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サルコペニアの基礎知識

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栄養関連、サルコペニア・フレイル
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はじめに

透析患者では約40%の方がサルコペニアと報告されています。

サルコペニアとは簡単に言うと筋力の低下です。

今回はサルコペニアについて理解を深めて、透析とどう関わるのかも説明します。

  • 「サルコペニア」をコチラでもっとわかりやすく解説してますよ。
誰でもスライドを保存できる

サルコペニアってなに?

サルコペニアとは、何らかの状態で筋肉が減り、筋力が低下して、体の動きが悪くなってゆく状態のこと

サルコペニアはギリシャ語です。

  • sarcopenia:筋肉減少
  • sarco:筋肉
  • penia:減少

日本の透析患者の約40%がサルコペニアと報告されています。

サルコペニアの歴史

  • 1989年 ローゼンバーグ(Rosenberg)博士提唱
  • 2010年EWSGOP1)が診断基準を提唱
  • 2014年AWGS2)が診断基準を提唱
  • 2018年EWSGOP2が診断基準を改定
  • 2019年AWGSが診断基準を改定

1) EWSGOP : ヨーロッパにおけるサルコペニアワーキンググループ
(EWSGOP : European Working Group on Sarcopenia in Older People)

2) AWGS : アジアにおけるサルコペニアワーキンググループ
(AWGS : Asian Working Group for Sarcopenia)

サルコペニアとフレイルの関係

サルコペニアとフレイルの関係
  • サルコペニア:筋力低下
  • フレイル:虚弱を意味し、健康と要介護の中間の状態

なので、フレイルという大枠の中にサルコペニアがあるといったイメージです。

フレイルの最大の危険因子がサルコペニアになります。

筋力の低下

80歳頃までに、20歳代から比べ、30~40%の筋肉が失われると言われています。

また、65歳以上の15%がサルコペニアに該当すると言われています。

サルコペニアの原因

サルコペニアの原因は加齢だけではなく、以下のような原因が複合的に絡み合っています。

  • 運動量の減少
  • 栄養不良
  • 神経系の問題
  • 慢性的な炎症
  • 酸化ストレス
  • ホルモンの減少

高齢者は消化管機能障害免疫機能低下による易感染性から、低栄養になりやすい状態です。

その状態が続くと、身体活動能力が低下して転倒や廃用症候群のリスクが高くなります。

サルコペニアの分類

サルコペニアの分類は一次性二次性に分かれます。

一次性サルコペニアは加齢性サルコペニアのことです。

加齢性サルコペニア:加齢以外に明らかな原因が無いもの

二次性サルコペニアは以下の3種類に分かれます。

  • 活動量に関連するサルコペニア:寝たきり、不活発な生活習慣、体調不良、無気力状態が原因
  • 疾病に関連するサルコペニア:重症臓器不全(心臓・肺・肝臓・腎臓・脳)、炎症性疾患、悪性腫瘍や内分泌疾患に付随するもの
  • 栄養に関連するサルコペニア:吸収不良、消化管疾患、および食欲不振を起こす薬剤使用などに伴う、摂取エネルギーおよび/またはタンパク質の摂取量不足に起因するもの

サルコペニアの原因となる病気(疾患)3つ

サルコペニアの原因となる病気(疾患)大きく分けて以下の3つあります。

  1. 神経筋疾患
  2. 炎症と侵襲
  3. 悪液質

1つ目の神経筋疾患は、筋ジストロフィーや皮膚筋炎(多発性筋炎)などです。

2つ目の炎症と侵襲では、感染症や外傷によって、高度な炎症や侵襲のある人です。

ICUの患者は1日に1kg筋肉量が落ちるケースもあります

3つ目の悪液質では、ガンや慢性の臓器不全(心、肝、腎、呼吸など)に伴う悪液質によるものです。

悪液質とは何らかの病気に伴う、慢性炎症によって起こる脂肪組織と骨格筋の両方が消耗する病態のこと

透析患者がサルコペニア・フレイルになりやすい理由

  1. 透析治療によるもの
  2. 食事制限
  3. 精神面

この3つが複合的に関わってきています。

一つずつ要因を見ていくと…

1. 透析治療によるものでは、以下の要因があります。

  • 治療後に動けない
  • 時間的制約
  • アミノ酸の漏出
  • 運動不足

透析では約4時間の拘束時間があったり、1回の治療で1~3L程度の除水を必要とするので、体に多くの負担がかかります。

また透析では、老廃物と一緒に体に必要なアミノ酸も除去されてしまいます。

除去されてしまう分、食事により摂取することが重要です。

2. 食事制限では、以下の要因があります。

  • 透析特有の食事制限
  • 低栄養
  • 食欲の低下
  • タンパク異化亢進

透析患者では、リンやカリウムを摂取しすぎない、特有の食事制限があります。

それによって全体の食事摂取量が落ちて、低栄養になることもあります。

またレプチンという食欲抑制物質が溜まることで、食欲を低下させてしまいます。

さらに、慢性微炎症状態によりタンパク異化が亢進されてしまうことで栄養不良を助長させてしまいます。

透析による免疫機能の低下(慢性炎症)や、多量な内服から引き起こされる消化管機能障害が起こりやすい状態です

なので、一般の人に比べて、サルコペニアになりやすいです。

3. 精神面では、以下の要因があります。

  • やる気の低下
  • 慢性疾患へのショック
  • 無気力状態

透析患者の精神面はネガティブ思考になってしまうことがあります。

透析では死ぬまで治療を続けていかなければなりません。

そのため、何事にも無気力になったり、やる気が低下してしまいます。

サルコペニアと骨折

筋力が低下することで、すぐに転倒しやすくなり、骨折へとつながってしまいます。

筋力低下

転倒しやすい

骨折

安静(体を動かさない)

そして、安静にすると余計に筋力が低下する、といった悪循環になってしまいます。

透析患者さんは一般人に比べて骨折しやすいので、転倒による骨折に注意です。

以下のような報告もあります。

透析患者は健常人に比べて大腿骨頸部骨折のリスクは、男性で6.2倍、女性で4.9倍と高い。

J Bone Miner Metab. 2013 May;31(3):315-21 Increased risk of hip fracture among Japanese hemodialysis patients. Wakasugi M, et al.

透析患者は骨折を起こすと死亡リスクが3.8~11.6倍上昇する。

Kidney Int. 2014 Jan;85(1):166-73 High rates of death and hospitalization follow bone fracture among hemodialysis patients. Tentori F, et al.

サルコペニアの悪循環

食事量が落ちると、低栄養になり、筋肉量が低下してきてサルコペニアになります。

すると基礎代謝や筋力が落ちてきて、活動量が減り、消費エネルギー量も低下します。

すると、食事量もまた落ちるといった悪循環に陥ります。

この悪循環に陥ってしまうと、抜け出すの困難です。

悪循環を断ち切るためにも、早めに対処することが重要となってきます。

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