【この記事でわかること】
✅IHDFってなに?
✅臨床効果
✅問題点
IHDFってなに?
IHDF(Intermittent Infusion Hemodiafiltration):間歇補充型血液透析濾過
・Intermittent:間歇
・Infusion:補充
・Hemodiafiltration :血液透析濾過
IHDFとは、間歇的な補液を計画的に繰り返していくことで、末梢循環改善効果や血圧防止効果が期待される治療法です。
また栄養状態への影響が少ないので、高齢者や栄養状態の悪い患者さんに適した治療法です。
間歇的にというのは、基本的には30分に1回です。(20分に1回もあります)

補液は逆濾過という原理で膜に入っていきます。
逆濾過とは正濾過の反対です。
✅正濾過:除水の濾過(血液側→透析液側へ水が流入)
✅逆濾過:透析液側→血液側へ水が流入
基本設定
✅補液間隔:20分に1回 または、30分に1回
✅補液量:100~200ml
✅補液時間:1回につき約2分
✅補液回数
・8回➡透析4時間で30分に1回の場合
・12回➡透析4時間で20分に1回の場合
補液量は1回で100mlがいいのか、200miがいいのか?
【論文「Blood Purification」掲載】
✅透析前体重52kg以上➡200ml/30min
✅透析前体重52kg未満➡100ml/30min
52kg未満では100ml/30minで十分という結果が出ました。
補液量は体重によって調節する必要があります。
臨床効果
①末梢循環障害の改善(一番有力)
間歇的な補液で末梢循環障害が是正されます。
【なぜ末梢循環が是正される?】
透析中では除水の影響で身体の水分が枯渇し、深部では細小血管がさらに細くなります。
そこで間歇的に補液をすると細くなった血管がまた開いて、末梢循環の改善につながります。
また、細小血管が開くことで深部から老廃物を掻き出す効果が期待できるそうです(あくまで理論上です)
末梢循環障害改善により、リフィリングレートが増大し、それに伴い血管外からの溶質移動が促進されます。
②膜性能の劣化抑制(ファウリング抑制)
逆濾過をするので、膜が洗浄され、膜性能の経時的劣化を防ぐことができます。
逆濾過によって透析膜の内側に付着した、老廃物やタンパク質を洗い出してくれます。
また、濃度の偏りも失くすと言われています。
③血圧低下予防
除水によって生じる循環血液量の減少抑制による血圧の維持効果があります。
ただしこれにはエビデンスがありません。
血圧予防効果についてはあとで解説します。
補正UFRってなに?除水調節

IHDFは補液した量も引かないといけません。
除水量が2000ml(0.5L/h)で、補液量が1600mlだった場合、実際の除水量は3600mlです。
この3600mlを「補正除水」といいます。
また、3600mlを4時間で除水するので0.9L/hかかることになります。
この0.9L/hを「補正UFR」といいます。
なので、コンソール画面が0.5L/hと表示されていても、補液分も引かないといけないので、実際は0.9L/hで除水は行われています。
IHDFの問題点
IHDFはまだ研究が不十分であり、期待される効果を先述しましたが、疑わしい点や問題点がいくつかあります。
また実際にIHDFを実際使用してみての、臨床的見解も述べていきます。
【IHDFの問題点】
①血圧低下予防?
②血圧測定のタイミング
③透析効率UPは本当か?
①血圧低下予防?
IHDFの効果としてうたわれているのが、血圧予低下予防ですがエビデンスはありません。
実際使用してみて血圧低下予防にはなりませんでした。
なぜかというと、補液はされますが当然補液分も除水するので、体のIN,OUTのバランスは普通のHDと変わらないからです。
また、補正UFRもかなりきつくなります。
補液した分も引くので、1時間当たりの除水量はかなりきつくなります。
それを30分に1回の補液で補いを繰り返すので、血圧の上下も激しくなりますし、体への負担もあると考えます。
やがて、補液では補えなくなり血圧が下がってしまいます。
② 血圧測定のタイミング

IHDFでは血圧測定のタイミングが非常に重要です。
補液直前では血圧が下がっており、補液直後では血圧が上がっています。
なので、どのタイミングで血圧がいくらなのかという評価が大切です。
現場でよくあるのが、血圧下がっていて除水0に。(患者自覚症状なし)
でもそれは補液直前で補液後に血圧上がるから、除水かけててもよかったのに…。
みたいなシーンはよくあります。
補液前なのか、補液後なのかというタイミングを見ればいいんですが、現場が忙しかったりすると、それを見る時間もなかったりしますよね(;^ω^)
③透析効率UPは本当か?
IHDFでは、補液によって細小血管が開き老廃物を掻き出し、効率UPなどと理論上で書いてあります。
しかし、HDからIHDFに変更した患者の効率は下がっていることが多いですね。
なぜかというと、補液中は拡散がされていないからです。
1回の補液の時間が約2分です。
透析1セッションで8回補液するとなると、16分補液の時間に費やされます。
補液中は拡散がされていないので、16分間は老廃物除去されていないことになります。
1セッション12回補液のパターンもありますが、それだと24分間拡散されていません。
老廃物の掻き出しは実際にあるかもしれませんがね。
P-IHDFってなに?
【P-IHDF:Program-IHDF】
P-IHDFとは、補液量を一定ではなく、後半に多くしたり前半に多くしたりする、プログラムを組んでいるIHDFのこと
目的
血圧が下がるタイミングによって、補液量も調節し、患者個々に合わせた治療ができる。
例えば、、、
✅後半に下がりやすい人➡補液量を前半に少なめ、後半に多め
✅前半に下がりやすい人➡補液量を前半に多め、後半に少な目
IHDFを設定してみよう!


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