はじめに
シャント合併症の中で一番多いのは狭窄ですが、高度狭窄になるとシャント閉塞へと進みます。
シャントが閉塞してしまうと、VAが使えず、透析ができなくなります。
今回はシャント閉塞について解説していきます。
シャント閉塞ってなに?

シャント閉塞とは、血栓形成などの原因でシャント血流が途絶え、血液が遮断される状態です。
透析治療が困難になるので、早期の治療が必要です。
上図のように、閉塞は狭窄からきます。
高度狭窄があると、そこから末梢は血液が淀み、血流が低下します。
そして血液の淀みから血栓が形成され、シャント閉塞へとなります。
閉塞の分類
シャント閉塞には以下のような2つの分類があります。
- 血栓性閉塞
- 非血栓性閉塞
血栓性閉塞とは、文字通り血栓による閉塞で、圧倒的に多いです。
原因としては、長時間の圧迫による血流遮断や、穿刺時の血腫の形成です。
また高度狭窄からも血栓による閉塞を起こします。
非血栓性閉塞は以下のような特徴があります。
- 狭窄が進行して血管が閉じる
- 血管の瘢痕化
- 血栓は伴わない
- 側副血行路の発達も多い
閉塞シャントのほとんどに血栓を伴うと思います。
非血栓性閉塞がどんなのか私もよくわかりません。
側副血行路

血行障害により主要な血管に閉塞が見られた際に、血液循環を維持するために、新たに自然形成される血管の迂回路のこと
慢性的な閉塞ではシャント本管は拍動化し、側副路には怒張がみられます。
閉塞の原因のほとんどに狭窄が関与しています。
閉塞因子・徴候
狭窄以外の閉塞因子は以下のようなものがあります。
- 低血圧
- 脱水
- 過凝固能
- 外傷
- 穿刺部圧迫
- 感染
また閉塞の徴候は以下のようなことが起こります。
- 狭窄音
- 脱血不良
- 穿刺困難
- 止血不良
- 吻合部スリル減弱
- 狭窄部スリル増強
- 静脈圧上昇
- 再循環
閉塞の対応
(初回投与)ウロキナーゼ(UK)6万単位 + ヘパリン5千単位 + シャントマッサージ
これらの対応をして1時間後評価します。
これで開存していたらVAIVTに移行し、HDをします。
1時間後評価で開存がなかった場合は、UK6万単位追加投与し、変化がなかった場合は外科的処置の施行。
ここで血流が再開した場合は、VAIVTに移行します。
閉塞しないように注意すること(患者側)
患者さんはシャント(特に吻合部)が圧迫されないように、日常生活に気を付けることが大事です。
- 買い物バッグ → 肩から落ちてシャント瘤に当たり、瘤破裂した例もある
- 手をぶつける → 吻合部は注意
- 腕時計 → シャント肢は避ける
- 血圧測定 → シャント肢を避ける
- 腕枕 → シャント肢を下にして寝ない
これらに注意しましょう。
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