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リンの食事療法《無機リンに注意!ほぼ100%吸収される》

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はじめに

透析患者さんは慢性腎不全の影響でリンを体外に排出することができず、高リン血症になってしまいます。

高リン血症になると、異所性石灰化になってしまいます。

異所性石灰化とは、体の臓器や組織など様々なところが石灰化し、障害を起こしてしまう病態です。

これらを起こしてしまうので、高リン血症にならないように、注意する必要があります。

そして、高リン血症の予防は基本的には食事療法です。

今回はリンの食事療法について解説していきます。

  • 「高リン血症の原因と対策」を透析学習塾で動画で学習することができますよ
10分の動画で解説

リンと透析

透析をするにあたってリン値は非常に大事です。

高リン血症の状態が続くと、骨粗鬆症や異所性石灰化を招き、予後が悪くなることが明らかになっています。

リンの基準値は3.56.0(mg/dl)に管理します

リンは口にする食べ物で数値が上がるので、食事療法をしっかりしていれば高リン血症を回避することができます。

リンを下げる方法

リンを下げる方法は主に3つです。

  1. 食事療法
  2. 薬物療法
  3. 透析療法

この中で主体となるのは食事療法です。

私たちスタッフも関わりますが、患者さんの頑張りにもかかっています。

患者さんが食事用法についての理解を深めるとともに、私たちも、アドバイスや食事で気を付けることなどを伝えていく必要があります。

リンの食事療法

リンはタンパク質の多い食べ物に多く含まれています。

しかし、その他にも注意する食品がありますし、飲み物にも多く含まれているものがあるので注意が必要です。

リンの食事制限は重要ですが、制限しすぎて低リン血症になると栄養不足に陥り、死亡リスクが高くなります。

なので、適度な摂取を心がけるようにしましょう。

また、リンには有機リン無機リンの2種類あり、特に注意が必要なのは無機リンです。

有機リンと無機リン

リンには有機リン無機リンの2種類があります。

有機リンを多く含む食品は以下のようなものがあります。

  • 乳製品
  • 豆類

これらの食品を多くとるほど、リンの摂取量も増えます。

しかし、有機リンに関しては、リンは上がりますが、タンパク質も豊富に摂取することができます。

なので、タンパク質がほとんど含まれていない無機リンを摂取するより、有機リンを摂取する方がいいです。

また有機リンは、動物性植物性の2種類に分かれます。

動物性有機リン
動物性食品は肉や魚、卵、乳製品などの食品です。

体に4060%吸収されます。

植物性有機リン
植物性食品は大豆などの豆類に多く含まれます。
体に2040%吸収されます

続いて無機リンです

透析において無機リンの摂取をいかに抑えるかが重要です!

無機リンを多く含む食品は以下の通りです。

  • 食肉加工品(ウインナー・ハム)
  • 練り物(干し物・ちくわ・かまぼこ)
  • プロセスチーズ
  • インスタント麺
  • 缶詰 など

ほとんどの加工食品に含まれています

体へは100%近く吸収されます。

有機リンは腸管から体に吸収されるのが20~60%であるのに対し、無機リンはほぼ100%なので、無機リンの方がリン値が上昇しやすくなります。

有機リンは、肉や魚なので、リンの他にもたくさんの栄養素が含まれています。

なので、摂取に関してはそこまで気を付ける必要はないのかな、とは思います。

もちろん食べすぎはダメですが、リンが上がるよりもタンパク質が摂取できるというメリットがあります

しかし、無機リンに関しては加工食品や練り物で、いわゆる嗜好品と言われるものです。

これらは、栄養素もあまり含まれてない他、塩分の含有量も多いので、一番気を付けた方が良いですね。

高リン血症の予防は、いかに無機リンの摂取を抑えるかがカギです

1日のリン摂取量の目安

1日のリン摂取量は理想体重によって違ってきます。

理想体重=身長(m)×身長(m)×22で求めることができます。

以下の表を参考にしてください。

リンの多い食べ物

高リン食品は以下のようなものになります。

  1. 乳製品(牛乳・チーズ・ヤクルト・ヨーグルト・生クリーム)
  2. 卵黄(鶏卵・魚卵)※鶏卵の白身は良質なタンパク質なので摂取してOKです。
  3. 肝臓(牛豚鶏のレバー・内臓ごと食べる小魚・エビ)
  4. 獣肉・魚肉加工品(干し物・塩蔵物・練り製品・かまぼこ・はんぺん・ちくわ・なると・がんもどき・つみれなど)
  5. 骨ごと食べる小魚
  6. 豆類・薮そば

これらは非常に注意が必要です。

リン含有量(食べ物)

100gあたりのリン量

たんぱく質=リン ではありますが、肉類は良質なタンパク質(アルブミン)も含まれているので過度に制限せず、積極的に摂るといいです。

しかし、干し物系や乳製品などのチーズは、やはりリンが高いので、食べるにしても量を守って食べるようにしましょう。

リン含有量(飲み物)

乳製品はリンが高いですね。

お酒は100g当たりの量で見ると、ビール、ワイン、日本酒は同じくらいの含有量です。

コーラなどの炭酸もリンが多いですし、炭酸飲料は1日でペロッと1Lくらい飲めていしまうので、注意が必要ですね(;^ω^)

食事でリンは気を付けているのに、リン値が高い、、、。

ってときは、もしかしたら飲みものに原因があるかもしれません。

調理方法を工夫してみよう

食品添加物のリンはゆでこぼしにより、多少減らすことができます

例えば…

【ラーメン】
スープと麺を別々に作ることにより、リンを減らすことができます。
なぜかというと麺をゆでたゆで汁にリンが含まれているので、ゆで汁を捨てることでリンが減ります。

また、ウインナーも焼くよりも、ゆでた方がリンを減らせます。

野菜などもいったん水にさらすとリンが減ります。
これらの方法は同時にカリウムも減らすことができるのでお勧めです。

食べ物も飲み物も、すべて我慢するのは難しいですし、我慢しすぎるとかえってストレスに繋がり、透析自体が嫌になってしまいます。

食事も味気ないものになってしまいますよね。

どうしても食べたいものは、食べる量頻度いつ食べるか、などを医師やスタッフに相談してみましょう。

透析患者さんは、気を付ける食べ物がたくさんあります。

しかし勘違いしてはいけないのは、食べたらいけない食べ物はないです。
全然食べてOKです。

しかし、量を守りましょう!ということですね。

こういったことを、スタッフが患者さんに説明してあげることが大事です。

リンのことを知って、上手に食事を楽しみましょう。

【リンの薬物療法はコチラで解説しています】

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