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RO装置を解説《回収率・紫外線殺菌灯・エアーフィルタ》

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水処理装置・透析液
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はじめに

水処理装置で一番重要な装置でもあるRO装置について解説していきます。

RO装置だけじゃなく、そのほかの周辺装置も一緒に説明します。

またRO装置では回収率を知っておくことが非常に重要です。

回収率だけでも読んでってください。

  • 「RO装置(回収率や紫外線殺菌灯、エアーフィルタ」を透析学習塾で動画で学習することができますよ
7分の動画で解説

RO装置

RO膜

RO装置は電解質や有機物、ET、バクテリアなどをほぼ完全に除去します。

逆浸透法RO法:Reverse Osmosis)という原理を用いて物質を除去しています。

逆浸透法は、最も小さな不純物質を除去することができる膜分離法です。

透析用水の精製には必要不可欠です。

このRO装置が水処理装置では一番重要となる所なので、しっかり覚えてください。

逆浸透(RO)法

RO法とは溶液と溶媒が半透膜で隔てられている時、溶液側にその浸透圧以上の圧力を加えると、溶液中の溶媒が溶媒側に移動する現象を利用して、物質を分離する方法(上図)

ちょっと文字で見ると難しいかもしれませんが、浸透の逆だと思ってもらえたらイメージが湧くかと思います。

浸透とは、濃度の薄い水溶液の溶媒(水)が濃度の濃い水溶液に移動して、濃度を同じにしようと働く力です。(上図の左と真ん中)

で、逆浸透(RO)というのは浸透の逆です。

この溶媒が移動した方の水溶液に圧力をかけて、片側に押し込んで、膜を介して濾過するといった原理です。

この膜分離法によって、電解質や有機物、ET、バクテリアなどの物質を除去しています。

RO膜の交換頻度は各メーカー推奨は2~3年に1回です。

しかしRO膜が1本100万円と高額なことから、大体の施設が4年に1回の印象です。

回収率(超重要)

回収率

RO装置では回収率が非常に大事です。

回収率とは、「原水の供給量に対して、RO膜を透過した量」のことです。

(上図)RO膜(ROモジュール)に水が入ると、RO膜から出てROタンクへと運ばれる経路と、排水(捨てられる)される経路があります。

RO膜に水が100入って、ROタンクに70入り、30が排水されたとなると、回収率は70%ということになります。

50~75%が基準値で、大体の施設は65%前後?くらいではないでしょうか。

残りの水は排水(濃縮水って呼びます)されます。

回収率は以下の式で求めることができます。

回収率(%)=(透過水量/原水供給量)×100

なぜ回収率が50~75%かというと、膜の透過性が低下するからです。

回収率を高く設定しすぎると、1次側の溶存成分が膜表面で濃縮し、細菌シリカなどの物質が析出されます。

これにより膜の透過性が低下してしまいます。

なので回収率は50~75%となっています。

回収率が100%だったら排水しなくていい、つまり水道代も節約できる、と思いますよね。

しかし上記のような理由があるんですね。

ROタンク

ROタンク

RO膜から出たRO水は、ROタンクへと貯留されます。

ROタンクはRO水が貯留しているので、菌汚染の危険があります。

この汚染を防止するために紫外線殺菌灯エアーフィルタが搭載されています。

紫外線殺菌灯

紫外線殺菌灯(ダイセン・メンブレン・システムズ㈱より引用)

紫外線殺菌灯はROタンク内の細菌繁殖防止のために使用します。

⇩原理

254nmの波長を用いています(紫外線の中で最も殺菌力の強い波長)。

菌の核酸(DNA)が260nm付近の紫外線を最も吸収する特徴を利用しています。

⇩注意点

点検等の際は装置の電源を切ってから作業してください(点灯は目に有害)

⇩交換時期

1年に1回を目安(7000~8000時間で殺菌力が低下する)

点灯していても出力が規定値以下に低下していることがあるので注意です。

エアーフィルタ

エアーフィルタ(ダイセン・メンブレン・システムズ㈱より引用)

エアーフィルタもROタンク内の汚染防止のために設置します。

液面レベル変化に対応するための換気箇所には、疎水性で除菌性をもつ0.1~0.45μmのエアーフィルタを設置します

エアーフィルタはROタンク内の気体を除菌しています。

液面が変動するクリーンな密閉容器内に、菌の通過が起きないようにします。

交換目安は1年に1度です。

私は紫外線殺菌灯と一緒に交換していました。

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