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サルコペニアの予防・診断《食事・運動・SARC-F・SPPB》

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栄養関連、サルコペニア・フレイル
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はじめに

サルコペニアの予防には食事、特にたんぱく質の摂取が大事です。

また診断には自宅で簡単にできるものもあります。

今回は食事と診断を軸に説明していきます。

  • 「サルコペニア」をコチラでもっとわかりやすく解説してますよ。
9分で解説

サルコペニアってなに?

サルコペニアとは、何らかの状態で筋肉が減り、筋力が低下して、体の動きが悪くなってゆく状態のこと

サルコペニアはギリシャ語です。

  • sarcopenia:筋肉減少
  • sarco:筋肉
  • penia:減少

日本の透析患者の約40%がサルコペニアと報告されています。

筋タンパクの合成と分解

筋タンパクは合成と分解をすることによって、日々作られたり、壊されたりしています。

若年者では、筋肉の合成と分解が均一に保たれています。

そのため、普通の生活で大幅に筋肉が増減することはありません。

しかし高齢者では、筋肉の合成が減少し、分解が増加します。

なので、普通の生活を送っているだけでは筋肉が減少してしまいます。

高齢者は、筋肉が減少してサルコペニアにならないように予防することが大事です。

サルコペニアの予防(食事と運動)

サルコペニアの予防には、食事運動が有効です。

筋肉は蛋白質をしっかり摂取することで産生されます。

なので、蛋白質の豊富な食事を心掛けることが大事です。

透析患者には多量に摂取していけない食べ物があります。

乳製品はリンが多いので透析患者には注意が必要です。

蛋白質摂取量の目安は0.9~1.2(g/kg/day)です。

つまり、50kgの人なら1日に45~60gの蛋白質摂取が推奨されます。

蛋白質の含有量を以下に示します。(100g当たりの計算)

  • 鶏ささみ:23g
  • 鶏むね肉:20g
  • 鶏モモ肉:19g
  • 牛肉:19g
  • 豚バラ14g
  • かつお:26g
  • イワシ(焼き):26g
  • マグロ赤身:26g
  • 鮭:22g
  • ぶり:21g

ぜひ参考にしてみてください。

サルコペニアの予防は運動もあります。

自宅でできる運動

上図のように自宅で簡単にできる運動もありますので、時間のある時にやってみましょう。

サルコペニアの診断

サルコペニアの診断は以下の3つがあり、総合的に判断します。

  1. 筋力の低下:握力
  2. 身体機能の低下:立ち上がりテスト
  3. 筋肉量の減少:BIA法・DXA法

1つ目の筋力の低下では、握力を検査します。

  • 男性:28kg未満
  • 女性:18kg未満

この数字を下回っていたら、疑いがあります。

2つ目の身体機能の低下では、立ち上がりテストをします。

椅子に座った状態で立ち上がりを5回反復して行い、何秒かかるかを測定します。

12秒以上で疑いがあります。

3つ目の筋肉量の減少では、BIA法、DXA法があります。

  • BIA法:微弱電流を流し、組織の電気抵抗値を測定
  • DXA法:2種類のX線を当て、透過性の違いから測定

握力と立ち上がりテストで疑いがあるか確認し、その後筋肉量を測定します。

自分でできる診断

サルコペニアかな?と思ったら自分でも診断できます。

  • 片足立ちテスト
  • 指輪っかテスト
  • 歩行速度テスト

片足立ちテストは、両手を腰に当てて片足を5cm浮かせます。

その状態で60秒キープして、足を交代してもう一度します。

これで8~15秒未満は疑いがあります。

次に指輪っかテストです。

人差し指と親指で輪っかを作ります。

利き足ではない方のふくらはぎの1番太い部位に通します。

この時、ふくらはぎより輪っかの方が太ければ疑いがあります。

次に歩行速度テストです。

6m以上の距離を歩く速度を計測します。

歩行速度が1秒当たり0.8~1m未満の場合は疑いがあります。

サルコペニアの診断(AWGS2019)

サルコペニアの診断(AWGS2019)
AWGS2019の基準値一覧

サルコペニアの診断は、コミュニティーセッティングクリニカルセッティングの2つのセッティングから判定が可能です。

これはサルコペニアの判定を地域で広くスクリーニングするためです。

まず最初はサルコペニアを発見することから始まり、そこで引っかかれば評価に移ります。

そして、そこで疑いがあれば確定の診断をして、サルコペニアか重症サルコペニアかの診断になります。

SARC-F

SARC-F(サークエフ)とは、サルコペニアのスクリーニングに用いることを推奨している、5つの質問で構成された質問紙のこと

先ほどのサルコペニアの診断の「発見」のところでSARC-Fがあったかと思います。

SARC-Fは以下のような質問で、点数化します。

これらを質問していき、合計点数が4以上で引っかかります。4未満ならセーフです。

SARC-Fのアルファベットは以下のような意味です。

  • S(Strength):力の弱さ
  • A(Assistance walking):歩行補助具の有無
  • R(Rising from a chair):椅子からの立ち上がり
  • C(Climbing stairs):階段を登る
  • F(Falls):転倒

SPPB

SPPB(Short Physical Performance Battery)とは高齢者の下肢機能を3項目で評価するツールです

先ほどのサルコペニアの診断の「確定」のところでSPPBがあったかと思います。

SPPBは以下のようなテストで、下肢機能を評価します。

  • バランステスト
  • 歩行速度
  • 5回立ち上がりテスト
SPPBの診断

上画像の3つのテストを行い、合計点数が9以上でサルコペニアの疑いがあります。

サルコペニア肥満

サルコペニア肥満とは、筋肉量が少なく、脂肪量が多い状態のことです

年齢が上がるほど増え、特に女性の方がなりやすいといった特徴があります。

サルコペニア肥満は、通常の肥満よりも生活習慣病などにかかりやすい。

運動能力、特に歩行能力を低下させるため、寝たきりになるリスクを高めます。

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