はじめに
腹膜透析液には種類があり、4社が販売しています。
また、「ブドウ糖透析液」と「イコデキストリン透析液」があるので、まとめました。
種類とアルファベットの意味も説明しています。
ブドウ糖透析液
上の表1,2は現在(2023年11月時点)販売されている、腹膜透析のブドウ糖透析液の種類一覧です。
4社が販売をしています
- バクスター社
- テルモ社
- JMS社
- フレゼニウス社
ブドウ糖透析液は、各社電解質はほぼ同じです。
Caが高いか低いかの違いです。
バクスター社
バクスター社は、以下の透析液を販売しています。
- ダイアニール PD → 乳酸酸性透析液(pH:4.5~5.5)
- ダイアニール -N PD → 乳酸中性透析液(pH:6.5~7.5)
- レギュニール → 重炭酸中性透析液(pH:6.8~7.8)
ダイアニールは「PD-2」「PD-4」「-N PD-2」「-N PD-4」が出ています。
「ダイアニール」の意味とか、「N」とか「2とか4」がどんな意味を表しているか説明します。
- まずダイアニールは、dialysis peritoneal を合わせて、ダイアとニールで「ダイアニール」です。
- 「PD-2」と「PD-4」は、Caの違いです。「PD-2」はCa 3.5で、「PD-4」はCa 2.5です。
- 「-N PD」の「N」はneutralのNで中性という意味です。
dialysisは「透析」、peritonealは「腹膜」という意味です。
「-N PD」は乳酸中性透析液で、中性なので、neutral(中性という意味)の「N」がついています。
続いてレギュニールです。
レギュニールは、唯一の重炭酸中性透析液です。
レギュニールは「レギュニール HCa」と「レギュニール LCa」が出ています。
レギュニールの特徴を以下に示します。
- Regulate Peritoneal の「レギュ」と「ニール」を合わせてレギュニールです。
- HCaは「High Ca」、LCaは「Low Ca」です。
- HCaはCa 3.5で、LCaはCa 2.5です。
Regulateは整えるという意味です。
レギュニールまでの販売の背景を説明します。
以前ではMg濃度が1.5mEq/L、乳酸が35mEq/Lでした。
そのため高Mg血症と代謝性アシドーシスの是正が不十分で、それを改善した(Mg:0.5、乳酸:40)のがダイアニールPDです。
ダイアニールPDでは、ブドウ糖の分解を抑制するためにpHを酸性(4.5~5.5)にしていました。
しかし、pHの産生やブドウ糖の分解産物(GDPs)が腹膜の劣化を助長させる懸念性がありました。
そこで、-N PD では、2室構造にして使用時に隔壁を開通し、混合することによってpHを中性付近(6.5~7.5)にしました。
ダイアニールには高濃度の乳酸塩(40)が使用されています。
これは非生理的因子のため腹膜機能の低下につながる可能性があります。
そこで重炭酸塩(25)と低濃度の乳酸(10)の透析液を開発した。
このような背景があります。
テルモ社
テルモ社は「ミッドペリック」と「ミッドペリックL」が出ています。
2つとも乳酸中性透析液です。
ミッドペリックの由来は…
- Middle(中性)
- Peritoneal(腹膜)
- Liquid(液)
この赤字の所を組み合わせてミッドペリックと言います。
「ミッドペリック」と「ミッドペリックL」の違いは、Caの値です。
「L」はLow Calciumの「L」です。
ミッドペリックはCa 4.0で、ミッドペリックLはCa 2.5です。
JMS社
JMS社ではペリセートがでています。
ペリセートの名前の由来は…
- Peritoneal(腹膜)
- Dialysate(透析液)
赤字の所を組み合わせてペリセートです。
ペリセートは「360N」「400N」「360NL」「400NL」が出ています。
それぞれの数字やアルファベットの意味を解説します。
- 「360」「400」は、浸透圧です。
- 「N」はNeutralのNで、中性という意味です(乳酸中性透析液だから)
- 「L」はLow Calciumです。
なので「360N」「400N」はCaが4.0で、「360NL」「400NL」はCaが2.5です。
イコデキストリン透析液
イコデキストリン透析液は「バクスター社」と「テルモ社」から出ています。
- バクスター社 → エクストラニール
- テルモ社 → ニコペリック
エクストラニールは酸性の透析液です。
緩衝剤として高濃度の乳酸を含有していて、酸性液です。(pH:5.0~5.7)
そのためpHによる生体適合性への影響も懸念されています。
ニコペリックは、中性化された透析液を使用しています。(pH:6.2~6.8)
海外では「酸性透析液よりも生体適合性が優れている」と報告されています。
2つとも、電解質はほぼ同じです。
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