はじめに
腹膜透析では透析液を出し入れしないといけないので、腹膜にカテーテルを留置します。
今回は「カテの留置先」や「カテ出口部の選択」「出口部の位置を決めるポイント」などを説明していきます。
カテーテル留置
カテの留置先は以下の通りです。
- 女性:直腸と子宮の間にある腹膜腔(ダグラス窩)
- 男性:直腸と膀胱の間にある腹膜腔
カテの留置先は、透析液が貯まる場所に留置されます。
重力や体の構造上、以上の場所に透析液が貯まります。
また、男性にダグラス窩は存在しませんが、直腸と膀胱の間にある腹膜腔(直腸膀胱窩)を便宜上、ダグラス窩と呼ぶことが多いです。
カテーテル
カテーテルは柔らかいシリコンチューブでできています。
2つのカフがあります。
カフの役割は「固定(抜けないように)」と「感染予防」です
カテーテルは皮下トンネルを形成しています。
皮下トンネルは、出口部から腹腔内にカテーテルが入るまでの部分です。
- 内部カフ:腹膜上の筋肉
- 外部カフ:皮下脂肪
この付近にカフが存在します。
カテーテル出口部の位置選択
出口部トラブルを最小限にし、毎日の出口部ケアのストレスやQOLを損ねないために、出口部の位置選択は重要です。
以下の4つのパターンで出口部の位置について考察していきましょう。
A.「へそ下」にベルトが来る患者
B.「へそ上」にベルトが来る患者
C. 上腹部カテーテル
D. 前胸部カテーテル(バスタブカテーテル)
【A.「へそ下」にベルトが来る患者】
ベルトより上の側腹部にカテの出口がくるようにする
【B.「へそ上」にベルトが来る患者】
へそ下に下向きに出口部を作成する
ベルトの位置を考慮し、カテの向きや出口の位置を検討する必要があります。
【C.上腹部カテーテル】
【D.前胸部カテーテル(バスタブカテーテル)】
CやDのような上腹部や前胸部に出口部を作成する方は、以下のような適応です。
- 極度の肥満
- 腹部のたるみ
- 胃瘻
- 人工肛門
- 失禁等のある患者
カテを引っ張るような認知症、精神疾患の患者には背中の肩甲骨部に作成することもあります。
カテの出口部のイメージがわかないという方は、コチラで動画で解説していますのでご覧ください。
出口部の位置を決めるポイント
カテ出口を決める際は以下のようなポイントがあります。
- ベルトやシートベルトが当たらない位置
- 見やすい位置
- ケア(手入れ)しやすい位置
- 手術の傷跡や皮膚炎、しわのある場所は避ける
- 立ったり、座ったり、横になったり、体位を変えて確認
- 日常生活や仕事上で圧迫される部位は避ける
このようなポイントに該当する方は、例えば以下のような方です。
- 主婦:流し台の縁
- 和装:帯の位置 運送業
- 荷物で圧迫される場所
- ドライバー:シートベルトの位置
などなど、その人の普段の服装や仕事柄によって、出口部の位置を決めます。
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