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サルコペニア・フレイルの基礎知識《透析との関係性》

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栄養関連、サルコペニア・フレイル
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はじめに

現在透析患者の高齢化が進行しており、サルコペニア・フレイルのリスクが増えています。

サルコペニア・フレイルとはなにか?

透析とはどう関係するのか?解説していきます。

  • 「サルコペニア・フレイル」を透析学習塾で動画で学習することができますよ
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サルコペニア・フレイルってなに?

  • サルコペニア:筋肉減少
  • フレイル:虚弱

サルコペニアとは、何らかの状態で筋肉が減り、筋力が低下して、体の動きが悪くなってゆく状態のことです。

フレイルとは、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことです。

つまりサルコペニア・フレイルは、筋肉が減少し、虚弱な状態になることです

サルコペニア(筋肉減少)が起きると、フレイル(虚弱)になるように2つは密接な関りがあります。

サルコペニアとフレイルの関係

サルコペニアとフレイルの関係
  • フレイル:健康と要介護の中間の状態
  • サルコペニア:加齢などに伴う筋肉量の減少のこと

フレイルの最大の危険因子がサルコペニアという考えになります。

なので、フレイルという大枠の中にサルコペニアがあるという感覚です。

サルコペニア(筋肉減少)になると、フレイル(虚弱)になります。

サルコペニアってなに?

サルコペニアとは、何らかの状態で筋肉が減り、筋力が低下して、体の動きが悪くなってゆく状態のことです。

サルコペニアはギリシャ語です。

  • sarcopenia:筋肉減少
  • sarco : 筋肉
  • penia : 減少

といったように言葉を組み合わせています。

日本の透析患者では約40%がサルコペニアと報告されています。

サルコペニアの原因

サルコペニアの原因は加齢だけではなく、以下のような原因があります。

  • 運動量の減少
  • 栄養不良
  • 神経系の問題
  • 慢性的な炎症
  • 酸化ストレス
  • ホルモンの減少

高齢者は消化管機能障害免疫機能低下による易感染性から低栄養になりやすい状態です。

その状態が続くと、身体活動能力が低下して転倒や廃用症候群のリスクが高くなります。

※ 廃用症候群とは、過度に安静にすることや、活動性が低下したことにより身体に生じた様々な状態をさします

これにはPEW(タンパク・エネルギー消費状態)も関わってくるので、コチラの記事も合わせてご覧ください。

フレイルとは

フレイルとは、健康と要介護の中間の状態のことを指します。

加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態です。

Frailty(虚弱)が語源で、2014年に日本老年医学会によって提唱されました。

また、健康とフレイルの間の状態とプレフレイルと言います。

このプレフレイルの状態の時に適切な医療介入を行い、フレイルの段階へと移行させないようにしなければいけません。

日本でのフレイルの割合を以下に示します。

  • プレフレイル:40.8%1)
  • フレイル:8.7%1)
  • 透析患者のフレイル(70歳以上の維持透析):64.8%2)

フレイルにおいては、西高東低で、西に多く、東に少ない結果となってます。

1)日本人高齢者を対象とした調査(東京都健康長寿医療センターの調査)

2)日本フットケア学会雑誌 2018:16(3);121-124 透析患者におけるサルコペニア・フレイルの現状と対策

透析とフレイル

透析患者は食事制限や透析治療によってフレイルになりやすい傾向にあります。

流れは以下のような感じです。

食事制限

筋肉量の減少

サルコペニア発症 → 店頭のリスクが増加し骨折することもある

嚥下機能低下

誤嚥性肺炎 → 高齢者の肺炎の約70%が誤嚥性肺炎

安静・絶食

身体活動量の減少

フレイル進行

透析治療による体への負担で運動機会も減少してしまいます。

透析患者がサルコペニア・フレイルになりやすい理由

  1. 透析治療によるもの
  2. 食事制限
  3. 精神面

この3つが複合的に関わってきています。

一つずつ要因を見ていくと…

1. 透析治療によるものでは、以下の要因があります。

  • 治療後に動けない
  • 時間的制約
  • アミノ酸の漏出
  • 運動不足

透析では約4時間の拘束時間があったり、1回の治療で1~3L程度の除水を必要とするので、体に多くの負担がかかります。

また透析では、老廃物と一緒に体に必要なアミノ酸も除去されてしまいます。

除去されてしまう分、食事により摂取することが重要です。

2. 食事制限では、以下の要因があります。

  • 透析特有の食事制限
  • 低栄養
  • 食欲の低下
  • タンパク異化亢進

透析患者では、リンやカリウムを摂取しすぎない、特有の食事制限があります。

それによって全体の食事摂取量が落ちて、低栄養になることもあります。

またレプチンという食欲抑制物質が溜まることで、食欲を低下させてしまいます。

さらに、慢性微炎症状態によりタンパク異化が亢進されてしまうことで栄養不良を助長させてしまいます。

3. 精神面では、以下の要因があります。

  • やる気の低下
  • 慢性疾患へのショック
  • 無気力状態

透析患者の精神面はネガティブ思考になってしまうことがあります。

透析では死ぬまで治療を続けていかなければなりません。

そのため、何事にも無気力になったり、やる気が低下してしまいます。

透析患者のサルコペニア・フレイルの報告

  • 末梢動脈疾患(PAD)患者は、サルコペニアがあると足病変が進行しやすくなる。さらに生命予後や心血管イベント発症とも関連する。
  • フレイルがあると、下肢切断率が高い
  • フレイルがあると血管内治療後の成績が悪く、救肢率が低下する
  • 基本的な日常生活動作が低下していると、血行再建術後の生命予後が悪い
  • 透析患者では、生命予後や新規入院リスクと関連する

こういった報告があります

参考:透析患者におけるサルコペニア・フレイルの現状と対策日本フットケア学会雑誌 2018:16(3);121-124

フレイル・ロコモ・サルコペニアの関係性

「フレイル」「ロコモ」「サルコペニア」のこの3つは関連性がある言葉として必ず出てきます。

  • フレイル:身体的・心理的・社会的要素によって虚弱すること
  • ロコモティブシンドローム:運動器が衰えて移動機能が低下している状態。立ったり歩いたりする機能が弱まっている。
  • サルコペニア:加齢や疾患などによって筋肉量が減少し、筋力低下が起こること

つまりフレイルは、ロコモやサルコペニアといった運動器や筋肉関連で起こります。

そしてそれにプラスして、精神状態も加わってきている状態です。

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