はじめに
透析においてフロー図、つまり水の流れを理解するのは非常に重要です。
このフロー図というのは、簡単に言うと、「透析液流量のin,out」と「血液側のin,out」がどれだけ流れているかを今回の記事では示しています。
そして案外知らない人が多いという現状…😱
今回はHDとHDFのフロー図をまとめました。
皆さんが思っているより全然難しくはないので、最後までよろしくお願いします。
HDのフロー図
上図の条件は以下の通りです。(単位:ml/min)
- QD:500
- QB:200
- 除水:10
では透析液側から見ていきましょう。
QDinは500からスタートしているので、そのまま膜の透析液in側も500で入っていきます。
膜の透析液out側は510で出ていきます。
なぜ10足されているかというと、除水が10かかっているからです。
除水は血液中の血漿成分を濾過して、透析液out側へと排出します。
なので膜の透析液out側は「透析液in側500 + 除水10」で510です。
そして、そのままQDoutに返っていかずに、510の中から除水ポンプによって10引かれます。
よって、QDoutは500になります。
QDinとQDoutの流量は同じです。
これはなぜかというと、回路は密閉系でできているからです。
QDinとQDoutの量が違うということが起きているならば、どこかに水漏れがあることを意味します。
では次に血液側を見ていきましょう
まずフロー図を考える時は透析液側と血液側に分けて考えます
QBinは200で膜(中空糸)の中に入っていきます。
そしてQBoutは190で出ていき、患者さんの血液中に入るわけですね。
ここもすごく大事なところです。
なぜ10引かれているかというと、除水が10かかっているからです
先述しましたが、除水は血液中の血漿成分から水を引きます。
なのでQB200で膜の中に入っていき、そこから10除水して、膜から出ていくのは190ということです。
これがもし除水20だったら、QBoutは180ということですね
フロー図のポイントを以下にまとめます。
- フロー図を考える時は透析液側と血液側に分けて考える
- 除水がある場合「QBのin,out」と「膜の透析液側のin,out」は同じではない
- QBは、inから除水分ひかれてoutへ出ていく
- 膜の透析液側は、inから除水足されて、outへ出ていく
ということです。
HDF(pre:前希釈)のフロー図
上図の条件は以下の通りです。(単位:ml/min)
- QD:700
- QB:200
- Qs:200
- 除水:10
HDと同じように透析液側から見ていきましょう。
QDinが700でスタートしています。
透析膜のinに入る時には、Qsの200が引かれて700-200で500になります。
HDFでは透析膜に入るまでに補液分盗まれます。
Qsが200なのでQD700から200引かれて、500が透析液側のinに入っていきます。
透析液側のoutは「透析液のin(500)+ Qs(200)+ 除水(10)」で710です。
QDoutに返っていくまでに、この710から除水分の10引かれるので700です。
続いて血液側の説明をしていきましょう。
QBが200でQsが200ということから、膜のin側は足して400になります。
400で中空糸を通っていきます。
しかし膜のoutは400にはなりません。
この400から補液分の200と除水分の10を引くので、400-210で190になります。
なので190で患者さんの血液に入っていきます。
HDFでは補液分もあるので、それも加味するということが大事!
HDF(post:後希釈)のフロー図
上図の条件は以下の通りです。(単位:ml/min)
- QD:550
- QB:250
- Qs:50
- 除水:10
後希釈に関しても、透析液側は前希釈と同じなので省略させていただきます。
血液側は前希釈とは少し異なってきます。
QBが250なので、膜には250の量で入っていきます。
この250から補液の50と除水の10を引くので、190で膜を出ることになります。
後希釈はVチャンバに投与します。
なので膜を出てからQs分が追加されるということです。
膜を出た190からQsの50追加されて、240で患者さんの体内に入っていきます。
ということです。
HDとHDFのフロー図、理解できましたか?
水の流れが分かると、もっともっと楽しくなりますよ!
透析学習塾では動画内で問題も出していますので挑戦してみてください。
またpdfも保存できるので、このフロー図をいつでも見返すことができますよ。
ぜひぜひ透析学習塾を見てみてください。
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