はじめに
透析患者の腎性貧血治療薬として2020年8月に「ダーブロック」という薬が発売されました。
ダーブロックはHIF-PH阻害薬です。
このHIF-PH阻害薬は何がすごいのかというと、錠剤(内服)で腎性貧血の治療薬が可能となったことです。
今までは、透析終了時に静注薬として投与しなければいけなかったが、内服が可能となりました。
この細胞におけるHIF活性化経路に関する研究でノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
何種類か発売はされていますが、今回はHIF-PH阻害薬で一番使用されている「ダーブロック」いついて解説します。
【HIF-PH阻害薬 5種類の特徴まとめはコチラで解説しています】
ダーブロックの特徴
【基本情報】
✅商品名:ダーブロック
✅一般名:ダプロデュスタット
✅会社:グラクソ・スミスクライン株式会社
✅HIF-PH阻害薬
✅発売日:2020年8月26日
✅1mg,2mg,4mg,6mg
✅透析患者の開始容量:1回4mgを1日1回
【特徴】
✅HIF-PH阻害薬という新しい機序の薬
✅規格が4種類あるので、患者個々に合わせて細かい用量調節が可能
ダーブロックよりも前に発売されている「エベレンゾ」は透析患者のみの使用でした。
しかしダーブロックは、透析に至っていない慢性腎不全(CKD)患者にも使用が可能です。
作用機序
【作用機序】
酸素を検知するプロリン水酸化酵素を阻害することで、低酸素誘導因子を安定かし、高地で身体に生じる生理学的作用と同様に、赤血球産生や鉄代謝に関与するエリスロポエチンやその他の遺伝子の転写を誘導します。
要は、低酸素誘導因子-プロリン水酸化酵素(HIF-PH)という物質の働きを阻害することで、低酸素誘導因子(HIF)によるエリスロポエチン産生を誘導し、赤血球産生を促進させることで、貧血を改善します。
酸素が足りなくなったときに、細胞が反応をするための転写因子です。
んーちょっとこの作用機序とかは難しいですね、、、😓
ESA製剤とHIF-PH阻害薬
✅HIF-PH阻害薬は内服なので、病院に来なくてもいい。
一方ESA製剤は注射なので病院に足を運ばなくてはならない。
✅HIFはエリスロポエチン産生だけではなく、鉄の利用を亢進する遺伝子にも働きかけます。
なので、鉄を効率よく利用することができます。
✅ESA製剤とHIF-PH阻害薬との併用は、基本的にせずに切り替えるかたちにする。
HIF-PH阻害薬シェア
HIF-PH阻害薬のシェアを下図にまとめました。
「ダーブロック」が一番使いやすいみたいですね。
その他まとめ
✅HIF-PH阻害薬種類
「エベレンゾ」「ダーブロック」「バフセオ」「エナロイ」「マスーレッド」
✅副作用
「血栓塞栓症(心筋梗塞・脳梗塞・肺塞栓)」「高血圧症」「網膜出血」「悪性腫瘍」
最高用量は1日1回24mgまで
説明書
Hb濃度が4週以内に2.0mg/dlを超える等、急激に上昇した場合は速やかに減量、休薬する
説明書
治療期間中の副作用発現頻度は6%
説明書
【透析患者が使用する薬はコチラで解説しています!】
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