はじめに
オンラインHDFの効果(適応)の一つとして血圧低下抑制があります。
なぜオンラインHDFが血圧低下抑制につながるのか、調べても出てきませんし、出てきたとしても難しい言葉の羅列で理解に苦しむ、、、。
といった方々に(たぶん)わかりやすくドナン効果の仕組みについて解説いたします。
ドナン効果ってなに?
とりあえず検索したまんまに…
ドナン効果とは、不透過性イオンが膜の片側に存在する場合に、透過性イオンも不透過性イオンの影響を受けて、膜の両側に不均衡に分布される現象のこと
と、ん~なんかもう難しいと思ったかもしれませんが、これを言い換えると
ドナン効果とは、膜を通過しないイオン(不透過性イオン)が膜の片側にあった場合、膜を通過するイオン(透過性イオン)は膜を通過しないイオンの影響を受けて(くっついて)、膜の両側に不均衡に分布してしまう(本来なら濃度を一緒にしようと均等に分布されるはずなのに!)
というわけです。
例えばなんですけども、不透過性イオンが無く、透過性イオンだけがある状態としましょう。
そしたら膜を通過するイオンしかないので、全体の濃度を均一にしようと働くので、膜の両側に均等に配置されます。
しかし、不透過性イオンがあると、透過性イオンは不透過性イオンの影響を受けて膜の両側に均等には配置されず不均衡に分布します。
この「影響を受けて」というのは、電荷の影響です。
例えば血液中のアルブミンはマイナスに荷電しており、Naはプラスに荷電しているので、お互いにくっつきあいます(結合)。
アルブミンは不透過性イオン、Naは透過性イオンなので、Naはアルブミンの影響でくっついてしまいます。
なので、膜両側に均等に分布せず、不均衡に配置されてしまいます。
下の画像を参考にしてください。
ちなみにドナン効果は正式にはギブス・ドナン効果と言います。
- ウィラード・ギブス
- フレデリック・ドナン
この2人の名前からとったものです。
ドナン効果とオンラインHDFの関係
- なぜ血圧低下予防になる?
- 血管内のNa濃度が増加するんじゃないか?
ドナン効果を考えるうえでは上記の疑問があります。
これらを解説していきます。
なぜ血圧低下予防になる?
ではここからなぜドナン効果がオンラインHDFで働き、血圧低下抑制作用を示すのかを説明していきます。
私も不思議でした。
体液のinとoutのバランスが変わってないのに、なぜ血圧低下予防になるのか?
オンラインHDFでは、除水を0と考えると、補充される置換液と同量の除水がされるので、※体内へのNa負荷(Naによる細胞外液の増加)は一見ないように思われます。
※ 体内へのNa負荷というのは、体内へNaが多く入り、血漿浸透圧が増加することによるプラズマリフィリングの促進という意味です。
しかし、実際には除水される時の※Na濃度(血漿濾過水)は、アルブミンの影響によって血液中のNa濃度よりも低くなります。
※ 本来なら補液中のNaは全て濾過されると思うかもしれないが、実際にはアルブミンとNaは電荷の影響でくっついて、全て濾過されることなく血液中へと入る。
よって、血管の浸透圧が維持され、プラズマリフィリング促進となり、血圧が維持されやすくなる。
(下記画像で説明しています)
これをドナン効果と言います。
これにより血管内の浸透圧が維持されます。
血管内のNa濃度が増加するんじゃないか?
Naがアルブミンとくっついて血管内に入るとなると疑問に思うのが、血液中のNa濃度が増加しすぎてしまうんじゃないか?ということです。
結論:プラズマリフィリングがしっかり起きていればNaは増加しない
血液中のNa濃度上昇が見られないのは、間質や細胞内から血管へ水分が移動(プラズマリフィリング)するからです。
したがってオンラインHDFでは除水量を増加しても、プラズマリフィリングの促進により循環血漿量が維持されやすくなります。
ドナン効果は前希釈でも後希釈でも同様に行われます。
ドナン効果は循環血液量が増えるわけではないです。
なので実際にオンラインHDFをしても血圧が改善しない方もいますので、注意してください。
【オンラインHDFの特徴についてはコチラでまとめています】
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