はじめに
透析のDWは様々な検査値や測定値で設定されます。
測定値などを参考にすることは大事ですが、実際に患者さんの体調や状態を見るのも非常に大事です。
今回はDWの適切に設定するために見るべき患者さんの体重や浮腫、血圧について説明していきます。
体調
検査値や測定値を見るのは重要です。
しかし数値だけではなく、患者さんの体調や浮腫など外見に目を向けることも大事です。
まず大事なのは透析後に強い倦怠感や、体が重いなどの全身に現れる症状がないことです。
これらの症状がある時は、DWがきつい(引きすぎ)可能性があります。
DWを引きすぎているときは以下のような症状が出ることがあります。
- 透析後に強い倦怠感や体が重いなどの全身症状がある
- 透析中や直後に下肢つりがある
- 透析中に冷や汗をかいている
- 透析後の声のかすれ
透析中や直後の下肢つりがないかどうかも、判断の目安となります。
透析中の下肢つりは、DWが合っていない(引きすぎ)ことが原因で、血液が濃縮されて引きおこる場合もあります。
【透析中の下肢つりはコチラで詳しく解説しています】
患者が家に帰ってから、体調がどうかというのも見る必要があります。
帰宅してからなかなか動けなかったり、下肢がつる、しんどい、倦怠感等があれば、引きすぎの可能性がありますね。
ここで注意点は、患者さんが「楽」と思う体重と、医学的にみてDWが適正というのは、少し違うのでそこは注意してください
浮腫
次に浮腫です。
患者さんの外見にも目を向けてみましょう。
浮腫は以下のようにみます。
- いつ見る:透析前後
- どこを見る:顔(主にまぶたに強くあらわれます)や下肢(すねや足背部)
- どう見る:下肢の浮腫は顕著に表れるので、足背部やすねの部分を押してみて、皮膚の沈みが強く、戻りが遅かったらむくみが強いといえる
また、透析後(自宅に帰った後)もむくみが気になるかどうか聞いてみましょう。
注意点としては、浮腫みを確認するときにいきなり強く押したら患者さんが痛がります。
なので徐々に押していき、患者さんに「痛くないですか?」などの声掛けをしたり様子を見ながら、確認しましょう。
血圧
次に血圧です。
平常時の血圧が高くないこと、透析中や透析後に急激な血圧低下がないことが重要です。
具体的な数字で言うと平常時の血圧は最高血圧140~160が、最も死亡リスクが少ないという文献もあります。(日本透析医学会雑誌 Vol.31 No.1 2016)
それ以下でも、透析中の血圧低下など問題がなければ、大丈夫です。
また、透析歴が長い人は「慢性低血圧」になり、常に100切っている方もいますので、あくまで目安として参考にしてください。
DWの調整の仕方はすごく簡単に言ってしまうと、血圧が常に高いとDWを低くします。
そして、常に低いとDWを上げます。
ただ血圧に関しては、薬や神経系、ホルモンの影響、体液量、季節的な影響によっても変わってきます
また血圧は日内変動があるため、いつどのような状況で測定したのかというのも注意が必要です。
家で測定する家庭血圧がどうなのかもDWを判断する良い材料となります
- DWの設定がきついと、血圧は低くなる(その逆も)
- 平常時に血圧が高すぎたり低すぎたりしないこと
- 透析中に急激な血圧低下がないこと(SBP30mmHg以上)
- 低血圧は心疾患や栄養不良、貧血などが関わることも
透析中の血圧変化も良い指標となります。
透析中に急激に血圧が下降していたら、もしかしたらDWがきつすぎるかもしれません。
逆に血圧が上昇していたら、DWが甘いのかもしれません。
透析導入したばっかで腎機能がまだ残っている人とかは、ホルモンの影響で透析中の血圧が上昇したりするので、そこの評価は忘れずに!
平均血圧(MAP)
透析中の低血圧では平均血圧を参考にする方法もあります。
平均血圧の求め方を以下に示します。
平均血圧=脈圧(収縮期血圧 – 拡張期血圧)÷ 3 + 拡張期血圧
なぜ平均血圧を見るのかというと、循環動態を反映しているからです。
なので平均血圧は臓器血流を反映しています。
平均血圧は65~70mmHg以上であればOKまたは様子見です。
しかし60mmHg未満になってくると、透析ではショックになってしまったり、脳血流も急激に減少してしまう目安の値です。
収縮期血圧(SBP)は低血圧時に誤差が出ます。
これは不整脈やマンシェットの巻き方などの影響です。
ちなみに日機装のコンソールは平均血圧を自動で算出して、画面に表示してくれます。
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