はじめに
腹膜透析ではカテ出口部のケアは、腹膜炎を起こさないためにも非常に重要になります。
そのためには、処置や入浴方法が重要になります。
今回は、出口部のケアと処置・入浴を説明します。
物品
出口の処置をするためには以下のような物品が必要です。
- 生理食塩水
- 消毒液(ポビドンヨード・クロルヘキシジン溶液・次亜塩素酸溶液 等)
- 滅菌綿棒
- ガーゼ
- Yガーゼ
- テープ
- ゴミ袋
これらの物品が必要です。
また「出口部洗浄方法」や「カテーテル固定」「テープやガーゼ貼付」これらの方法は、施設によって異なります。
出口部の観察
客観性のある評価方法として、以下表の出口部の評価スコアの使用も推奨されます。
- 出口部の評価スコアは4以上を感染とみなす
- 4未満の場合は感染の疑いとする
- ただし、膿性浸出液が見られる場合は、これのみでも感染とする
ダウングロス
ダウングロスとは、カテーテル出口部周囲の皮膚が皮下の組織にのめり込んで、出口部が皮膚表面から深くなり、ポケット状になっている部位のこと
このダウングロスは、「カテーテルの固定不良」や、剥離した上皮の蓄積による「出口部感染」の原因となります。
出口部を洗浄する際は、ダウングロスまでしっかりと観察することが重要です。
皮下トンネルとカテーテルの観察
皮下トンネル部(赤線の箇所)を出口部に向かって指で押しながら、出口部から排膿が出ないことを確認します
圧痛を伴う場合は、トンネル感染の兆候があります。
感染を合併した場合、周囲の組織がもろくなり、カテーテルのカフが出口部側にずれることもあります。
またカテーテルの観察も重要になります。
以下のような点を確認します。
- 接続チューブの緩み
- カテーテル本体の傷や亀裂
何かおかしいなと感じたら、すぐに病院に電話しよう!
出口部洗浄方法例
カテ出口部以下のような順序で洗浄します(施設によって、またカテによって異なります)
- チューブを引っぱらないように、紐でとめる。
- 出口部洗浄は泡を用いる。出口部周囲の洗浄は、10×10cmの範囲を目安にする
- 出口部の洗浄は、出口部のカテーテルをつまみながら洗浄する
- カテーテルの下側も忘れずに洗浄する。
- 指腹に力を入れて、固定用のテープによる汚れが残らないようにしっかり洗浄する
画像引用:https://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/kid/kid/pd/pd02.html
カテーテルの固定
カテ固定のポイントは以下です。
- カテーテルの向きは様々で、自然な向きを損なわないように緩やかに固定する
- かぶれやすい方は、貼る位置を毎日変える
- テープ2~3本で貼る方法を推奨する(テープの貼り方は様々です)
- ハサミはカテーテルの近くでは使用しない(カテーテル損傷のリスクがある)
- チタニウムアダプター部分のテープ固定は、金属が皮膚を刺激するため避ける
可能であれば、ハサミを使用しない方が望ましいです。
テープを2~3本使用します。
ガーゼから1~2cm下に、カテーテルをテープで動かないように固定します。
テープの種類
- 3M ジェントルフィックス:粘着力は比較的弱いが、肌には一番優しい
- カブレステープ:テープの強度がある
- 優肌絆:ジェントルフィックスよりも粘着力が強い
痒みが無いように、また、軽減できるように自分あったテープを選択します。
入浴(オープンシャワーとクローズドシャワー)
オープンシャワーとは、出口部を水に直接さらす方法
最近では出口部を洗浄して清潔に保つことで、出口部の皮膚本来の防御機能を引き出すという考えから、オープン法を勧める施設が増えてきました。
PDカテーテルを留置して3〜4カ月以降の、出口部が固定した時期から、オープン法が可能になります。
クローズドシャワーとは、出口部を水に塗らさない方法
オープン法ではどうしても感染が心配という方や、出口部に感染兆候がある場合は、クローズド法で入浴します。
オープン入浴では感染予防のために、一番湯をすすめています。
殺菌効果のある洗浄剤※を使うと、出口部の感染予防に更に効果的です。
(※ スパクリーンPD、ミルトンタブレット® → 両者の成分は同じ)
温泉、公衆浴場の浴湯は自宅の浴湯に比べて細菌が多く、オープン入浴はすすめられません。
クローズド入浴をすすめるサウナでは、発汗によって保護用具が剥がれることがあるので注意です。
出口部ケアと予防方法のポイント7つ
- いつも爪を短く切って、出口部ケアの前には必ず手を洗う
- 消毒が必要な方は、綿棒・ガーゼは滅菌されたものを使用する
- 出口部ケアは毎日行い、出口部周辺も清潔にしておく
- 出口部を毎日観察する
- カテーテルは自然の向きに合わせて、しっかりと固定する
- 出口部はなるべく通気性を良くし、乾燥させる
- オープンシャワーや入浴は、出口部の状況を病院に判断してもらってから行う
動画で詳しく見るならコチラ
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