能 → コストメリットがある
薬液が長時間配管内に存在することによって、除菌や洗浄効果はシングルパス方式よりもあると言えます。
また、デッドスペースにも効果的です。
デッドスペースとは、配管の屈曲などによって薬液が接触しずらい場所のことを言います。
薬液が接触しずらいので、デッドスペースには菌が繁殖しやすくなります。
↓デメリット
- 長時間の接触で腐食のリスク
滞留方式では、薬液が長時間接触するので、配管が腐食する原因にもなります。
特に次亜は金属腐食作用があるので注意が必要です。
メーカーに確認して、滞留時間や濃度を相談した方がいいです。
多人数用(CDDS)と個人用(IDS)
透析液の供給方法は2種類あります。
多人数用透析液供給装置(CDDS)と個人用透析装置(IDS)です。
- CDDS:Central Dialysate Delivery System
- IDS:Individual Dialysis System
多人数用と個人用によっても、シングルパス方式を取り入れるか、滞留方式を取り入れるか異なってきます。
- 多人数用(CDDS)→ 滞留方式
- 個人用(IDS)→ シングルパス方式
です。
CDDSは、セントラル(透析液供給装置)によって洗浄時間が管理されていて、各コンソールのスケジュールも管理されています。
なので全台が同じ時間に薬液洗浄を実施する翌朝の水洗まで、決まった時間が確保できます。
なので滞留方式に向いています。
また、各コンソールに透析液が供給されるので、厳密な清浄化が必須です。
一方、個人用に特徴といえば、すぐにコンソールを動かせるといったところです。
急患が来た時に、すぐにコンソールを動かさなければいけないので、薬液が滞留していないシングルパス方式を用います。
薬液が滞留していると、洗い流すのに時間がかかってしまいます。
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