はじめに
透析でのDWの指標は様々ありますが、PWIとKrについて今回は解説していきます。
- PWI:血液濃縮率
- Kr:血管透過性係数
PWIとKrはあくまで指標なので参考程度に見てください。
またKrに関して、もう古いんじゃないか?とか様々なご意見があると思います。
しかし私の知っている病院では、PWIとKrをDWの参考にし、ばっちり体重管理をしている病院もあります。
なのでDWの指標に古いとかはないのかなって感じました。
PWI(血液濃縮率)
PWI(Plasma Water Index):血液濃縮率
PWIは、透析前後の血漿タンパク質(TP)の濃度変化から、循環血漿量変化率を求める方法です。
基準値は2~4でDWが適正という指標になります。
考え方は以下のようになります。
PWIが4以上
↓
血液濃縮率が大きい
↓
除水過剰
↓
DWがきつい
↓
DWを上げる検討
PWIが2以下
↓
血液濃縮率が小さい
↓
水分が余っている
↓
さらに除水可能
↓
DWを下げる検討
といった考え方です。
PWIは検査値から計算可能です。
PWI=①タンパク濃縮率 ÷ ②体重変化率
①タンパク濃縮率= 1-(透析前TP ÷ 透析後TP)
②体重変化率=(透析前体重-透析後体重)÷ 透析前体重
で求めることができます。
例を以下に示します。
- 透析前TP:5.8
- 透析後TP:7.0
- 透析前Wt:53.0kg
- 透析後Wt:50.0kg
だとすると、PWIは3.03となりますので、計算してみてください!
Kr(血管透過性係数)
Kr(plasma refilling coefficient):血管透過性係数
KrとはHt値とTPの変化から算出するDWの指標です。
Krとは、除水により上昇した膠質浸透圧がどの程度、間質より水を引き込むことができるのかを絶対値として表したもの
つまりプラズマリフィリングを数値化したものです。
基準値は1~4でDWが適正と判断されます。
考え方は以下のようになります。
Krが4以上
↓
プラズマリフィリングが速い、多い
↓
水分が余っている
↓
DWがゆるい
↓
DWを下げる検討
PWIが1以下
↓
プラズマリフィリングが遅い、少ない
↓
水分が枯渇している
↓
DWがきつい
↓
DWを上げる検討
参考:透析会誌34(8):1185~1192,2001 血液透析におけるplasma refilling coefficient(mean Kr)算出の臨床的意義の検討
PWIとKrの相互評価
PWIとKrは相互評価することが大事です。
PWIとKrの基準値をまとめると以下のようになります。
PWIだけの値、Krだけの値で決めず、両者を評価します。
保証が増える的な意味です。
じゃあこういう時どうするか?DWを上げるのか?下げるのか?
- PWI:0
- Kr:-1
この時PWIが体0ということはWet状態→つまりDWを下げるように思います。
しかしKrは-1なので体はDry状態→つまりDWを上げるように数値が出ています。
この時は、PWIを優先してDWを引きこむ方で検討します。
なぜかというと、Krは疾患に起因するからです
動脈硬化や低栄養、超高齢者ではプラズマリフィリングはしにくくなってきます。
Krの求め方
式が長くて難しそうに見えますが、値を当てはめるだけなので意外と簡単にできます。
・HD1回あたりの1分間の除水量はUFR(ml/min)=総除水量(ml)/HD session (min) …(1)
・HD前後の循環血漿量(HD前:CPV1,HD後:CPV2)は循環血液量が体重の約7.7%であることより、HD前HtをHt1とするとCPV1は、CPV1=0.077×BW×(1-Ht1/100) …( 2)
・HD前後のTPをそれぞれTP1,TP2とするとCPV2は、
CPV2=CPV1×TP1/TP2 =0 .077×BW×(1-Ht1/100)×TP1/TP2 …(3)
・したがって、HD1回あたりの1分間の循環血漿量の変化量(CPVrate)は、
式(2),(3)よりCPVrate(ml/min)=(CPV1-CPV2)/HD session (min)…( 4)
・またHD前後の膠質浸透圧をそれぞれπ1,π2とすると、π1(mmHg)=2.1×TP1+0.16×TP12+0.009×TP13… (5)
π2(mmHg)=2.1×TP2+0.16×TP22+0.009×TP23… (6)
・式(1)(4)(5)(6)よりmean Krは、
mean Kr(ml/min/mmHg)=(UFR-CPVrate)/(π2-π1)
で算出することができる
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