はじめに
透析効率を学習する際の関連用語で「TAC」や「クリアスペース」という言葉はよく出てきます。
それぞれどういった意味か解説していきます。
「TAC」ってなに?
TACとは「週初めの透析後BUN」と「次回透析前BUN」の平均が「1週間の平均のBUN」になるという考え方です。
〇TACとは “Time Averaged Concentration”の略です。
〇現場では「タック」って呼んでいます
〇正式には「TAC-BUN」と表記します。(BUNから求めるため)
透析後のリバウンドや尿素産生速度(G)が考慮されているので、重要な指標の一つです。
目標値:60mg/dl
ある文献によると45mg/dl前後を推奨しています。
TAC-BUNには問題点もあります。
【問題点】
〇正常値が特定されていない
➡目標値、推奨値を上記に記載していますが、正確な正常値はまだありません。
〇採血が困難
➡TACを出すためには「週初めの透析後」と「次回の透析前」の2回にわたって採血が必要です。
病院の通常の採血では「週初めの透析前後の採血」と「月に一回透析前採血」です。(病院によって異なります)
なので、TACのように1週間に2回も採血をするというのは、困難だと思います。
【なぜTAC-BUNができたのか?(背景)】
従来は最も高いときのBUNの値(週初め透析前のBUN)だけを見てコントロールの指標としてきました。
しかし、これには全体像が把握されていません。
そこで生まれたのが「TAC-BUN」です。
TAC-BUNは「1週間のBUNの値を平均化」した値を指標にする考え方です。
これによって1週間のBUNの全体像を見ることができます。
【※ここに注意!】
TAC-BUNが低ければ良いというわけではありません。
蛋白摂取量が少ないとTAC-BUNは低くなるので、他の栄養指標との照らし合わせが重要です。
クリアスペース
クリアスペースとは「浄化された体液量」を表します。
言い換えると「毒素なし体液量」のことです。
【クリアスペースの計算式】
クリアスペース(L)=除去量(mg)÷ 透析前値(mg/L)
除去量を透析前値で割るため、除去量の問題点であった前値による影響を消すことができます。
クリアスペース率
クリアスペース率とは「体液の何%が浄化されたか」を表します。
【クリアスペース率の計算式】
クリアスペース率(%)=クリアスペース(L)÷ 体液量(L)
クリアスペースを体液量で割るので、体液量による影響を消すことができます。
クリアスペースとクリアスペース率はBUN以外の物質にも使用できるところが、他の指標とは異なる点です。
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