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【シャント合併症】感染《原因菌・感染の5徴候・AVGの感染・検査所見など》

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シャント合併症
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はじめに

透析患者では免疫機能の低下から易感染状態(感染しやすい状態)にあります。

透析患者の死亡原因の第2位が感染であり、その原因の一つにシャント感染による敗血症が挙げられます。

患者さんの命綱であるシャントに感染を起こさせないためにも、スタッフが気を付けなければなりません。

今回はシャント感染について掘り下げていきます。

  • 「シャント感染」を図やイラストで分かりやすく学習するならコチラ
10分の動画で解説

原因

シャント感染の原因は、穿刺による針や傷からの感染です

また、穿刺以外にも肺炎や膀胱炎などの全身の炎症を引き起こしている細菌が血液にのり、シャントに付着することもあります。

痒みからも感染を引き起こす引き金になります。

痒い → 引っ掻く → 傷ができる → 菌の侵入

につながってくるので痒みのケアも非常に大事になってきます。

なぜCKDになると感染しやすい?

CKDにおける易感染になると考えられる機序

免疫不全の原因は多岐にわたります。

以下のような腎機能低下によるもの

  • Bリンパ球やCD4陽性Tリンパ球数の低下
  • T細胞、好中球の機能が低下
  • 細胞性、液性免疫の低下

これらの腎機能低下によるものや、以下のようなCKDのリスクでもある

  • 尿毒症
  • 酸化ストレス
  • 血管内皮障害
  • 慢性炎症
  • 骨ミネラル代謝異常
  • 代謝性アシドーシス

これらが免疫応答を低下させ、易感染性になるのではないかと考えられています。

参考:特集 免疫不全宿主における感染症診療 Ⅳ. 腎不全 / 透析と感染症 腎不全/透析と感染症

原因菌

透析患者における黄色ブドウ球菌菌血症の発生率は、一般の患者と比較し46.9倍と報告されています※1)

  • 75%:グラム陽性菌
  • 25%:グラム陰性桿菌

シャント感染の原因菌はほとんどがグラム陽性菌です。

グラム陽性菌の内訳は以下の通りです。

  • MSSA(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌)
  • MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)
  • CNS(表皮ブドウ球菌等のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌)

耐性菌であるMRSAの割合がより高いです。

グラム陰性桿菌は、大腸菌、エンテロバクターならびにクレブシエラを含むものです。

黄色ブドウ球菌感染症の場合は重篤になりやすく、6割程度が菌血症を合併し、その致死率は約20%と高いと報告があります※2)

※1)Suzuki M, et al : Bacteremia in hemodialysis patients. World J Nephrol 5 : 489―496, 2016.

※2)廣谷紗千子:バスキュラーアクセストラブルの診断法と対策.腎と透析,2012;72:573-8.

VAの感染機序

VAの感染機序はその発生時期により異なります。

  • VA作成後30日以内早期感染:術中の細菌混入が主な原因
  • VA作成後30日以降晩期感染:穿刺部からの感染が最大の原因

したがって、穿刺回数の増加に伴い感染リスクは高くなり、長期維持透析患者は高リスクとなります。

感染の5徴候

シャント感染の徴候は以下の通りです。

必須なので必ず覚えておきましょう!

  1. 発赤(シャント肢が赤い)
  2. 熱感(シャント肢が熱い)
  3. 疼痛(安静時でも痛みがある)
  4. 排膿(穿刺部から膿が出ている)
  5. 腫脹(腫れている)

この5つです。

毎透析時にシャント肢の観察をしてください。

AVGの感染

AVG部の発赤に対して最も重要なことは感染を疑うことです

感染の診断の遅延 → 血流感染 → 敗血症 → 致命的な状態に

以下のような診断所見に注意しましょう。

  • 感染の5徴候を伴っているか
  • 穿刺部かどうか
  • 狭窄や閉塞があるか

グラフト感染は見逃さないことが重要

検査所見

グラフト感染は基本的に細菌感染症です。

好中球優位の白血球上昇とCRP上昇を伴います。

しかし、感染がグラフト内に限局している場合は、異常値を示さないこともあるから注意が必要です。

この時の血液培養は必須です。

敗血症の場合は播種性血管内凝固(DIC)を併発し、血小板減少を伴うこともあるので注意です。

感染が限局的か、全身性かは以下のような検査値でおおよそ判断することができます。

感染が限局的な時は以下のような場合です。

  • 白血球↑↑
  • CRP↑↑
  • 血小板

感染が全身性な時は以下のような場合です。

  • 白血球↑↑
  • CRP↑↑
  • 血小板↓↓

気を付けること(スタッフ)

シャント感染を起こさないためには、スタッフと患者両者が気を付けなければなりません。

スタッフは以下のようなことに気を付けましょう。

  • 穿刺の際はしかっり消毒する
  • 広範囲な穿刺部位を選択する
  • 手袋をはめた後で髪などいろいろ触ったりしない
  • スタンダードプリコーション(感染標準予防策)を徹底する
  • 患者の皮膚に合った固定テープを用いる

同一部位ばかり穿刺していると、皮膚のかぶれが起きやすくなるため、他にも穿刺部位があるなら広範囲に穿刺をした方が良いです。

清潔が一番なので、手袋をはめるタイミングは穿刺をする直前が良いでしょう。

汗をかきやすい体質とかで手袋を早めに装着したい方は、穿刺の直前にアル綿でしかっり手指を消毒するようにしましょう。

感染の原因として皮膚のかぶれや傷からの菌の侵入があります。

皮膚がかぶれる原因として、透析回路の固定テープが原因になることがあります。

スタンダードな固定テープで皮膚がかゆくなったり、かぶれるなどの患者さんからの訴えがあれば、皮膚にやさしいテープに切り替えてください。

気を付けること(患者自身)

感染を起こさせないためにも患者自身が気を付けなければなりません。

医療スタッフが気を付けるのは当然ですが、感染では患者自身が気を付けることが最も大事だと感じています。

  • シャント肢を清潔に、石鹸でよく洗い流しましょう
  • 止血パットは翌日にははがしましょう
  • 乾燥から皮膚を守りましょう

シャント肢を洗い流すタイミングは、ペンレスやユーパッチ(痛み止めテープ)を貼る前です。

穿刺場所がわかっている場合は、透析前にはがし、洗っても大丈夫です。

止血パットは翌日には必ずはがしましょう。

血液には細菌が増殖します。

また、皮膚障害が感染を引き起こすことから、保湿が非常に大事です。

皮膚が乾燥すると、皮膚のバリアが壊れてしまい、細菌が入りやすくなります。

保湿ローションを使い、保湿を心がけましょう。

また、傷を作らないためにもペットを飼っている方は注意してください。

他、治療AVGの感染対処フロー図コチラで解説しています。

【他のシャント合併症はコチラ!】

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