はじめに
オンラインHDFには様々な適応があります。
また除去される分子量には、合併症が関わってきてたりします。
今回はオンラインHDFの適応や、合併症に関わるβ2-MGやα1-MGについて解説していきます。
オンラインHDFの適応
オンラインHDFの適応は主に以下の4つです。
- 合併症予防
- 透析アミロイド症の予防
- 皮膚掻痒症
- 透析低血圧(透析困難症)
上図を見てわかるように、合併症予防が一番多い結果になってます。
その他は、「骨関節症状」や「睡眠障害」「イライラ感」「低栄養」などがあります。
「痒み」や「睡眠障害」「イライラ感」って同じような意味なんかなって思う。
痒みがあったらイライラするし、睡眠障害にもなるしって感じ。
50歳前後の若くから透析を始めた場合、長い人生でアミロイド症などの様々な合併症を引き起こします。
これらの予防をすることで、元気で長生きを実現します。
そして合併症予防では、β2-MGとα1-MGの除去が非常に重要となってきます。
【β2-MGの基礎知識はコチラの記事です】
β2-MG
オンラインHDFの適応である合併症予防では、β2-MGの除去が必要になってきます。
β2を除去し、透析アミロイドーシスを予防します。
β2-MGの基礎知識は以下の通りです。
- タンパク質の一種
- 目標値:透析前30mg/dl未満(可能なら25未満)
- 分子量:11,800
透析患者は腎不全の影響でβ2は、腎臓の糸球体を容易に通過します。
なのでβ2が濾過されず、血中に溜まります。
β2-MGが溜まると、透析アミロイド症になってしまいます。
透析アミロイド症とは、アミロイドが全身(骨や関節)に沈着し、痛みや運動制限などの障害を起こす病気のことです。
このアミロイドの原因物質がβ2-MGになってきます。
なので以下のような流れになります。
β2蓄積 → アミロイド形成 → 透析アミロイド症発症 → 痛みを引き起こす
透析アミロイド症の好発部位は以下の通りです。
- 手のひら(手根管症候群)
- 指(ばね指)
- 手の甲(手背のアミロイド症)
- 肘(肘部管症候群)
- 肩(肩関節症)
このうち最も気を付けたいのは手根管症候群です。
手根管症候群は透析アミロイドーシスの代表的な疾患の一つです。
透析歴20年の症例の50%に手根管症候群が認められます。
また15年以上透析を受けた患者の1割が透析アミロイドーシスを発症します。
透析アミロイドーシスを発症しないためにもオンラインHDFの施行は大切です。
β2の除去はダイアライザの普及(ハイパフォーマンスメンブレン)によって、HD(拡散)で抜けます。
しかしオンラインHDFをすることによって、更に除去率をアップすることができます。
【透析アミロイドーシスの基礎知識はコチラ】
α1-MG
α1-MGとは分子量33,000の低分子量蛋白です。
α1-MGの理想除去率は35%。
そして、レストレスレッグス症候群では40%以上の除去(アルブミン5g以上)が必要と言われています。
高いα1の除去率を得るためには、Albの漏出は避けて通れない。
なのでα1-MGは、Albの損失が許容される範囲で1%でも多く、除去する方が良いです。
【α1-MGの記事はコチラです】
除去される分子量の分布図
だいたい赤丸の所がオンラインHDFによって除去される分子です。
濾過をかけるので、ある程度大きい数万の分子も除去することができます。
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