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#12 透析配管 各洗浄剤の水洗性《何分で洗い流せる?》

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配管洗浄
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水洗性ってなに?

透析配管には主に以下の3種類の洗浄剤が用いられます。

  • 塩素系(次亜系)洗浄剤
  • 過酢酸系洗浄剤
  • 炭酸Caスケール洗浄剤

これら洗浄剤は、人の体内に入ることを想定していません。

水で洗いが流さないと透析は行えませんし、水洗不足で薬剤が体内に入ると重篤な健康被害が出てきます。

今回は何分の水洗で洗い流せられるかなど、各洗浄剤の水洗性について解説していきます。

透析配管洗浄はシリーズで解説しています。

#1から順にみていくことで、もっと理解が深まりますよ!

塩素系(次亜系)洗浄剤

  • 水洗時間の目安:60分
  • チェック方法:水洗水中の総残留塩素:0.1mg/L未満

これらを目安にしてください。

ただ、ベッド数や配管の長さなどで、水洗時間は施設によって異なります。

なので、60分よりも長くなる可能性があります。

もし水洗不足で体内に入ってしまうと、溶血を起こします。

過酢酸系洗浄剤

過酢酸の構成成分である過酸化水素(H2O2)で残留確認をします。

水洗時間の目安は、薬剤の不検出確認後、さらに10分の水洗を加えた水洗時間です。

もし過酸化水素が体内に入ってしまうと(血中濃度:10~20ppm)以下のようなことが起こる可能性があります。

  • メトヘモグロビン値が通常の約6倍に
  • ヘマトクリット値の低下
  • 輸血回数の増加

チェック方法は、過酸化水素残留試薬を用い、検出感度未満(0.05mg/L未満まで検出できるものが良い)に管理することを推奨します。

ただ、過酸化水素にはリバウンド現象が生じます。

過酸化水素のリバウンド現象と対策

リバウンド現象とは、水洗終了後、検出感度以下を確認してから、一定時間経過後、過酸化水素水が再検出されることです

なぜこのようなことが起こるかというと、過酸化水素は分子が小さいので、シリコンチューブ内に入りこんでしまいます。

過酸化水素は分子が小さいからです。

すると、シリコンチューブから再度RO水に溶け込み、再検出されます。

イメージは下図のような感じです。

このリバウンド現象の対策では3つ方法があります。

  1. 水洗時間を伸ばす
  2. 2段階水洗の実施
  3. 水洗水の加温

①は水洗時間を伸ばすことによって過酸化水素を水洗します。

②は2段階で水洗を実施します。どういうことかというと…

水洗30分 → RO水滞留60分 → 水洗30分

という風に水洗と水洗の間に、RO水を滞留する時間を作ります。

そうすることで、RO水滞留の間にチューブ内部の過酸化水素を染み出させます。

③は水洗水の加温です。

RO水を45℃に加温することで、チューブ内部に入り込んだ過酸化水素が速やかに水中に拡散します。

これら3つを状況に合わせて施行します。

炭酸Caスケール洗浄剤

炭酸Caスケール洗浄剤は、つまり酸系の洗浄剤のことです。

  • 水洗時間の目安:30~60分、水洗水のpHがRO水のpHに達するまで水洗する
  • チェック方法:水洗水のpHを測定し、RO水と近似であることを確認

洗浄は基本、酸洗 → 水洗 → 次亜 という風に酸洗が流れてから次亜になります。

なので、酸洗と次亜の間に流れる水洗が十分に行われていないと、酸と次亜が混ざってしまいます。

酸と次亜が混ざると、塩素ガスが発生する可能性があります。

すると、患者やスタッフに健康被害がでたり、装置部材の寿命が著しく短くなったりします。

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