毎週月曜更新!次回のブログ更新は9/16(月)内容:なぜ透析中に低血圧が起こる?

nPCR(蛋白異化率)ってなに?

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栄養関連、サルコペニア・フレイル
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はじめに

透析患者ではnPCRを出すことによって、食事によりどれだけタンパク質を摂取したかがわかります。

タンパク質の摂取は透析患者のみならず、透析患者でも非常に重要となってきます。

今回は透析とnPCRについて解説します。

  • 「nPCR」を透析学習塾で動画で学習することができますよ
pdfは端末に保存

nPCRってなに?

nPCR(normal protein catabolic rate):蛋白異化率

nPCRとは、蛋白異化率と訳し、食事によりどれだけタンパク質を摂取したかがわかります。

なぜnPCRの測定が必要かというと、食事により蛋白質を十分な量、摂取できているかを確認するためです。

基準値

基準値:0.91.2(g/kg/day)

炎症が強い患者では数値が低く出ます。

  • nPCRが基準値 → タンパク質をしっかり摂取している指標になる
  • nPCRが1.2以上 → 蛋白質を摂りすぎていないか、BUNやPの値などをチェックする
  • nPCRが0.9以下 → 蛋白質摂取量が少ないか、AlbやPなどの確認、栄養指導など

蛋白質摂取の指標ははnPCR以外にも、「アルブミン値」「BUN」「リン」「GNRI」などがありますので、これらと総合的に評価しましょう。

nPCRが低いからといって、タンパク質が足りてないんだと決めつけずに他の指標もみることが大切です。

参考
・日本腎臓学会「慢性腎臓病に対する食事療法基準 2014年版」
・日本透析医学会「慢性透析患者の食事療法基準」

蛋白異化ってなに?

異化と同化について簡単に説明します。

  • 蛋白同化:アミノ酸からタンパク質を合成して作り出すこと
  • 蛋白異化:体内で古くなったタンパク質を壊すこと

異化はすなわち代謝を意味します。

代謝することにより、生命維持や活動に必要なエネルギーを得ることができます。

同化はつまり合成のことです。

アミノ酸からタンパク質を作り出しているのも同化反応です。

基本的に蛋白同化率と蛋白異化率は同じです。

なので蛋白異化率から、食事の摂取量を推測できるというわけです。

基本的には「蛋白異化速度=蛋白合成速度=蛋白摂取量」ということになります。

nPCRの求め方

nPCR=PCR/BW

↓PCRの求め方

PCR=(G+1.2)×9.35(g/day)

↓Gの求め方

G=(BUNnext pre-BUNpost)×(V/△t)

・ BUNnext pre : 次回透析前のBUN値

・ BUNpost : 透析終了後のBUN値

・ △t : 透析と次回透析までの時間

↓Vの求め方

身長HT(cm)を用いて肥満・るいそうの別を考慮した相関式

・男性:V=-14249+196.78HT+295.71BW

・女性:V=-9926+170.03HT+213.71BW

G:尿素産生速度
BW:透析後体重

nPCRを計算してくれるサイトのリンクを貼っておきます。

CKDに関する計算ツール☜サイト保護がありませんが、滋賀県が運営しているちゃんとしたサイトです

旭化成メディカル

摂取蛋白の代謝過程

蛋白質の異化と合成のバランスがかなり異化に傾いていて、蛋白質総量が減少しつつある過程においても、異化速度と合成速度の差は数%以内にとどまることが知られています。

従って、患者の蛋白動態が極端な異化に傾いている状態でないかぎり、nPCRは蛋白摂取量を反映します。

炎症と蛋白異化

慢性炎症では蛋白合成も蛋白分解も亢進するが、分解の方が合成よりも亢進してしまう

以下の方が亢進されるということです。

つまり計算したnPCRよりも低い数値が示唆されます。

なので炎症が強い患者では参考にならないことが考えられます。

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