【臨床工学技士のお仕事を知ろう!】
✅臨床工学技士とは何かを説明
✅各業務の仕事内容について紹介
臨床工学技士ってどんな仕事?
臨床工学技士は医療の現場で、※生命維持管理装置の操作や、保守・点検を行う仕事です。
※ 生命維持管理装置とは、「生命を維持する機能が低下あるいは停止した場合、その機能の代わりを行う装置」のことです。
✅生命維持管理装置:人工心肺装置・人工呼吸器・血液透析装置など
患者の生命を預かる重要な仕事で、臨床工学技士には医学的知識はもちろん、高い工学的知識や技能も必須です。
臨床工学技士になるためには、国家資格の取得が必要です。
✅臨床工学技士は院内ではME(Medical Engineer)やCE(Clinical Engineer)と呼ばれています。
昨今の高度な医療技術の進歩に伴い、医療機器の高度化・複雑化が一層進む中で、臨床工学技士の存在が求められています。
よく「医療機器のスペシャリスト」と言われます。
今後ますます増大する医療機器の安全確保と、有効性維持の担い手として、チーム医療に貢献しています。
臨床工学技士の歴史
★1987年:臨床工学技士法制定(現在34年の歴史)※2021年現在
臨床工学技士の歴史は他の医療職種と比べると浅いです。
検査技師1958年(63年)、放射線技師1968年(53年)
★1997年:教科書編成委員会を設立➡育成に必要な教科書作りを検討
★1998年:規制緩和推進3カ年計画➡医療技術者等の養成ができるようになる
★2007年:改めて「教科書検討委員会」を設立し、教科書作成事業を再開する➡臨床工学技士養成施設で学ぶ全ての学生のために「臨床工学講座」を販売
卒業生なら誰しもが購入する「臨床工学講座」ですね。
あの黄色いヤツ。
現在では約70もの臨床工学技士養成施設があります。
臨床工学技士の業務
①血液浄化業務
②呼吸治療業務
③人工心肺業務
④手術室業務
⑤集中治療業務
⑥心血管カテーテル業務
⑦高気圧酸素業務
⑧ペースメーカー/ICD業務
⑨医療機器管理業務
⑩内視鏡業務
①血液浄化業務
「透析業務」とも呼ばれます。
腎臓の機能が低下し、体内に溜まった老廃物や水分を排泄できなくなった場合に行う治療です。
血液透析療法や、血漿交換療法、血液吸着など様々な血液浄化療法があります。
【臨床工学技士の仕事】
★透析開始時の穿刺・返血
★透析装置の操作・治療中の装置確認
★透析装置の保守点検・トラブル対応
②呼吸治療業務
肺の機能が線維化などで機能しなくなり、呼吸が十分にできなくなった患者さんに、呼吸を代行するために、人工呼吸器という装置が装着されています。
呼吸療法も様々な種類があります。
PCV/VCV/SIMV/PSV/ネーザルハイフローなどなど
【臨床工学技士の仕事】
★装置の使用中点検・人工呼吸器保守点検
★人工呼吸器装着時の機械準備・立ち合い
★院内ラウンド
③人工心肺業務
心臓手術の際、心臓や肺に代わる働きをするのが体外循環装置(人工心肺装置)です。
その装置の周辺には、様々な機械が同時に使用されています。
➡「心筋保護装置」や「自己血回収装置」
【臨床工学技士の仕事】
★人工心肺装置の操作や保守・点検
★全ての機器の使用前点検
④手術室業務
手術室には大小合わせて医療機器が多数存在します。
【器械出しってなに?】
手術に使うメスや鑷子など、様々な器械をドクターにタイミングよく渡すことが役割です。
状況に応じて必要な器械を準備し、臨機応変な介助が求められます。
そのため、手順・必要物品を把握しておく必要があります。
【臨床工学技士の仕事】
★全ての機器の操作や使用前の点検
★小物器械の使用前動作点検
★麻酔器の使用前点検
⑤集中治療業務
集中治療室では、心臓や頭などの手術後の患者さんや、呼吸・循環・代謝などの機能が急に悪くなり、命に関わる患者さんを収容して集中的に治療を行います。
集中治療室での生命維持管理装置の操作
生命維持管理装置➡PCPS・IABP・持続的血液浄化装置・体外設置型補助人工心臓装置など
【臨床工学技士の仕事】
★生命維持管理装置の操作、管理
⑥心血管カテーテル業務
心血管カテーテル検査は、心臓病の診断をするための検査方法です。
この検査は、手術の適応、術式を決定する重要な検査です。
【IVUS(血管内超音波)ってなに?】
カテーテルを使用して、血管内から観察を行う侵襲的な検査方法です
術前に病変の形態や血管の径、長さなどの情報を得ることができます。
【臨床工学技士の仕事】
★検査一連の記録をするためのコンピュータ操作
★検査室内にある装置の操作・体外式ペースメーカー操作
⑦ペースメーカー/ICD業務
不整脈に苦しむ患者さんは、ペースメーカー、植え込み型除細動器(ICD)といった機器を体内に植え込む手術を行います。
【ペースメーカーってなに?】
心筋に電気刺激を与えることで必要な心収縮を発生させる医療機器のことです。
洞不全症候群や房室ブロックなどの徐脈を起こす疾患に適用されます。
【臨床工学技士の仕事】
★ペースメーカープログラム操作・管理
★体外式ペースメーカーの操作・管理
★不整脈モニタリング
⑧医療機器管理業務
医療施設の様々な分野で使用される医療機器を、安全に使用できるようにしています。
また、機器の性能が維持できるように保守・点検を行います。
医療機器を一括管理し、効率的で適切な運用ができるようにしています。
《保守・点検を行う機器》
輸液ポンプ/シリンジポンプ/吸引機/酸素ダイヤルなど
【臨床工学技士の仕事】
★医療機器の保守・点検・定期点検
★機器故障時の対応
★各病棟トラブル対応
⑨高気圧酸素業務
高気圧酸素治療とは、閉鎖された空間(酸素カプセル)に患者を入れて、気圧を通常の大気圧よりも高くします。
それによって、血液中に溶解する酸素の量(溶存酸素)が増えることにより、治療効果が期待されます。
【臨床工学技士の仕事】
★高気圧酸素治療装置の操作
★患者バイタルの確認
★事前持ち物チェック(火災につながるため大事)
⑩内視鏡業務
胃や腸などの消化器官に関する病気の早期発見・治療のために、行われます。
先端にカメラのついた細い柔軟なチューブを口や鼻、肛門から挿入し、消化器官内部の検査をします。
《使用する機器》
スコープ/電気メス/超音波装置
【臨床工学技士の仕事】
★内視鏡及び周辺機器の保守点検・定期点検
★検査の介助
「ECMO」ってなに?《コロナで大注目!》
コロナで「ECMO(エクモ)」の需要が高まっています。
また、ECMOは臨床工学技士が操作するので、臨床工学技士も注目されています。
ECMO(extracorporeal membrane oxygenation)は、呼吸を代替する最後の砦で、「体外式膜型人工肺」といいます。
「人工肺とポンプを用いた体外循環回路による治療」のことです。
【適応】
★通常の治療では救命困難な重症呼吸不全や循環不全のうち、可逆性の病態に適応されます。
★ECMOは呼吸不全の原因疾患が回復するまでの「時間稼ぎ」でもあります。
ECMOの分類
ECMOは「V-V ECMO」と「V-A ECMO(PCPS)」に分けられます。
コロナではV-V ECMOを実施します。
ECMOは最後の砦
ECMOの導入は肺が本来行うべき酸素化と、二酸化炭素除去を代替し、肺を全く使用しなくてもよい状況を作り出します(Lung Rest)。
✅ECMO=肺を休める
臨床工学技士とECMO
【臨床工学技士のECMOへの関わり】
★装置の回路を組む➡管や装置に気泡が入らないように準備
★導入時➡血流量や酸素濃度の確認
★作動状況をチェック➡回路の血栓確認や圧力値確認
★患者の容体確認➡容体に合わせて設定値を確認
★24時間体制で管理➡どんなトラブルがあっても対応
ECMOはチーム医療
ECMOには、様々な職種の医療スタッフが関り連携します。
★看護師➡体位変換や点滴
★理学療法士➡身体機能を保つ
★放射線技師➡レントゲン撮影
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