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腹膜透析液 ~乳酸透析液と中性透析液~

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腹膜透析
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はじめに

腹膜透析液には歴史があります。

その中でも乳酸を使用した、「乳酸酸性透析液」「乳酸中性透析液」があります。

さらに、重炭酸を使用した「重炭酸中性透析液」があります。

それぞれどういった特徴があるのか見ていきましょう。

  • 「乳酸透析液と中性透析液」をコチラでもっとわかりやすく解説しています
9分の動画で解説しています

透析液の歴史

腹膜透析液には歴史があるので、どういった変遷を辿ってきたのか見ていきましょう。

乳酸酸性透析液(pH 4.5~5.5):非生理的成分(GDPs・低pH・乳酸・可塑剤など)が高濃度含まれており、生体適合性が悪い

2000年 乳酸中性透析液(pH 6.3~7.8):電解質や乳酸などの組成も従来のものとほぼ同一であるが、GDPs濃度が少なく、生理的なpHが特徴

2014年 重炭酸中性透析液(pH 6.2~6.8):乳酸濃度を低減させ(10mM)、主に生理的濃度(25mM)の重炭酸で緩衝している

こういった変遷があります。

なので流れは「乳酸酸性透析液」→「乳酸中性透析液」→「重炭酸中性透析液」の順です。

透析液の酸性と中性

酸性の透析液から中性に変わったことで、腹膜への生体適合性が劇的に変わったのか?

これに関しては、酸性度の改善よりも、実はGDPs濃度の低下による影響が大きいです。

腹膜透析において酸性の透析液は、腹腔内注入後速やかに中性化されるため、酸性度の影響は比較的少ないものと考えられている

Musi B, Carlsson O, Rippe A, Wieslander A, Rippe B. Effects of acidity,glucose degradation products, and dialysis fluid buffer choice on peritoneal solute and fluid transport in rats. Perit Dial Int 1998; 18: 303‒ 10

乳酸酸性透析液は今でも販売されていて、バクスター社の「ダイアニール PD-2」と「ダイアニール PD-4」です。

【第一世代】乳酸中性透析液

以前の透析液(乳酸酸性透析液)はというと、酸性の環境でブドウ糖を保存すると、GDPsの産生が抑制されていました。

そのため、かつては透析液全体を酸性にして製造していました。

しかし、これでは透析液を強い酸性にすることはできず、結果的にGDPsの産生が生じていました。(加熱滅菌時に大量のGDPsが産生されます)

そこで透析液を2室構造にしました。

  • ブドウ糖を含む側:強い酸性
  • 含まない側:アルカリ性

こうすることによって、使用直前に混合し中性化することにより、GDPsの産生を抑制できるようになった。

こういう背景があります。

これが中性透析液の誕生です。

乳酸中性透析液は以下のような特徴があります。

  • これまでのものと同濃度のブドウ糖を含有している
  • 混合後の電解質や乳酸などの組成も、従来のものとほぼ同一
  • であるが、GDPs濃度が少なく生理的なpH(中性)

中性透析液による生体適合性の向上が多数報告されています。

しかし透析液が中性化されたことよりも、主にGDPsの減少による効果であると考えられています。

乳酸中性透析液の問題点は、乳酸などの生体適合性に問題があるとされる物質は、依然として透析液中に存在している点です。

これらによる腹膜障害の惹起に関しては、改善されていないという課題も残されています。

乳酸中性透析液は乳酸が(40mM)含有されています。単位 1mM=0.001mol/L

乳酸中性透析液の種類は以下の通りです。

  • バクスター社→「ダイアニール -N PD-2」と「ダイアニール -N PD-4」
  • テルモ社→「ミッドペリックL」と「ミッドペリック」
  • JMS社→「ペリセート」
  • フレゼニウス社→「ステイセーフバランス」

非常に種類が多いですね。

【第二世代】重炭酸中性透析液

重炭酸中性透析液は、乳酸濃度を低減させ(10mM)、主に生理的濃度(25mM)の重炭酸で緩衝したものです。

重炭酸中性透析液を販売しているのは、バクスター社のみで、商品名は「レギュニール」です。

「重炭酸」と「乳酸」の濃度のみが違う2種類の中性透析液を使用し、「重炭酸」と「乳酸」の濃度の違いが培養ヒト腹膜中皮細胞に与える影響の検討では、

重炭酸透析液では、
・ cell viabilityへの影響が少なかった

・ アポトーシスもほとんど誘導しない

  • cell viability:細胞生存率
  • アポトーシス:細胞死

という結果が得られました。

一方、乳酸糖透析液では、
・ 腹膜中皮細胞のcell viabilityが著明に低下
・ 細胞増殖の抑制

・ アポトーシスの誘導

といった結果が得られ、このことから、

重炭酸中性透析液では乳酸による細胞障害が減少しており、腹膜への生体適合性が改善していることが推測れました。

一方、高濃度の乳酸は、細胞内に流入しアポトーシスをひき起こすことにより、腹膜中皮細胞に対して細胞障害性に働いていることが示唆されました。

重炭酸中性透析液にも低いながらも(10mM)乳酸は含まれています。

この濃度が適切であるかどうかは、今後検証が進められていくと思います。

ただ低濃度の乳酸(10~15mM)は、創傷治癒や再生の過程において、重要な役割を担うことが知られています。

10mMの乳酸はcell viabilityに与える影響が少なかった、という報告があります。

なので、10mMの乳酸濃度は適切な可能性があります。

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