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HIF-PH阻害薬 5種類の特徴まとめ

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薬関連
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はじめに

透析患者ではEPOが作られなくなることで、腎性貧血になってしまいます。

腎性貧血の治療薬として2019年にHIF-PH阻害薬が販売されました。

腎性貧血の治療は今までは注射剤しかありませんでした。

しかしHIF-PH阻害薬の登場で、内服での治療が可能になりました。

今回はHIF-PH阻害薬 5種類の特徴をまとめたので、解説していきます。

  • 「HIF-PH阻害薬」をコチラでもっとわかりやすく解説してますよ。
6分で解説

HIF-PH阻害薬ってなに?

2019年に腎性貧血治療薬としてHIF-PH阻害薬が販売開始されました。

世界に先駆けて、日本で初めて販売されています。

腎性貧血の治療は今までは注射剤しかありませんでした。

しかしHIF-PH阻害薬の登場で、内服での治療が可能になりました。

HIF-PHとは低酸素誘導因子 – プロリン水酸化酵素のことです。

作用機序

HIF-PH阻害薬 作用機序

HIF(低酸素誘導因子)は通常の酸素環境だと、HIFの代謝酵素が働き、代謝されてしまいます。

しかし低酸素環境下だと、HIF代謝酵素が阻害されてHIFが分解されません。

HIFはEPO(エリスロポエチン)をつくる遺伝子を活性化させて、EPOを増加させます。

それによって赤血球が作られます。

つまり、HIFは低酸素化で活性化されることを利用してEPOの分泌を促しています。

HIF-PH阻害薬は、低酸素応答機構がEPO産生を調節することを利用しているわけです。

ちなみに、その根本となる低酸素応答機構の解明は2019年のノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

HIF-PH阻害薬5種類

参考にしたHP:HIF-PH.pdf (kitanokusuriya.com)
  1. エベレンゾ(ロキサデュスタット)
  2. ダーブロック(ダプロデュスタット)
  3. バフセオ(バダデュスタット)
  4. エナロイ(エナロデュスタット)
  5. マスーレッド (モリデュスタット)

「~デュスタット」はHIF-PH阻害薬のことです。

ではそれぞれの特徴を解説していきます。

1. エベレンゾ(ロキサデュスタット)

  • 一般名:ロキサデュスタット
  • 規格(種類):20/50/100mg(3種類)
  • 用法:週3回
  • 食事の影響:なし
  • 透析性:透析されない
  • リン吸着薬との相互併用:前後1時間あける 必要あり
  • 薬価:793.9円/錠(50mg)週3回

用法用量は以下の通りです。

▶ 保存期CKD、HD
【ESA製剤で未治療の場合】
1回50mgを開始用量とし、週3回経口投与する。最高用量は1回3.0mg/kg

【ESA製剤から切替】
1回70mg又は100mgを開始用量とし、週3回経口投与する。最高用量は1回3.0mg/kg

エベレンゾの特徴は週3回投与で良いことです。

透析患者は透析日のみの内服が可能で、内服し忘れを防ぐことができます。

また、リン吸着薬や酸化マグネシウム製剤と併用の際は、前後1時間空ける必要があります。

2. ダーブロック(ダプロデュスタット)

  • 一般名:ダプロデュスタット
  • 規格(種類):1/2/4/6mg(4種類)
  • 用法:1日1回
  • 食事の影響:なし
  • 透析性:透析されない
  • リン吸着薬との相互併用:なし
  • 薬価:324.7円/錠(4mg)

用法用量は以下の通りです。

▶ 保存期CKD
【ESA製剤で未治療】
1回2mg又は4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。最高用量は1日1回24mg

【ESA製剤から切替】
1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。最高用量は1日1回24mg

▶ HD
1回4mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。最高用量は1日1回24mg

ダーブロックは、CYP2C8による代謝のため、リン吸着薬や酸化マグネシウム製剤との相互作用ありません。

また最高投与量の際は、一番薬価が高いといった特徴があります。

3. バフセオ(バダデュスタット)

  • 一般名:バダデュスタット
  • 規格(種類):150/300mg(2種類)
  • 用法:1日1回
  • 食事の影響:なし
  • 透析性:透析されない
  • リン吸着薬との相互併用:なし
  • 薬価:376.2円/錠(300mg)

用法用量は以下の通りです。

▶ 保存期CKD、HD
1回300mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。最高用量は1日1回600mg

バフセオは、用量調節の幅が150mgのため投薬量を決めやすい特徴があります。

また最高用量投与の際には最も薬価が安価です。

酸化マグネシウム製剤と併用の際は、前後1時間あける必要があります。

4. エナロイ(エナロデュスタット)

  • 一般名:エナロデュスタット
  • 規格(種類):2/4mg(2種類)
  • 用法:1日1回
  • 食事の影響:あり
  • 透析性:ほとんど透析されない
  • リン吸着薬との相互併用:同時投与は避ける(時間間隔を空ける)
  • 薬価:275.9円/錠(2mg)

用法用量は以下の通りです。

▶ 保存期CKD、PD
1回2mgを開始用量とし、1日1回食前又は就寝前に経口投与する。最高用量は1回8mg

▶ HD
1回4mgを開始用量とし、1日1回食前又は就寝前に経口投与する。最高用量は1回8mg

エナロイは割線があり、半錠にできるため、用量調節しやすい。

またリン吸着薬や酸化マグネシウム製剤と併用の際は、時間間隔をあける必要があります。

食前又は就寝前内服です。

5. マスーレッド (モリデュスタット)

  • 一般名:モリデュスタット
  • 規格(種類):5/12.5/25/50/75mg(5種類)
  • 用法:1日1回
  • 食事の影響:あり
  • 透析性:ほとんど透析されない
  • リン吸着薬との相互併用:なし
  • 薬価:165.1円/錠(25mg)

用法用量は以下の通りです。

▶ 保存期CKD
【ESA製剤で未治療】
1回25mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与する。最高用量は1回200mg


【ESA製剤から切替】
1回25mg又は50mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与する。最高用量は1回200mg

▶ HD
1回75mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与する。最高用量は1回200mg

マスーレッドは、酸化マグネシウム製剤と併用の際は、前後1時間あける必要があります。

また、食後に服用です。

HIF-PH阻害薬5種類 特徴簡単まとめ

・エベレンゾ

  • 週3回投与で良い → 透析患者は透析日のみの内服が可能で、内服し忘れを防ぐことができる  
  • リン吸着薬や酸化マグネシウム製剤と併用の際は、前後1時間空ける必要あり

・ダーブロック

  • リン吸着薬や酸化マグネシウム製剤との相互作用がない → CYP2C8による代謝のため
  • 最高投与量の際は一番薬価が高い

・バフセオ

  • 投薬量を決めやすい → 用量調節の幅が150mgのため(シンプルに感覚的に使いやすい)
  • 最高用量投与の際には最も薬価が安い
  • 酸化マグネシウム製剤と併用の際は、前後1時間あける必要あり

・エナロイ

  • 用量調節しやすい → 割線があり、半錠にできるため
  • リン吸着薬や酸化マグネシウム製剤と併用の際は、時間間隔をあける必要がある
  • 食前又は就寝前内服

・マスーレッド

  • 酸化マグネシウム製剤と併用の際は、前後1時間あける必要あり
  • 食後に服用

一番使いやすいのはどれ?

医師会員を対象にHIF-PH阻害薬のうち最も処方頻度の高いものを聞いたアンケート結果(日経メディカル)

結論から言うと、一番使いやすいのはダーブロックだと感じます。

理由は以下の通りです。

  • 規格数が4
  • 保存期にも使える
  • リン吸着薬や金属製剤との相互作用が無い
  • 食事の影響を受けない

これらの特徴から透析患者ではダーブロックが一番使いやすいです。

禁忌

どれも特に問題となる禁忌はありませんが、「本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者」が禁忌となっています。

エベレンゾ」「エナロイ」「マスーレッド」は妊婦さんに禁忌です。

透析患者ではメリットが少ない?

HIF-PH阻害薬は、透析患者さんではメリットが少ないのではないか?とも言われています。

なぜかというと、ESA製剤を透析回路から投与できるし、経口剤のメリットはそれほど大きくないからです。

服薬コンプライアンスが悪いと、かえって支障がでる可能性があります。

今後、HIF-PH阻害薬とESA製剤の棲み分けがどうなるのか注目です。

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