はじめに
透析は昔と違い、現在ではHDFが主流になってきています。
2019年には全体患者の42%がHDFモードを施行しています。
近年オンラインHDFが主流になっており、オフラインHDFに触れる機会はかなり少なくなってきたのではないかなと思います。
そこでオンラインHDFとオフラインHDFの違いを解説します。
オンラインHDFとオフラインHDFの違い
オンラインHDFとは透析液を補充液として使用して、大量置換が可能なHDFです。
大量置換が可能になることによって、より多くの老廃物を除去することができます。
オンラインは透析膜に入る前で分岐して、チャンバに投与されます。
なので、ラインが繋がっているという意味でオンラインと言います。(下図)
また、オンラインでは透析液を用いるため水質検査を厳重に行わなければいけません。
定められた水質基準をクリアしていないのに、オンラインHDFを実施することはかなり危険です。
オンラインHDFではHDと違い、直接患者の血液中に透析液が入ってしまいます。(HDでも内部濾過なら入ってしまうけど…)
透析液の水質が保たれていないと、ET(エンドトキシン)などの細菌が体内に入ってしまい、発熱や血圧低下などを引き起こします。
オンラインHDFでは、前希釈と後希釈があります。
透析膜よりも前で希釈する方法を前希釈と言い、Aチャンバから補充します。
一方、透析膜よりも後で希釈する方法を後希釈と言い、Vチャンバから補充します。
日本では圧倒的に前希釈が多いのが特徴です。
一方、オフラインHDFとは市販液を用いて、実施するHDFです。
オフラインHDFでは、製薬会社の工場で製造された市販液を用います。
だいたいサブパックという補充液が使用されます。(下図)
オフラインでは市販液を用いるので、透析液とラインが繋がっているわけではありません。
なので、ラインが繋がっていないという意味でオフラインと言われます。
また、オフラインでは透析中の市販液の交換が必要となり大量置換ができません。(10L前後)
なので、前希釈と同等の効果を得るためにVチャンバから補充します。
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オンラインHDFの臨床効果
オンラインHDFでは様々なメリットがあります。
- 血圧低下予防
- 貧血改善
- 搔痒症の改善
- レストレスレッグス症候群の改善
- 骨・関節痛等の症状の改善
など、様々な合併症の改善が期待できます。
これらはオンラインHDFをすることによって、通常のHDでは除去しきれない物質が抜けるからと考えられています。
オンラインHDFでは約40~60Lの補液を投与します。
これはつまり、補液量が多いということは、それだけ濾過量も多いということです
なので、濾過圧が強くかかり、HDでは除去しずらい大きな物質も除去することができます。
一方オフラインでは10L程度しか補液をすることができないので、濾過量も少なくなってしまいます。
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透析液の清浄化
オンラインHDFを実施するためには透析液の清浄化が必須です。
一番新しいガイドラインは2016年の透析液水質基準です。
これは日本透析医学会が出しているものです。
オンラインHDFをするにはこのガイドラインの超純粋透析液(ultra‒pure dialysis fluid)にあたります。
基準値を以下に示します。
- 生菌数:0.1 CFU/mL 未満
- ET:0.001 EU/mL 未満(測定感度未満)
です。
この基準値をクリアしていることが必須です。
またオンラインHDFを実施するためには透析液安全管理委員会を設置しなければいけません。
そして、専任の医師または、専任の臨床工学技士である透析液安全管理者を委員長として配置します。
ガイドラインに準じて、1ヶ月に1度の委員会の開催をしなければいけません。
さらに水質検査のスケジュールを組んで、水質確保をすることが必須です。
なので、透析用原水から透析液作成、廃液までの全工程の質と管理を熟知していなければいけません。
もし透析液が汚いと下記のような合併症を引き起こしてしまいます。
診療報酬
オンラインHDFでは、慢性維持透析濾過(複雑なもの)に該当し、診療報酬は 2,255点です。
一方、オフラインHDFはその他の場合で1,580点です。
診療報酬の面からでもオンラインHDFは経済面で支える数字となっています。
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