はじめに
透析治療を行うためには、透析液を使用します。
透析液が使用できないと、老廃物の除去や電解質の補充はできないわけです。
今回は透析液とはなにか?基礎知識を解説していきます。
透析液ってなに?
透析液は透析をするにあたって必ず必要な水です。
A剤とB剤とRO水を混ぜ合わせて、透析液が出来上がります。
A剤とB剤には以下のような物質が含有されています
- A剤
- Na
- K
- Ca
- Mg
- Cl
- 酢酸(クエン酸)
- Glu(ブドウ糖)
- B剤
- HCO3-(重炭酸)
これらの物質と※RO水を混ぜ合わせています。
RO水は簡単に言うと、不純物を全て取り除いた水です。
水道水を水処理装置に送ります。
そして、水道水に含まれているミネラル成分や塩素、ET(エンドトキシン)などを全て除去します。
この不純物が一切ない純水をRO水と言います。
透析液を精製する際の配分(割合)は以下の通りです。
A剤:B剤:RO水=1:1.26:32.74
この配合で混ぜ合わせて各コンソールに送ります。
メーカーによっては先にRO水をB剤を混ぜ合わせておくとか、いろいろ混合方法はありますが、基本的にはこの割合です。
伝導度や浸透圧を見ながら、この割合も少しは変化してきます。
透析液はどのくらいの水を使う?
透析液は患者1人あたり1回の治療で120L使用します。
透析治療では1分間に500mLの透析液を使用します。
なので、500mL/min → 30L/hr → 120L/4hr
となるわけです。
もちろん透析が4時間以上の方や、オンラインHDFでは120Lよりも多くの透析液を使用します。
例えば、75人を一気に治療するとなると、透析液は1回の治療で9,000L必要ということになります。
透析液の供給ができなければ透析治療をすることはできません。
なので透析患者にとって、透析液は命みたいなものです。
透析液の役割
透析液の主な役割は、血液に必要な物質は補充、不必要な物質は除去するということです。
透析患者では腎不全の影響で尿が出ず、老廃物除去ができません。
なので拡散の原理で老廃物を除去します。
また、この原理で電解質などの必要な物質は補充してあげます。
不必要な電解質は排除します。
例えばKやPは血中に溜まってしまうので、排除します。
Caは腎不全の影響で少なくなってしまうので、補充します。
次に血液中のpH(酸塩基平衡)も補正してくれます。
透析患者は代謝性アシドーシスで酸性(pH低下)に傾いています。
これを、中性または弱アルカリ性になるように重炭酸(HCO3-)を補充します。
透析液と成分の移動
血液と透析液の間では拡散が働き物質が移動しています。(下図)

拡散とは血液と透析液で濃度が異なる場合、濃度を均一に保とうとして、物質は濃度の濃い方から薄い方へ移動するといった現象です。
なので血液と透析液の物質移動を下記にまとめました。
- KやMg:透析液の方が濃度が低い → 血液から透析液へ移動(血液中から除去される)
- PやBUN:透析液に含まれていない → 血液から透析液へ移動(血液中から除去される)
- Caや重炭酸:透析液の方が濃度が高い → 透析液から血液へ移動(血液中に補充される)
というような物質移動になります。
図で表すと以下のような感じです。

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