はじめに
シャント診察は以下の3種類あります
- 視診(視て):視て異常がないか確認。狭窄部はないか、異常がないかなど
- 聴診(聴いて):聴診器でシャント音を聴く。正常音、狭窄音、拍動音の区別をする
- 触診(触って):シャントを触ってスリルはあるか。拍動になっていないか、狭窄していないか
シャント診察ではこの3種類を実施することが大事です。
今回は触診について解説していきます。
触診で何が分かる?
触診によって以下のようなことが分かります。
- スリル
- 凹み
- 熱感
- 押したときの痛み
- 狭窄部位
触診をすることによって、血流の勢いがどうか、感染にかかっていないか、血管に狭窄があるかなど様々な情報を得ることができます。
シャント診察は「視診」「聴診」「触診」ありますが、この中でも触診が一番大事です。
スリルってなに?
スリルがあるとかないとか言いますが、どういう意味でしょうか?
スリル=振動
シャント血管に皮膚上から触れると、振動が伝わってきます。
この振動のことをスリルと言います。
血液が血管壁を振動させているということです。
スリルは圧較差が大きいところで良く触れます(シャント音と同じ)。
なので圧格差の大きい吻合部が一番スリルを感じます。
そして中枢に行くにつれてスリルが小さくなります。
上図のように、動脈血流入により血管壁が振動します。
そして中枢に流れ、層流になるにつれ振動は減弱します。
グラフトのスリルは、分かる人はわかりますが、基本的にわかりずらいです。
理由は血管よりも、材質が硬いのと、層流に近いからです。
シャント挙上試験
シャント挙上試験とは、シャント肢を持ち上げて血管の凹み具合を見る方法です
正常な血管だと脈打ちます。
しかしシャント挙上試験では狭窄があると、狭窄部から中枢に血管が虚脱します。
触診中の痛み
触診中の痛みは感染しているかもしれない
特にグラフトは膿が出ることもしばしばあります。
早期発見でシャント閉塞を防ぐことができるので、触診では痛み等がないかも確認しましょう。
【見極め】吻合部付近の狭窄
触診によって狭窄を発見することができるので、部位の特定もしてみましょう!
上図の番号と照らし合わせながら見てください。
2番に狭窄があるとすると、上図の①~④を触診した場合以下のような情報が得られます。
【①吻合部から狭窄部の触診】
- 動脈と同じ拍動、硬い感触
- 流速が遅く乱流はほとんどない
- 血管は硬い
【②狭窄部の触診】
- 突然スリルに変わる
- すぐ近く(中枢側)に乱流が出現している
【③狭窄部より中枢側の触診】
- スリルがある
- 柔らかい
【④さらに中枢側の触診】
- スリルは弱い
- 乱流から層流に変化
- 血管も柔らかい
【見極め】分岐血管の狭窄
上図のように②番が狭窄している時の血管の情報を以下に示します。
方法は①番を圧迫した場合と②番を圧迫した場合の吻合部血管をみます。
【①を圧迫した場合】
- 圧迫後の吻合部付近のスリルが低下
- 圧迫により狭窄のある血管に血流が集中して、血管内圧が上昇する
つまり圧迫していない静脈に狭窄があることがわかります。
【②を圧迫した場合】
- 圧迫後も吻合部付近のスリルにほとんど変化なし
つまり圧迫している静脈に狭窄があることがわかります。
こういった見分け方をします。
参考:https://kitauraclinic.jp/column/ 透析でのシャント狭窄の見つけ方。
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