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透析とHIT(ヘパリン起因性血小板減少症)

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その他
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はじめに

透析では循環回路内が固まらないようにするため、抗凝固剤であるヘパリンが使用されることがほとんどです。

しかしそのヘパリンにアレルギー反応を示すのがHIT(ヘパリン起因性血小板減少症)です。

今回はHITについてまとめました。

  • 「透析とHIT」をコチラでもっとわかりやすく解説してますよ。
15分で解説

HITってなに?

HIT(heparin induced thrombocytopenia):ヘパリン起因性血小板減少症

HITとは、「ヘパリンにより血小板が活性化され、血小板減少とともに新たな血栓・塞栓性疾患を併発する病態」のことです。

透析患者の血小板異常は「体外循環に伴う血小板減少」がほとんどです。

しかしHITではヘパリン使用による起因性血小板減少症です。

日本人の透析HITを対象とした調査では、その発症は3.9%と報告されています

ちなみに低分子ヘパリンでもHITにはなりますが、その確率は非常に低いです。

HITは透析導入期にみられます。

※ 透析会誌 49(5):323~330,2016 透析におけるヘパリン起因性血小板減少症の特徴

分類

HITの分類

HITの分類で一番多いのは通常発症型HITで、約70%を占めています。

その次は急速発症型HITで約30%を占めています。

その他は極めて少ない割合です。

基本的に通常型と急速型の2つだけ覚えていればいい思います

自然発症型HITは直近のヘパリン曝露が無いにも関わらず手術や外傷、感染を契機にHIT症状が出るといった特徴があります。

これは近年増えているので注意です。

診断

HITの診断を以下に示します。

ヘパリン投与中もしくは投与後の血小板が30~50%以上低下し、播種性血管内凝固(DIC)、薬剤、重症感染症など、他に血小板減少をきたす原因がないこと

つまり言い換えると

血小板をきたす病気にかかっていないのに、血小板値が前採血よりも後採血が30~50%低下していたら、HITが疑われるということ

透析においては「回路内残血」+「透析後血小板の減少(30以上の減少)」はHITがかなり強く疑われます。

4Tスコア診断

4Tスコア法によるHITの臨床診断へのアプローチ
  • 0~3点:HITの可能性低い: HITは除外してよいと考える(0~3点のHIT確率は0.2%)
  • 4~5点:中間:HIT抗体の検査を実施
  • 6~8点:高い: ヘパリンの使用を全て中断し、HIT抗体の検査を実施

HITの診断には4Tスコア診断が用いられます。

回路内残血は「Ⅲ 血栓症」に該当し1点加算する

診断フローチャート

診断フローチャート

臨床的にHITを疑えば4Tスコア診断を実施します。

そこで中リスク、高リスクとなった場合は、ヘパリンを中止し、HITのスクリーニング検査をします。

そこで陽性だった場合、機能的測定法をして最終的な判断に至ります。

機能的測定法で陰性だった場合、HITは除外されます。

透析の場合は下記のような流れになると思います。

臨床的な症状

4Tスコア診断

HIT抗体検査

HIT発症のメカニズム

HIT発症のメカニズム

HIT発症はこういったメカニズムになります。


上画像の番号と照らし合わせながら説明していきます。

①②の説明

ヘパリンが投与されるとPF4(血小板第4因子)との複合体(PF4/ヘパリン複合体)が形成される。

③④の説明

この複合体を新生抗原と見なしてHIT抗体が産生される。

産生されたHIT抗体はPF4/ヘパリン複合体(抗原)と免疫複合体を形成します。

⑤の説明

形成された免疫複合体は血小板膜上のFcγIIA受容体に結合して血小板を活性化する。

活性化された血小板からは、さらにPF4が放出されて一連の免疫反応が促進される。

⑥の説明

とともに、凝固促進因子であるマイクロパーティクルが放出されトロンビン産生が促進される。

また、この免疫複合体は単球にも作用して組織因子を発現させる。

⑦⑧の説明

一方、内皮細胞上では、ヘパラン硫酸とPF4の複合体を抗原としてHIT抗体との免疫複合体が形成されて、内皮細胞が活性化される。

活性化された内皮細胞上では組織因子が発現してトロンビンが産生される。

というようになります。

このようにトロンビンが過剰に産生されるのがHITの特徴です。

症状

HITの症状は基本的に血小板減少動静脈血栓症

血小板減少では以下のようなポイントがあります。

  • 血小板減少はHIT患者の95%でみられる
  • 典型例では出血傾向はない

稀ではありますが、HITが進行してDICになると、血小板数:2万個/μL未満かつ、血栓症及び出血傾向を伴うこともあるので注意です。

動静脈血栓症では動脈よりも静脈血栓症が多いといった特徴があります。

なぜかというと、HITはトロンビンの過剰産生だからです。

静脈血栓症 : 深部静脈血栓症やカテーテル関連血栓症

透析中に起こると考えられる症状は以下の通りです。

  • 回路内残血
  • 透析後血小板の減少(30~50%の著名な減少)
  • 好酸球増多症
  • 胸部不快感
  • 血圧低下(ショック症状になることも)
  • 呼吸困難
  • 発熱

HITは血小板が減少するにも関わらず、回路内残血や血栓合併症が見られるんですよね。

注意点やポイントは以下の通りです。

  • 低酸素血があるが、画像で確認できない偽性肺塞栓症を合併するのが特徴
  • 透析開始5~30分でアナフィラキシー様反応が発症する
  • HIT発症のリスクの高い透析導入期は、血小板数のモニターを行う

また、透析のヘパリンは2~3日間隔で投与されることが多いです。

なので導入後4~6回目の透析の際に、30%以上の血小板減少から発見されることが多いようですね。

透析患者のHITはほとんどが導入時に発症します。

しかし透析15年目に初発したという超レアケースもあります。

HITまとめ

  • 透析患者ではヘパリン使用によりHITになる
  • 低分子ヘパリンでも同様に起きる(発症率は低い)
  • HITの使用可能な抗凝固薬はアルガトロバン
  • ナファモスタットでも透析施行可
  • 回路内残血 + 血小板減少 + アナフィラキシー様症状(この3つでHITの疑いは強くなる)
  • 透析導入期に多い(導入後4~6回目で発見されることが多い)

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