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腹膜透析患者の食事(食事療法基準、エネルギー、たんぱく質、塩分、カリウム)

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腹膜透析
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はじめに

腹膜透析患者は血液透析患者よりも食事制限は緩いという特徴はあるが、制限するものはきちんとしないといけません。

透析患者の栄養障害は、生命予後やQOLに深く影響を与えます。

継続した食事指導が重要で、食事の偏りや嗜好は長年かけて培われてきたものです

なので、一度の指導で食事療法を指導することは困難なわけです。

今回は腹膜透析患者の食事療法を説明していきます。

  • 「腹膜透析患者の食事」をコチラでもっとわかりやすく解説しています
13分の動画で解説しています

PDの栄養学的特徴

以下はPDの栄養学的特徴です。

  • 透析液からブドウ糖の経腹膜吸収がある(エネルギーになる)
  • 排液へのタンパク喪失が1日10g、アルブミンは2~4gある
  • カリウムは透析液に含まれていないため、効率的に除去される

カリウムは逆に低値にならないように注意しましょう

またPD患者の栄養障害として、以下のようなポイントが挙げられます。(参考:日本透析医学科「腹膜透析ガイドライン2019」第三章 栄養管理)

  1. 維持透析患者における栄養障害は、生命予後やQOLにも影響を与える因子
  2. 腹膜透析患者は体液過剰状態に陥りやすく、栄養障害をきたしやすい
  3. 透析液へのタンパク喪失による異化亢進を招き、低栄養をきたしやすい
  4. 体重減少やるい痩に注意し、残存腎機能低下による透析不足に陥らないようにする

腹膜透析患者の30%が体液過剰状態と言われています。

食事療法基準

下表は「日本腎臓学会慢性腎臓病における食事療法の基準2014年」と「腹膜透析ガイドライン2019」の両方です。

「腹膜透析ガイドライン2019」を参考にすればいいと思います。

一応過去との比較で載せておきました。

※1 体重は基本的に標準体重(BMI=22)を用いる
※2 性別、年齢、合併症、身体活動度により異なる
※3 腹膜吸収ブドウ糖からのエネルギー分を差し引く
※4 高カリウム血症を認める場合には血液透析同様に制限する

エネルギー(kcal)

PD患者のエネルギーを考えるときは以下の3つがポイントになります。

  1. 総摂取エネルギーは標準体重当たり30~35kcal/kg/dayを目安にする
  2. 年齢、性別、身体活動レベルを参考にして患者個別に設定する
  3. 摂取エネルギー量=食事摂取エネルギー量+腹膜吸収エネルギー量(以下で説明)

この中で「3番」が理解しずらいかもしれないので、解説します。

摂取エネルギー量=食事摂取エネルギー量+腹膜吸収エネルギー量

つまり、食事で摂取するエネルギーは、腹膜からの吸収エネルギーを考慮する必要があるということです。

腹膜からの吸収エネルギー量ってなに?って感じですよね。

これは、透析液のブドウ糖はエネルギーに変わっている!ということです。

ブドウ糖透析液のカロリー

上図を見てわかる通り、腹膜透析に使用するPD液にはブドウ糖が含まれています。

そのブドウ糖は血液中に吸収されるので、代謝されてエネルギー(カロリー)へと変わります。

例えば、上の表通り、1.5%を1日に4回交換とすると、約280kcal摂取したことになります。

そこで、「摂取エネルギー量=食事摂取エネルギー量+腹膜吸収エネルギー量」に当てはめてみると…

  • 摂取エネルギー量 → 2000kcal 必要とする
  • 腹膜吸収エネルギー量 → 280kcal(1.5%を1日に4回交換とすると、約280kcal摂取)
  • 食事摂取エネルギー量 → 2000-280=1720kcal になる

つまり、摂取しなければいけないエネルギーから、腹膜吸収エネルギー量を引いて、食事摂取エネルギー量を出します。

もし、透析液からのエネルギーを計算せずに食べ過ぎてしまうと、持続したブドウ糖の負荷で「中性脂肪の上昇」や「HDLコレステロールの低下」をきたしやすくなります。

その結果、体脂肪の増加や心循環器合併症のリスクになるので注意が必要です。

たんぱく質摂取量

腹膜透析では、、透析液へのタンパク喪失があり、交換する液量が増えるとたんぱく質やアミノ酸の喪失は増加します。

PD患者のたんぱく質でのポイント2つを以下に示します。

  1. 透析液へのタンパク喪失は、1日10g程度、アルブミンは2~4g
  2. たんぱく質摂取量は0.9~1.2(g/kg/day)が望ましい

また単体の栄養指標だけで評価せずに、複数の栄養指標で評価することが望ましい。

たんぱく質では、摂取と喪失のバランスが重要です。

  • 過剰摂取しすぎると → 高窒素血症、高リン、高カリウム
  • 喪失しすぎると → 栄養障害

塩分摂取量

塩分摂取量は目安の式はありますが、上限は7.5g/日とガイドラインでは示されています。

ポイントは以下の通りです。

  • 「除水量(L)×7.5」+「残存腎尿量100mLにつき0.5g」
  • 残存腎機能廃絶例:1Lの除水では1日7.5g程度までが上限
  • 0.15g/kg 体重として上限を7.5gにする
  • 高血圧を呈する場合:1日6g未満
  • 1日3g以上の摂取は必要

「除水量(L)×7.5」+「残存腎尿量100mLにつき0.5g」なので例えば、除水量が1Lで、尿量が200mLだったとします。

すると、

  • 1(L)× 7.5 = 7.5(g)
  • (尿量)200mL = 1.0(g)(残存腎尿量100mLにつき0.5gだから)

これを足すと、8.5gになります。

つまり塩分摂取量は8.5gになりますが、いくら除水量と尿がこれだけあったとしても、8.5g/日の塩分摂取量は摂りすぎです。

なので、ガイドライン通り、7.5g/日の摂取を上限とし、高血圧の方は6g/日を上限とします。

高血圧を呈していない方でも、6g/日を上限とする考え方もあります。

1日に飲める水分量は、上の画像を参考にしてみてください。

食塩を適正範囲に抑えることで、水分制限もしやすくなります。

カリウム

腹膜透析液にはカリウムが含まれていないので、効率的に除去されます。

通常カリウム制限は行わず、野菜・海藻・果物など適正量(1日2000mgが目安)を摂取します。

低カリウム血症に注意で、低カリウム血症が最大60%もいると言われている

低カリウム血症は、死亡率の上昇や腹膜炎を惹起します。

腹膜透析では低K血症を合併すると、腹膜炎が生じることが知られています。

しかしK値の是正が、腹膜炎発症を減らすことができるかは不明でした。

最近の研究によると、PD患者にカリウムを補充すると、腹膜炎発症が減少することがわかり、K値は4~5mEq/Lが適切という結果が得られました。

https://www.ajkd.org/article/S0272-6386(22)00627-8/fulltext

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